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2021/04/28

終焉の場所

お隣のT町にある緩和ケアホームを見学してきた。医師が治癒が見込めないと判断した癌などの患者を対象に、「その人らしく、尊厳をもって、有意義に過ごすことができるよう援助」することを目的とした施設である。

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具体的には、「癌自体に対する手術や、苦痛・副作用を伴う治療はしないが、苦痛を緩和する治療は積極的に行う」とともに、「精神的な苦痛、孤独、不安などを軽減して、安らぎのある時間を過ごせるよう、医師や看護師、ソーシャルワーカーなどのチームが患者と家族を支える」というものである。

病院内の一部門でありながら病室はすべて個室で、「明るく、広く、静かで、ぬくもりのある療養環境となるよう工夫」されている。共用スペースには半屋外のテラスガーデン、天井が高く陽光降り注ぐリビングルーム、瞑想室やガゼボまで備えていて、病院の病棟というよりも、ちょっと高級な有料老人ホームに近い。

延命のための無駄な治療は行わず、出来るだけ苦しみの少ない、枯れるような最期を迎えるのは自分の希望であるし、こうした恵まれた環境の中で静かにその時を迎えるのは理想的ではないかと思う。

おそらく、自分の終焉の場所はここになるだろう。2年前の手術以来、予想外の事態の連続だったが、最後ぐらいは自分の希望どおり終えたいものだ。

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2021/04/25

『ノマドランド』

Nomadland2020年、米。クロエ・ジャオ監督。フランシス・マクドーマンド、デヴィッド・ストラザーン他。公式サイトの紹介文。

企業の破たんと共に、長年住み慣れたネバタ州の住居も失ったファーンは、キャンピングカーに亡き夫との思い出を詰め込んで、〈現代のノマド=遊牧民〉として、季節労働の現場を渡り歩く。その日、その日を懸命に乗り越えながら、往く先々で出会うノマドたちとの心の交流と共に、誇りを持った彼女の自由な旅は続いていく──。(引用終わり)

一種のロードムービーかと思わせるが、この物語に目指すべき終点は存在しない。季節が巡るのと同じように、ノマドたちの人生もまた永遠の円環構造を繰り返すかのようである。彼らの別れの挨拶が「さようなら」ではなく、「またどこかで会おう」というのがそのことを象徴している。

クリスマスシーズンのアマゾン配送センターでのアルバイトから始まった主人公の季節労働も、公園清掃やレストランの厨房など様々な職種を経たのち、1年後にはまた同じアマゾンの仕事に戻るのである。

ノマドたちとの交流を通じて心の整理をつけたらしい彼女が、廃墟となったネバダ州の住居を再び訪れて、そこに残してあった夫との思い出の品々を全て捨てて、また新たな旅に出るところで映画は唐突に終わる。終点のない彼女の旅が、またそこから新たに続くことが示唆されているようだ。

この映画の大半はアメリカの大自然を背景にした、主人公の複雑な心理を窺わせる表情のアップといった映像から構成されている。アカデミー主演女優賞を二度受賞したマクドーマンドの静謐な演技が絶妙で、ちょっとした視線の動きにも深い意味と味わいを感じさせる。また、主役二人以外は本物のノマドたちが実名で登場し、彼らの実際の生活ぶりをありのままに再現していることが、本作のリアリティと説得力を強めている。

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2021/04/22

「僕」って誰?

数日前に「僕」と称する人物から、いかにもという詐欺メールが届いた。曰く「貴方のデバイスにマルウェアをインストールした。貴方がアダルトサイトを見て興奮し、自慰行為で絶頂に達する動画を保存してあるので、公開されたくなければ16万円相当のビットコインを48時間以内に送金しろ」と。

そもそも「僕」って誰? また、彼はメールを送り付けた相手の名前すら知らないようで、相手を特定せず無差別に送ったメールであることは明らかだ。自分のメールアドレスはニフティのIDだから、アルファベット3文字と数字5桁の組み合わせで出来ている。その約17億通りの組み合わせを自動的に生成するプログラムさえあれば、ニフティのアドレスを持つ全員にメールを送り付けることは誰にでも出来るわけだ。

