2018/12/12

『オデッサ・ファイル』

Odessa1974年、米。ロナルド・ニーム監督。ジョン・ヴォイト主演。アマゾンの紹介文。

F・フォーサイスのベストセラー小説を原作にした第一級ポリティカル・サスペンス。ケネディ暗殺のニュースが流れた年、彼の危険な旅は始まった。
ジャーナリストのミラーは、自殺したある老人の日記を偶然手に入れる。その日記には、ナチスSSの幹部でユダヤ人強制収容所司令官だったロシュマンに関する犯罪が書かれていた。ロシュマンが名前を偽り、ドイツ国内で安穏と暮らしていることを知ったミラーは命の危険を冒して調査を始める。(引用終わり)

映画ネタは久々だ。全然観ていなかったわけではないが、このところなぜか用事が立て込んでいて、あまり映画を観る時間が取れなかった。まあ、それはそれで喜ぶべきことなのだろうけど。(苦笑)

フォーサイス原作の重厚なサスペンスと言えば、前に観た『ジャッカルの日』を思い出す。本作も同様のテイストで、クライマックスに向けてひたひたと高まる緊張感は、まさに手に汗を握らせる。特に、元ナチス隊員になりすましてオデッサのメンバーに接触するシーンは堪らない。

主人公が必死にロシュマンを探り出すストーリーの途中から、ただジャーナリストの功名心だけでは、その命知らずの行動の理由にならないと感じ始める。その答えはラストになってようやく明かされるが、それを暗示するようなジャケット写真はちょっといただけない。

ところで、ジョン・ヴォイトの出演する映画を前に観たような気がすると思っていたら、『真夜中のカーボーイ』で、テキサスからカウボーイの格好のままNYに出て来たジョーを演じていたのだった。全く対照的な役柄ながら、子供っぽいところはあるがどこか憎めない男を、ここでも好演している。

12月11日 ジョグ10キロ

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2018/11/17

『スマホを落としただけなのに』

Sumahootoshita2018年、製作委員会。東宝配給。北川景子、千葉雄大、成田凌、田中圭ほか。公式サイトの紹介文。

彼氏の富田(田中圭)に電話をかけた麻美(北川景子)は、スマホから聞こえてくる聞き覚えのない男の声に言葉を失った。たまたま落ちていたスマホを拾ったという男から、富田のスマホが無事に戻ってきて安堵した麻美だったが、その日を境に不可解な出来事が起こるようになる。
身に覚えのないクレジットカードの請求や、SNSで繋がっているだけの男からのネットストーキング。落としたスマホから個人情報が流出したのか? ネットセキュリティ会社に勤める浦野(成田凌)に、スマホの安全対策を設定してもらい安心していた麻美だったが、その晩、何者かにアカウントを乗っ取られ、誰にも見られたくなかった写真がSNSにアップされてしまう。
時を同じくして、人里離れた山の中で次々と若い女性の遺体が見つかり、事件を担当する刑事・加賀谷(千葉雄大)は、犯人が長い黒髪の女性ばかりを狙っていたことに気が付く。スマホを拾ったのは誰だったのか。連続殺人事件の真犯人はいったい誰なのか。そして明らかになる“奪われた麻美の秘密”とは?(引用終わり)

スマホも持たず、SNSともほぼ無縁な人間だけれど、「パソコンや携帯電話が乗っ取られたら」と置き換えてみると、とても他人事とは思えない。劇中では暗証番号やパスワードがいとも簡単に見破られ、個人情報が丸裸にされてしまう恐怖が、これでもかと繰り返し描かれている。

セキュリティ対策を取っていれば、たとえスマホを落としても被害を免れる場合も多いだろう。自分自身、暗証番号やパスワードはまず他人が思いつかないものにしているつもりだけれど、絶対に大丈夫という保証はない。長い間同じものを使っているので、定期的に変更しないといけないだろう。

連続猟奇殺人事件との関連とか、いわゆる「麻美の秘密」については、どちらもありがちな設定であるうえ、途中でおおよその想像がつく。一方で、別の人間を真犯人と誤認させるような場面があったりで、サスペンス映画としての出来はそれほど良くない。しかし、スマホに依存した今の日常生活に潜む危険性について警鐘を鳴らした、まことに現代的なホラー映画であると言える。

