歌劇「ロメオとジュリエット」
グノー作曲のオペラ。2017年、メトロポリタンオペラ公演の録画を鑑賞。METライブビューイングの紹介文。
18世紀のイタリア、ヴェローナ。対立する家に属するロメオとジュリエットは、素性を知らずに舞踏会で出会い、恋に落ちる。敵同士と知っても離れられない2人はひそかに結婚式を挙げるが、喧嘩に巻き込まれたロメオはジュリエットの従兄弟を殺し、追放の刑に。別れを前に、恋人たちは愛を確かめ合う。親が決めた結婚を強いられるジュリエットは、仮死状態になる薬を手に入れる。彼女が死んだと誤解した一同は、ジュリエットを墓所に運ぶが…。(引用終わり)
シェイクスピアの名作悲劇を題材にした音楽作品は数多いが、本作はその中でも最も成功した部類に入るとされる。グノーという作曲家は何となく馴染みが薄いけれど、親しみやすいメロディ、巧みな管弦楽法、場面に合わせた緩急自在の展開など、いずれをとっても円熟した作曲技法を見せている。
見どころは何といっても主役二人の歌唱と演技で、ディアナ・ダムラウとヴィットーリオ・グリゴーロの豪華コンビが、蕩けるような美声とともに大変な役者ぶりを発揮している。
とりわけグリゴーロは、有名なバルコニーのシーンで軽業師のごとく柱に攀じ登ったかと思えば、ティボルトとの決闘で大立ち回りを演じた直後でも息を乱すことのない歌唱を披露するなど、厳しい修練の成果を窺わせていて立派である。
ダムラウも14歳の少女という設定のジュリエット役にふさわしく、可憐な表情づくりとともに、軽々とした身のこなしを見せていた。指揮はジャナンドレア・ノセダ、演出はブロードウェイの大物バートレット・シャー。ともに正攻法の音楽、舞台づくりで好感が持てた。
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