アダルトサイトの閲覧をバラすというのは典型的な手口だが、送金方法がプリペイドカードなどではなく、ビットコインというところが目を引く。しかし、その具体的方法は自分で調べろと、自らハードルを上げてしまっている。

また、警察等に相談したことを「僕が感知したら」動画を公開するというが、ネットや電話でなく直接警察署に出向いて相談したとしたら、どうやってそれを「感知」できるというのだろうか。

さて、「僕」が与えた48時間の「猶予」から更に48時間が経過した。もう私の「卑猥な動画」が公開されていていい頃だし、何ならこのブログだって自由に操作できるだろうから、ここにアップしてくれてもいいはずである。抗癌剤治療の副作用と日々戦い、先だっては入院までした自分に、そんなサイトを見て興奮している余裕があるとすればの話だけれど。

もし、読者の中にヘンな動画を送り付けられてきたという人がいたら、遠慮なく申し出てほしい。即刻、地元警察署に出向いて脅迫罪の疑いで被害届を提出するつもりである。

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2021/04/19

『大病人』

Lastdance1993年、ITAMIFILMS製作、東宝配給。伊丹十三脚本監督。三國連太郎、津川雅彦、宮本信子ほか。KINENOTE の紹介文。

俳優兼映画監督の向井武平は、ガンで余命いくばくもないオーケストラの指揮者が最後のコンサートに挑むという映画を自ら監督・主演していたが、撮影中に倒れて病院に運ばれる。妻・万里子の大学時代の友人でもある医師の緒方洪一郎が担当医となるが、向井の体はあともって一年という癌に冒されていた。緒方は向井に病名を偽り手術を施すが、暫くすると向井はまた倒れてしまう。映画の共演者であり愛人である神島彩を病室に密かに呼び出し情事を行うなど、何かと問題患者の向井に怒った緒方はつい軽率な発言をしてしまい、向井はショックのあまり自殺を図る。一命を取りとめた向井は緒方に真実を告げてくれと訴え、いがみあっていた二人は協力して死を迎えることになった。(引用終わり)

本作が製作された1990年代前半まで、癌に関して患者本人には告知しないケースが少なくなかったが、この頃を境にして時代は転換点を迎え、「インフォームドコンセント」の観点から本人に告知する方が主流となってきたという。

本作の中でもそのことが如実に現れている。前半まで向井は「胃潰瘍」とされたまま手術を受けるが、周囲の状況から「自分は癌ではないか」との疑念を抱く。自暴自棄の末に自殺を図った向井は、何とも幻想的な臨死体験をする。

奇跡的に一命を取りとめた向井はそれを境に死を覚悟し、残された時間をいかに有効に過ごすかを考えるようになる。癌の告知や余命宣告は医師にとっての敗北だという緒方医師に対して、向井は次のように言って正々堂々、むしろ晴れ晴れと告知を受けるのだ。

「俺を死なすと考えるなよ」「死ぬまで、俺を最もよく生かすと考えろ」「いいんだ。この先は俺の生き方の問題で、君らの管轄外だ」「やりたいことを全てやったあとの安らかなエンディング」「うらうらと春の日の照る中を、ヒバリが上がるように昇天したいよ」

全く同感である。自分も今そのことだけを考えていると言って過言ではない。やりたいこと全てが出来るわけではないが、体力と財力(笑)の許す限りのことをし終えて、悔いのない最期を迎えたい。向井のように満足気に、そして周囲の人たちの微笑みに囲まれて。チューブで機械に繋がれたまま、ただ生かされているだけの末期なんて真っ平御免である。

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2021/04/16

軽自動車の名義変更

来るべき「その時」に備えて、家族になるべく手間をかけないよう、面倒そうな手続きは今のうちに出来ることをしておくつもりである。既に済ませたインターネットの名義変更に続き、軽自動車についても先日名義変更を行なってきた。