11月16日 ジョグ10キロ

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2018/11/02

『ぬけまいる~女三人伊勢参り~』

Nukemairu_3偶然にも伊勢つながりとなったが、NHKの土曜時代ドラマ『ぬけまいる』が先月27日から始まった(8回連続)。朝井まかての同名小説をドラマ化、出演は田中麗奈、ともさかりえ、佐藤江梨子ほか。

若い頃は「馬喰町の猪鹿蝶(いのしかちょう)」と呼ばれた三人娘も三十路過ぎとなり、それぞれに人に言えない事情と鬱屈を抱えていた。ある日突然、伊勢への抜け参りを思いついて3人で旅立つ。

第1回は出立までの事情と、江戸日本橋から川崎宿まで初日の珍道中を描く。「東海道中膝栗毛」の女性版といった感じで、骨董品と思って買った古道具が安物だったり、お人よしを見透かされて騙されたりと、これから先の道中が思い遣られる。また、初回からいきなり3人の入浴シーンがあってドキッとした。

ところで、番組タイトルの「ぬけまいる」の文字は、上下逆に見ると「いのしかちょう」と読めるようになっている。これは、アンビグラムというもので、千葉ロッテマリーンズが今年のセパ交流戦ポスターに採用して話題になったものだ。

街道ファンとしては見逃せないドラマだ。

10月31日 ジョグ10キロ
月間走行  233キロ
11月 2日 ジョグ10キロ

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2018/10/13

『光をくれた人』

Light2016年、米豪ニュージーランド。マイケル・ファスベンダー、アリシア・ヴィキャンデル他。アマゾンの紹介文。

心を閉ざし孤独だけを求め、オーストラリアの孤島で灯台守となったトム。しかし、美しく快活なイザベルが彼に再び生きる力を与えてくれた。彼らは結ばれ、孤島で幸福に暮らすが、度重なる流産はイザベルの心を傷つける。
ある日、島にボートが流れ着く。乗っていたのは見知らぬ男の死体と泣き叫ぶ女の子の赤ん坊。赤ん坊を娘として育てたいと願うイザベル。それが過ちと知りつつ願いを受け入れるトム。4年後、愛らしく育った娘と幸せの絶頂にいた2人は、偶然にも娘の生みの母親ハナと出遇ってしまう――。(引用終わり)

舞台はオーストラリア西部沖の孤島。赤ん坊と既に死んだその父親がボートに乗って流れ着くことから物語が展開していくが、これと似たような設定で、お隣ニュージーランドの海岸に母子とピアノを乗せた舟が着くところから始まる『ピアノ・レッスン』を思い出した。

直前に二度目の流産を経験し、悲嘆にくれていた灯台守夫妻の子供として、赤ん坊は育てられていくのだが、実は本土にその母親が生存していて、一連の真相が明らかとなり、娘は実の母の家に引き取られていくのだが…というストーリー。

夫婦間の愛情、子供への愛情、人として守るべき道、罪と赦し。主人公夫妻も実の母も、互いに矛盾する大変難しい選択を迫られる。その息詰まるような心理ドラマが、抑制の効いたセリフによって展開し、美しい映像と音楽がそれに静かに寄り添う。

なお、主演の二人はもともと交際中で、本作製作の翌年に実際に結婚したそうである。どうりで迫真の演技だったわけだ。(笑)

月曜から伊勢街道の走り旅に出かけるので、次回更新までしばしご猶予を。

10月11、13日 ジョグ10キロ

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2018/10/04

『恋のゆくえ ファビュラス・ベイカー・ボーイズ』

Bakerboys1989年、米。シドニー・ポラック製作総指揮。ミシェル・ファイファー、ジェフ・ブリッジズ、ボー・ブリッジズ他。アマゾンの紹介文。

なかなか人気が出ず、お呼びのかかるラウンジも格の低いところが増えてきたジャズ・ピアニスト兄弟「ザ・ファビュラス・ベイカー・ボーイズ」(ジェフ&ボー・ブリッジズ)。この状況を打破するべく美人ヴォーカリスト、スージー(ミシェル・ファイファー)を雇い、トリオとして再出発した。彼女の人気でトリオは次第に人気を博していくが…。(引用終わり、一部加筆。)

