映画「ラ・ボエーム」
2008年、独・墺。ロバート・ドーンヘルム監督。アンナ・ネトレプコ、ロランド・ビリャソン他。ベルトラン・ド・ビリー指揮バイエルン放送交響楽団。アマゾンの紹介文。
1830年、パリ。クリスマス・イヴの夜、ボヘミアンたちが暮らす屋根裏部屋で一人残った詩人・ロドルフォの前に、階下に住むミミがローソクの火をもらいにやってくる。部屋の鍵を無くすミミ、鍵を探して暗闇の中で触れ合う手と手―。その瞬間、恋に落ちる。ところが不治の病を患っていたミミは日に日に悪化。貧く何もできないロドルフォは無力さに絶望し、ミミとの別れを決意する。ある日裕福な子爵の世話になっていたはずのミミが、思わぬ姿でロドルフォの前に現れる。(引用終わり)
1965年にミラノ・スカラ座で収録された映像は以前に観たが、本作はオペラハウスではなくスタジオのセットでの収録と思われ、プッチーニの音楽がついた映画という仕立てである。モノクロ画面も併用しながら、オウムや花などワンポイントでカラーを使うなど、さすがに映像は凝った作りになっている。
数あるオペラ作品でも屈指の名作である「ラ・ボエーム」は、本作以前にも2度映画化され(1926年、1936年)、さらにはミュージカル「レント」の原作になるなど、映像化にも適した作品でもあるようだ。大掛かりなグランドオペラとは対極的に、パリの屋根裏部屋を舞台に展開するミミとロドルフォの悲恋ドラマは、確かにアップ画像で観てこそのものかもしれない。
ネトレプコは当時37歳。その後はすっかり恰幅も良くなり、それにつれて少し暗さを帯びた独特の声質に移行したが、この当時は病身のお針子を見事に演じて哀れを誘っている。ビリャソンはラテン系の濃い顔(滝藤賢一に似ている?)に若干違和感があるが、歌唱はさすがに一級品である。ただ、他の配役で声が別人となっているのはなぜだろう。映像と音声の収録スケジュールが合わなかったのだろうか。
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