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2021/05/28

クーベリックのベートーヴェン交響曲全集

Kubelikベートーヴェンの9つの交響曲を、全て異なるオーケストラを指揮して録音するという、画期的な全集盤として話題になったもので、1971年から75年にかけて各楽団の本拠地で収録されている。各曲ごとの演奏は次のとおり。

第1番 ロンドン交響楽団
第2番 アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団
第3番 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
第4番 イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団
第5番 ボストン交響楽団
第6番 パリ管弦楽団
第7番 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
第8番 クリーヴランド管弦楽団
第9番 バイエルン放送交響楽団

こうして見るとまさに世界の主要楽団の揃い踏みで、その聴き比べという楽しみもあるけれど、クーベリックの一貫した解釈がどの演奏からも窺える点が興味深い。どっしりと安定感のある正統派そのものの演奏で、かつての巨匠指揮者の芸を受け継ぐような悠然とした運びに安心して身を委ねることが出来る。

中でも手兵バイエルン放響を振った第九がピカ一の出来で、次いでウィーンフィルとの第7、ボストン響との第5が素晴らしかった。9、7、5と来て、ベルリンフィルとの「英雄」が期待ほどでなかったのは残念だが、カラヤン全盛期の当時のベルリンフィルとは相性が良くなかったのかもしれない。以前に書いた「流線形の音楽」との路線の違いとでも言うべきか。

ところで、ジャケットの楽団名の表記は、イスラエルフィルを除き基本的に現地語だが、ウィーンフィルのみ独英併記、またクリーヴランド管弦楽団の前に “members of” がついている。CDのレーベルは通常表記なのにちょっと不思議である。

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