あるサイトで「邦題以外はすべていい。音楽もカメラも役者も。」と紹介されていたが、本当にそのとおりで、小難しい文芸映画を観た後、理屈抜きに楽しめる1本だった。

とりわけ、全篇に亘って流れるジャズナンバーの数々が、洗練された都会の気怠さ…みたいな雰囲気を醸し出している。ミシェル・ファイファーの歌はほとんど玄人はだしで、サウンドトラックがグラミー賞を受賞したそうだ。

その歌もさることながら、彼女の何とも言えない妖艶さ、それと同居する可愛らしさやふてぶてしさなど、大人の女の色香を全て体現したような演技が、本作最大の魅力だろう。グランドピアノの上で身をくねらせて歌うシーンは、上質なエロティシズムを強烈に感じさせる。

ベイカー兄弟を演じたジェフとボーは本物の兄弟なのだが、そう言われないと気付かないほど容貌は似ていない。しかし、実はこの映画の役柄的にはそれが功を奏していて、兄は律義で実務に通じた常識人、弟は才能はあるが人間的には未熟という、対照的な兄弟像を作り上げるのに寄与している。

メインは一応ラブストーリーだが、そこに兄弟の対立や和解、エンタメ業界の現実などが絡んで、独特の作品世界を作り出している。弟が飼っている黒のレトリーバーとか、アパートの上階に住む少女も、意外なほどストーリー展開に絡む名脇役となっている。一見唐突で、余韻を残したエンディングも味わいがある。

10月3日 ジョグ10キロ

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2018/10/01

『めぐりあう時間たち』

Thehours2002年、米。スティーヴン・ダルドリー監督。メリル・ストリープ、ジュリアン・ムーア、ニコール・キッドマン他。アマゾンの紹介文。

誰の人生にもやってくる普通の朝が、また始まろうとしていた。1923年ロンドン郊外、作家ヴァージニア・ウルフは「ダロウェイ夫人」を執筆している。1951年ロサンゼルス、妊娠中の主婦ローラ・ブラウンは、夫のために息子とバースデイ・ケーキをつくり始める。2001年ニューヨーク、編集者クラリッサ・ヴォーンは、エイズに冒された友人の作家の受賞パーティ準備に奔走する。3つの時代の、3人の女たちの一日は、それぞれの終わりへと向っていた…。(引用終わり)

原題 The Hours 。ピュリツァー賞を受賞したマイケル・カニンガムの同名小説を映画化。紹介文にあるとおり、ヴァージニア・ウルフの小説『ダロウェイ夫人』を縦糸に、時代も境遇も異なる3人の女性の物語を横糸に織りなされる、複層的かつ緻密なストーリー構成。難解さで有名なウルフの小説が下敷きになっているだけあって、映画の内容もかなり複雑で奥が深く、一度観ただけでは理解が難しい。監督自身、「これは繰り返し観て、新たな絆や共感を見出せる作品にしたかった」と語っている。

花を買ってきて飾る。パーティの準備と料理。親しい人間の訪問による心境の変化。女性同士のキス。自殺行為。いくつかの暗示的なモチーフが共通して用いられるが、それよりも重要なのは、彼女たちがいずれも「誰かのために」生きているという点にある。

ヴァージニアは、彼女の精神病の治療のためだとして、夫がロンドンから離れた田舎町での生活を決め、当時の女性の社会的地位から不本意ながらそれに従っているが、創作に不可欠な刺激のない田舎生活に不満を抱いている。

ローラは内気でいつも一人でいるタイプだったが、彼女に今のような人生を送らせたかったと言う夫の幸せの理想像に合わせて、理想的な妻と母を演じ続けている。しかし、『ダロウェイ夫人』を愛読し、そのヒロインに心が満たされない自分自身を投影している。

『ダロウェイ夫人』と同じ名前を持つクラリッサは、詩人で作家のチャーリーにかつて好意を寄せながら拒否され、その後はエイズに侵された彼の世話を献身的にしている。チャーリーもまたクラリッサのために生きてきたが、そのことをずっと重荷に感じている。

彼女たちの抱えるジレンマ、その解決への過程、苦悩に満ちた選択、その結果払うことになる犠牲といったものを、3人の女優たちが繊細にして説得力ある演技で表現しきっている。本作の価値は彼女たちの演技に尽きると言って過言ではないが、美しい映像表現、心に沁みるようなフィリップ・グラスの音楽も素晴らしい。

