大島康徳氏最後のメッセージ
先月30日に大腸癌のため死去した元日本ハムファイターズ監督の大島康徳氏が、公式ブログ「この道」に残した最後のメッセージに心打たれた。野球人としての人生に満足している旨を述べた前半に続いて、彼はこう述べている。(原文の行間と写真は割愛)
これ以上何を望む?
もう何もないよ。
幸せな人生だった
命には
必ず終わりがある
自分にもいつか
その時は訪れる
その時が
俺の寿命
それが
俺に与えらえた運命
病気に負けたんじゃない
俺の寿命を
生ききったということだ
その時が来るまで
俺はいつも通りに
普通に生きて
自分の人生を、命を
しっかり生ききるよ
大島康徳
(引用終わり)
同じ病気を抱える者として、まさにかくあるべしと見習いたくなる、見事な辞世である。そう、人は誰でもいつかは死ぬ。その時、彼のように満足して逝けるかどうかこそが重要なのだ。遺産や勲章、葬儀の規模などどうでもいいことだ。
余命何か月と告げられて、この映画のようにそれまで果たせなかった願望を実現させるのも良いかもしれない(カネが許せばだけど・笑)。しかし、死の直前になってジタバタすることなく、彼のように「いつも通りに普通に生き」るのも清々しくて良いではないか。
現役選手としては83年に本塁打王を獲得、90年には2千本安打を放って名球会入りを果たした。引退後は日本ハムの監督やWBC日本代表の打撃コーチを務め、死の直前まで野球解説者として野球の仕事に携わり続けた。最後まで自分のポリシーを貫いた、天晴れな生涯だったのではないか。改めてご冥福を祈る。
9日追記
氏のブログが奥様によって更新され、自宅ではなく病院(緩和ケア病棟)で眠るように亡くなられたこと、家族がそこでの最期を「静かに、穏やかに、笑顔で」見送ったことが、淡々と、しかし万感の思いを籠めて書かれている。まさに「かくあるべし」である。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント