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2021/05/10

歌劇「ポーギーとベス」

Porgybess_20210509212101オペラネタは久しぶり。ガーシュウィンが1935年に作曲したオペラ。2020年2月、コロナ禍直前に行われたメトロポリタンオペラ公演の録画を鑑賞。METライブビューイングの紹介文。

1920年頃のチャールストン、海岸沿いにある黒人たちの集落。腕っ節自慢のクラウンは、サイコロ賭博の最中に仲間のロビンズを殺し、逃亡する。置き去りにされたクラウンの情婦ベスは、前から彼女を想っていた足の不自由なポーギーにかくまわれた。やがて2人は恋仲になる。沖にある離島に隠れていたクラウンは、ベスを諦めてはいなかった。ポーギーは、ベスとよりを戻そうと家に忍び込んだクラウンを乱闘の末、殺してしまう…。(引用終わり)

伝統的なヨーロッパオペラとは一線を画し、アメリカの社会や文化を色濃く反映したストーリーで、音楽的にはもう半ばミュージカルと言って良い。実際、ボストンのコロニアル劇場で行われた初演はパッとせず、ブロードウェイ・アルヴィン劇場でのNY初演から人気が出始めたという。

一方で、様式的にはナンバー・オペラのように、アリアや重唱、合唱とそれ以外の「地」の部分が明確に分かれていたり、結局のところ「ファム・ファタル」に最後まで翻弄される男の物語であったりという、やや古典的な匂いを感じたのも事実だ。

しかし、そこはさすがにメトロポリタンオペラである。警官など白人役以外は全て黒人キャストを起用。ジャズや黒人霊歌などの影響を受けた音楽、それにダイナミックなダンスなどで、ガーシュウィンが現地取材までして描こうとしたアメリカ南部の作品世界を完璧に再現していた。

なかでも、「ニーベルングの指環」でアルベリヒ役を好演していたエリック・オーウェンズが、冒頭ゲルブ総裁がアナウンスした風邪症状を感じさせない熱唱熱演ぶりで貫禄を示し、それに新進ソプラノのエンジェル・ブルーが互角に渡り合っていたのが印象的だった。

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コメント

おっしゃる通り、これはミュージカルですよね。(わざわざ区分する意味はないけれど)
そもそもガーシュウィンのオペラって・・・(他に観たことないけれど)
それでいいのでは?徒にほかの文化を憧憬する必要はないし。
アメリカにはジャズがあるし、ブロードウェイも。(観たことないけれど)
だからガーシュウィンはオペラなんか作らなくてよかった。
でもヨーロッパへの憧れは、アメリカ人のDNAに染み込んでいるようで。

誤解を恐れず言えば、オペラはヨーロッパ、さらに言えばイタリア!
ラテン人が作り上げた芸術だと思います。
スカラ座、コンスタンツィ劇場、サンカルロ劇場、フェニーチェ劇場・・・(行ってみたいなぁ)
日本には歌舞伎座、南座。(^^!

投稿: ケイタロー | 2021/05/11 20:23

ケイタローさん
アメリカ人の多くはヨーロッパにルーツがあり、
「憧憬というよりDNA」とのご指摘は正鵠を射ています。
METで「仮面舞踏会」を観て帰りの電車の中で
イタリア系移民のおじさんから話しかけられ、ついに
序曲を口ずさみだしたのに驚いたことがあります。

投稿: まこてぃん | 2021/05/12 08:35

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