少々とっつきにくいが、またいつか観てみたいと思わせる秀作映画だ。

9月28日 ジョグ10キロ
月間走行 195キロ
10月1日 ジョグ10キロ

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2018/09/28

NHK「おはよう関西」オープニング曲

NHK大阪放送局が平日朝に放送している「おはよう関西」という番組がある。7時45分から8時までで、つまり連続テレビ小説(いわゆる朝ドラ)の前番組だ。そのオープニングとエンディングに、ヴァイオリンとギターを中心とした軽快な音楽が流れる。

てっきりNHKのオリジナルと思い込んでいたのだが、ある時たまたまMBS毎日放送のラジオを聴いていたら、「市川紗椰のKYOTO NOTE」という番組のオープニングで、同じ曲が流れてきたので驚いた。

まさかMBSが他局の音楽を勝手にパクるとは思えず、そうするとこれはNHKオリジナルではなく、どこかのアーティストが作った同じ音楽を、たぶん偶然に両放送局が使用しているのだろう。

そう思って両番組の公式サイトなどを覗いてみたが、オープニング曲に関する情報は全く見当たらない。ちょっと手間がかかったが、ネットでいろいろと検索してみて、ようやく該当の情報に辿りついた。

ジュスカ・グランペールという、京都を拠点に活動しているヴァイオリンとギターのアコースティック・デュオが演奏する「めざめ~Reveil」という曲である。確かに、朝のニュース番組や京都の地域情報番組にふさわしい音楽というわけだ。

グループ名は「おじいさんになるまで」という意味のフランス語で、共におじいさんになるまで楽しく続けていきたいという願いをこめたものだそうだ。寡聞にしてグループ名も知らなかったが、結構いろんな番組やCMに楽曲を提供しており、そうと気づかぬうちに彼らの音楽に接しているかもしれない。

同曲のサンプル試聴はこちら

9月27日 LSD40キロ

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2018/09/25

『ドリーム』

Hiddenfigures2017年、米。セオドア・メルフィ監督。アマゾンの紹介文。

1961年、アメリカはソ連との熾烈な宇宙開発競争を繰り広げていた。NASAのラングレー研究所には、ロケットの打ち上げに欠かせない“計算”を行う優秀な黒人女性たちのグループがあった。そのひとり、天才的な数学者キャサリンは宇宙特別研究本部のメンバーに配属されるが、そこは白人男性ばかりの職場で劣悪な環境だった。仲の良い同僚で、管理職への昇進を願うドロシー、エンジニアを目指すメアリーも、理不尽な障害にキャリアアップを阻まれていた。それでも仕事と家庭を両立させ夢を追い続けた3人は、国家的な一大プロジェクトに貢献するため自らの手で新たな扉を開いていくのだった……。(引用終わり)

多少変えている部分はあるものの、ほぼ実話に基づいて製作され、3人のヒロインたちも実在の人物だという。60年代初頭、まだ黒人差別は厳然として残り、とりわけ黒人女性が最先端の宇宙開発に携わるなど、まさに夢のような話でしかなかったのである。

その厚い壁に対して、社会運動として立ち向かったキング牧師のような人物もいたが、まさに映画の原題 Hidden Figures (隠れた人物)として世に知られることなく、大声を上げることもなく、自らの努力と実力だけでその壁に風穴を開けた人たちがいたのだ。

数々の困難を乗り越え、やがてNASAの中で認められていく彼女たちの姿は、颯爽としてとても格好いい。最初は常識の色眼鏡で見ていたものの、次第に彼女たちの実力を認め、障害を取り除く側に回る上司アル・ハリソンを、ケビン・コスナーが好演している。やや予定調和的なハッピー・エンドに物足りなさを覚えないでもないが、彼女たちの勇気と行動力には爽やかな感動を覚える。

ところで、宇宙開発に参画した数学の天才女性と言えば、2009年のこの作品に出ている多部未華子が先輩格に当たるかもしれない。(笑)

