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2022/01/18

バッハの宗教曲を聴き始める

Richter長年クラシック音楽に親しんできているのに、なかなか聴く機会が少なかった、というより何となく遠ざけてきたジャンルが2つある。それはオペラと宗教音楽である。

どちらも歌詞がつき、その内容が音楽と深い関りを有しているという共通点がある。前者はイタリア語やドイツ語、後者はラテン語やドイツ語が主流で、歌詞対訳を見なければ聴いても内容がほとんど分からないという面倒さがある。

オペラの方は2019年の手術後に集中的に聴き始め、主要な作品についてはひととおり鑑賞したと思うが、自分で勝手に「アーメンもの」と称している宗教曲については、苦手意識を払拭できないまま残ってしまっていた。

宗教曲を聴くに際しては、自分も含めて多くの日本人には縁遠いキリスト教や聖書についての理解が欠かせない。モーツァルトやベルリオーズ、ヴェルディのレクイエムなどは、まだしも声楽付きの管弦楽作品として鑑賞することも出来なくはないけれど、バッハの宗教曲となるともう完全にお手上げという状態だった。

しかし、「西洋音楽史上最大の傑作」と言われる「マタイ受難曲」をはじめ、バッハの宗教曲に一度も接しないままでいるのは悔しいという思いが募り、ついに高い敷居を跨いでみることになった。

カール・リヒター指揮によるCD10枚組のバッハ宗教曲集というボックスセットがうちにあって、一度も聴かないまま死蔵状態になっていたので、とりあえず「ロ短調ミサ」「ヨハネ受難曲」「マタイ受難曲」のいわゆる三大宗教曲をひと通り聴き終えたところだ。

まとまった感想を書けるまでまだ何度か聴き込む必要があると思うが、1日CD1枚にとどめたのが幸いしたのか、「絶対に居眠りするだろう」という予想は裏切られ、一応最後までちゃんと流れを追いながら聴けたのがまず意外だった。

仏教で言えば「抹香臭い」というのか、有難い説教を聞かされるような音楽を想像していたけれど、実際に聴いてみると、2つの受難曲はキリストの受難を巡る物語を音楽劇にしたような内容であり、主要登場人物や群衆それぞれの心理をリアルに描写した、たいへん変化に富む音楽に惹きつけられた。宗教的な理解にはまだほど遠いけれども、そうした音楽の魅力だけでも十分に「音楽史上の傑作」であることが分かった。

リヒターの録音は歴史的な名盤とされているが、解釈は他に類をみないほど独自のものらしい。他にも古楽器を使った演奏など多くのCDが出ているので、これからいろいろと聴いていきたいと思っている。

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コメント

バッハは私もまだまだです。小澤が武者修行で欧州に赴き、ウィーンで指導に著名な指揮者(名は伏せますが)に「あなたにバッハがわかるのか?」と言われて、傷ついたとか感じたエピソードがあります。まぁ小澤は(いや小澤に限らず)バッハ演奏は消極的でしたね。カラヤンがザビーネ・マイヤー事件でBPOと和解した演奏会が「マタイ」だったと思います。//それはさておき、まこてぃんさんには、私の愛聴CDベスト10!や「今、改めて思う、福岡・別大」等の企画をお願いしたいところです。大阪市役所の長島さん、今回の別大に出るのか?それも気になります(笑)

投稿: frun(高橋) | 2022/01/19 17:14

frun(高橋)さん
何で(  )付きなのかな?(笑)
小澤は1997年にサイトウ・キネン他と録音した
「マタイ受難曲」のCDをフィリップスから出しています。
なかなかの水準の演奏らしいですが、もう廃盤のようです。
愛聴するCDは多すぎてとても絞り切れません。
福岡や別大も次第に記憶のかなたに・・・。
とかいって、ただのものぐさですけれど。(苦笑)

投稿: まこてぃん | 2022/01/20 18:20

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