ヘレヴェッヘ盤「マタイ受難曲」
リヒター盤を聴いた記事の最後に書いた「古楽器を使った演奏」の代表として、フィリップ・ヘレヴェッヘが手兵コレギウム・ヴォカーレほかを率いて1998年に再録音したCDを聴いた。「ヨハネ受難曲」との5枚組で3千円少々というおトクな値段に惹かれたせいもある。(笑)
一聴して感じたのは、息詰まるような緊張感に溢れたリヒター盤に比べて、何と穏やかで安らぎに満ちた音楽だろうということである。同じ楽曲が、演奏者によってこれほど違って聴こえるというのは、他の作曲家の作品でもほとんど経験がない。
もちろん、古楽器特有の響きの柔らかさもあるだろう。特に管楽器群の典雅な響きには心癒される。しかし、そこはやはりヘレヴェッヘの解釈と、それを余すところなく表現した楽員たちの実力が大きく寄与しているのは間違いない。
リヒター盤が、吉田秀和氏の言う「そう簡単にきく気にはなれない音楽」だとしたら、このヘレヴェッヘ盤は、心が病んだとき、安らぎを欲するとき、何度でも繰り返し聴ける音楽ではないかという気がする。やはりこの受難曲、ただものではない。
余談ながら、このCDのパッケージはデザインや配色が大変美しく、愛蔵盤とするのに相応しいクオリティを備えているのも特筆されるべきだろう。
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コメント
こんばんは。ヘレヴェッヘというと古楽のイメージがありますが、シューマンのsymや「大地の歌」の録音もあります。さすがにマラ5等はないようですが。それとブログを改めて拝読したら2006.3.30の日記を再読!!一緒に皇居5周をしてその後は居酒屋へ!!平日夜に皇居5周って、今、考えたらありえないです!!では近々!!
投稿: frun高橋 | 2022/02/28 20:24
frun高橋さん
ブラームスやブルックナーのCDもありますね。
こちらはシャンゼリゼ管弦楽団との録音ですが。
2006年の3月は懐かしいです。
初対面なのに閉店まで飲んでも話が尽きなかったですね。
高橋さんは長野マラソンの調整のため、
皇居5周を希望されたような記憶があります。
あれからもう16年になるのですね。
投稿: まこてぃん | 2022/03/01 13:10