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2021/06/24

『椿姫ができるまで』

Traviata_202106230902012012年、仏。ヴェルディの傑作オペラ「椿姫」の製作に挑んだフランスのオペラ歌手ナタリー・デセイと、演出家ジャン=フランソワ・シヴァディエの姿を中心に、その舞台裏を追ったドキュメンタリー。アマゾンの紹介文。

2011年春、フランスのオペラ歌手ナタリー・デセイは、演出家のジャン・フランソワ・シヴァディエとともに、エクサン・プロヴァンス音楽祭で上演されるヴェルディの傑作オペラ「椿姫」の製作に臨んだ。演奏はルイ・ラングレ指揮によるロンドン交響楽団。練習の合間に茶目っ気を見せるデセイ、シヴァディエの演出の下、真っ新な稽古場から始まり、試行錯誤を経て、一つ一つのシーンを積み上げ、色彩に満ちた華麗な舞台に至る製作風景は観る者を魅了する。デセイの伸びのあるソプラノで聞かせる「椿姫」の名場面も映画の見どころの一つ。(引用終わり)

「オペラ映画」つながりでもう1本観てみたが、大変興味深かった。METライブビューイングなどで練習風景の一部が紹介されたりすることはあるが、オペラの製作過程をこれほど詳細に、かつ美しい映像美で表現したドキュメンタリー作品は珍しいのではないか。

歌手デセイと演出家シヴァディエが互いの感性をぶつけ合い、切磋琢磨しながらよりよい表現を目指して奮闘する姿は、確かにそれだけで1本の映画作品として十分成立しうることを証明したものと言えよう。

デセイほどの歌手が、あと15分しかない練習時間の最後に、第3幕ラストでヴィオレッタが倒れるシーンを何度も何度も試行錯誤するシーンは、彼女のプロフェッショナリズムを如実に示すと同時に、オペラがただ歌うだけのものではなく、演技や物語など多くの要素が組み合わさって初めて成立する総合芸術であることを教えている。

映画である以上、デセイとシヴァディエを中心にした台本進行という形は止むを得ないが、アルフレード役のチャールズ・カストロノヴォ、父ジェルモン役のルドヴィック・テジエ、指揮のルイ・ラングレらも一体となって健闘、さらには練習ピアニストや道具係などの裏方に至るまで、各自の仕事を全うしている様子がよく捉えられていて好感が持てる。

これを観ればオペラのことがもっとよく分かり、好きになること間違いなしの1本。ああ、時間がいくらあっても足りない!

明日から四国旅行に出かけるので、次回更新までしばしお待ちを。

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