人形供養
娘が嫁いだ後もそのままになっていた雛人形を供養するため、和歌山市加太の淡嶋神社まで出向いて納めてきた。郵送や宅配では受け付けないため、直接持ち込む必要があるのだが、全国から約2万体にも及ぶという人形が納められ、毎年3月3日にはそれらを白木の舟に乗せて海に流す「雛流し」の神事が行われる。
今年の神事が終わって1か月も経っていないが、本殿の内部には既に無数の人形が積み上げられ、壮観とも奇観とも独特な雰囲気を漂わせている。
子供に代わる「形代(かたしろ)」として諸々の厄災を引き受けるとされる人形が、その役目を終えて持ち主の手を離れ、処分の時を待っている。きちんと供養されたとはいえ、人形に取り憑いた禍事(まがごと)どもの記憶が、まだそこここに漂っているような気がした。だからこそ、舟に乗せて海に流すのだろうけれど。
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