9月23、25日 ジョグ10キロ

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2018/09/22

『響 HIBIKI』

Hibiki_poster12018年、製作委員会。東宝配給。平手友梨奈、北川景子ほか。公式サイトの紹介文。

スマートフォン・SNSの普及により、活字離れは急速に進み、出版不況の文学界。そこに現れた一人の天才少女、彼女の名は『響』(平手友梨奈)。15歳の彼女の小説は、圧倒的かつ絶対的な才能を感じさせるもので、文学の世界に革命を起こす力を持っていた。文芸誌「木蓮」編集者の花井ふみ(北川景子)との出会いを経て、響は一躍世の脚光を浴びることとなる。
しかし、響は、普通じゃない。彼女は自分の信じる生き方を絶対曲げない。世間の常識に囚われ、建前をかざして生きる人々の誤魔化しを許すことができない。響がとる行動は、過去の栄光にすがる有名作家、スクープの欲だけで動く記者、生きることに挫折した売れない小説家など、様々な人に計り知れない影響を与え、彼らの価値観をも変え始める。
一方、響の執筆した処女作は、日本を代表する文学賞、直木賞・芥川賞のダブルノミネートという歴史的快挙にまで発展していく。(引用終わり)

主役の平手友梨奈は原作コミックから抜け出たようだというが、仮にそうだとしても映画としての完成度が高いということにはならない。許せない相手に対して彼女が暴力を振るうシーンが何度も登場するが、それでスカッとするだけでは暴力を容認したことになる。

そうではなく、相手が誰であれ、体を張ってでも自らの意思を貫き通す、彼女の一途な生き方が、周囲の大人たちにも影響を及ぼしていくところが作品のキモだとすれば、その部分の描写がいかにも中途半端なのだ。あんなに憎々しげだった相手が、響の一言で掌を返したように良き理解者に豹変する。いくら原作がコミックだといっても、あまりにもマンガ的に過ぎないか。

平手はいきなり主役でのデビューとなったが、今後響以外の役をどう演じていくのだろうか。響の良き理解者であり、常に彼女を守る編集者役の北川景子は、さすがの安定した演技。一方、小栗旬、柳楽優弥、吉田栄作ら脇役陣も豪華だが、残念ながら持ち味を生かし切るほどの登場場面がない。その中で、打算だけで動く編集長を演じた高嶋政伸の演技が光っていた。今、ああいう悪役を演じさせて彼の右に出る人はいないのではないか。

9月21日 ジョグ10キロ

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2018/09/16

『スタンド・バイ・ミー』

Standbyme1986年、米。ロブ・ライナー監督。アマゾンの紹介文。

1959年オレゴンの小さな町。文学少年ゴーディをはじめとする12才の仲良し4人組は、行方不明になった少年が列車に轢かれて野ざらしになっているという情報を手にする。死体を発見すれば一躍ヒーローになれる! 4人は不安と興奮を胸に未知への旅に出る。たった2日間のこの冒険が、少年たちの心に忘れえぬ思い出を残した……。(引用終わり)

スティーヴン・キング原作。あまりに有名なテーマ曲以外、内容は全く知らなかったが、男の子なら誰もが共感する甘酸っぱい青春のひとコマを、オレゴンの美しい自然をバックに詩情豊かに描いた名作である。

列車に轢かれた死体を見つけて有名人になりたいと、冒険を思い立った仲良し4人組だったが、途中からは冒険そのものが目的と化していく。鉄橋の上で列車に出くわしたり、近道しようと渡った沼でヒルに食われたりと、散々な目に遭いつつも、4人の絆は次第に深まっていく。

ついに死体を発見し、追いかけて来た年長の不良グループも退けた4人だったが、帰る頃にはもうすっかり大人へと変身していた。町に帰ってからの別れは実にあっさりしたもので、その後はそれぞれの進路を辿り、出会うこともなかったようだ。長じて弁護士となったクリスが殺害されたことを知ったゴーディの回想と語りで、映画が進行する形をとっている。

4人の中では最も冷静沈着、かつ思い遣りもある人格者、クリス役を演じたリヴァー・フェニックスの演技が素晴らしい。野宿している時、給食費盗難事件の真相を涙ながらにゴーディに語るシーンは胸に迫る。残念ながら、薬物過剰摂取のため惜しくも23歳で亡くなったそうだ。なお、ホアキン・フェニックスは彼の弟である。

9月15日 ジョグ10キロ

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