ディーラーなど業者に頼めば手っ取り早いのだが、1~2万円の手数料が必要になるそうで、平日に動ける身分なので自分自身でやってみることにした。不動産相続登記の申請に比べれば必要書類も少なく、所定のOCRシートに必要事項を記入するだけで済みそうである。

手続きを行う軽自動車検査協会がどこにあるかも知らず、買ったばかりのカーナビを使っても少し迷ってしまったが(笑)、整備工場のような建物に併設された事務所(左)と、その奥にある軽自動車税を扱う事務所との間を往復すると手続きが完了する仕組みになっている。「次は何番窓口に行って下さい」などと案内されるので素人でも迷うことはない。

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ものの30分ほどで新しい車検証が交付された。必要経費は住民票発行手数料のみで、名義変更そのものは手数料不要である。その場で自賠責保険の会社にも電話して、名義変更に必要な書類を送ってもらうことになった。これだけの仕事で2万円もボッタクられては堪らないと思った次第だ。

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2021/04/13

謎の保留メロディがようやく判明

ある業者に定期的に電話する機会があって、毎回担当者を呼び出している間、保留メロディを聞かされる。どこかで聞いたような気がするのだけれど、誰の何という曲か分からず、ずっと気になっていた。

その保留メロディがこれである。たぶん同じ機種の電話機から録音したものと思われる。さて、何という曲かお分かりだろうか(全画面にすると答えが出てしまうのでご注意)。ヒントは「1976年に発表された楽曲」である。

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2021/04/10

退院しました

昨日、無事に退院した。点滴と十分な休養のおかげで何とか体調は持ち直し、通常の食事を食べられるまでになった。まだ完全復帰とはいかないけれど、日常生活に特段大きな支障はない。

ただ、今回の事態をもたらした抗癌剤は、実は一昨年の手術の後で肝転移が判明して最初に投与されていたのと同じものだ。事情があって当初予定の8サイクルの途中で打ち切っていたため再開を試みたわけだが、想定外の強い副作用が出てしまった形だ。

それだけ体力が低下しているということになるが、これだけ正常細胞を痛めつけるなら、癌細胞も同じようにやっつけてくれているものと、いいように考えておくことにしよう。

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2021/04/06

またまた入院

昨日から再び入院することになった。先月末から抗癌剤の種類が変わり、その副作用がひどかったためだ。点滴の翌日から激しい下痢が始まるとともに、食欲がみるみる減退して、重い脱水症状を引き起こしていたのだ。

当初は病院で2回日帰りの点滴を受けたものの症状は一向に改善せず、昨日主治医の診察を受けたところ、即日の入院を言い渡されたという次第だ。早速24時間連続の点滴が始まり、体調が徐々に回復に向かっているのを実感する。

脱水症状ならサロマウルトラ100キロや、最後のレースとなった大阪マラソン等でもイヤというほど経験したが、今回のが間違いなく自分史上最悪のものとなった。

しばらくまたブログの更新が滞ることになるが、ご了承のほどを。

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2021/04/03

年金の繰上げ請求

本来の受給開始時期より早く年金を受給する「繰上げ請求」を選択することにし、先日最寄りの年金事務所に出向いて必要な手続きを済ませてきた。

年金の受給額は受給者が平均寿命まで生きると仮定して設計されている。繰上げ請求を選択した場合、受給額は一定割合で減額され、平均寿命まで生きた時点でトントン、それ以上長生きすると損ということになる。

つまり、平均寿命まで生きる見込みがないと分かっていれば、減額された年金であっても早めに受給した方が、「貰いっぱぐれ」が少ないということになる。自分の状況がまさにそうなのだ。

減額率は基礎年金が15.5%、厚生年金が3.5%となる。昭和33年生まれの自分の場合、本来の受給開始時期が前者が65歳、後者が63歳と2年の開きがあるためだが、遺族年金に反映する後者の減額が小さくなっているだけでも良しとしなければなるまい。

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