« 死後の手続き(前半) | トップページ | 『お葬式』 »

2021/03/22

死後の手続き(後半)

死後の手続きの中で最後にして最大の難関は、遺産分割協議および不動産登記である。前者は、被相続人(故人)が有効な遺言書を残していて、その通り遺産分割する場合は不要だが、遺言書の内容を一部でも変更したり、そもそも有効な遺言書が存在しない場合には、相続人全員が協議して具体的な遺産分割の内容を決めなければならないというものだ。

うちの場合は法的には無効ながら「遺言書」と題した父のメモが存在したので、それを参考に相続人一同(と言っても母、自分と妹の3人だけだが)が膝を突き合わせて配分を相談し、すんなりと合意に至ることが出来た。しかし、中には相続人の間で意見の対立が生じ、「争続」となってしまうケースも多いという。相続人同士が離れて暮らしていると、交渉自体が難航、長期化する恐れもある。

ともあれ、そうして合意した内容は「遺産分割協議書」として文書化し、相続人全員が署名のうえ実印を押捺することとされている。定められた書式は特にないが、ネットで検索するとひな形や記入例が多数出てくるので参考になる。

さて、最後の難関はここからで、遺産分割協議の結果を受けて、土地家屋の所有権移転登記を行なう必要がある。ただし、これは義務ではなく期限もないため、後述のような理由から移転登記がなされず、故人名義のまま放置されるケースがままある。それが何世代にも亘って繰り返されると多くの相続人が関係して、もはや誰が真の所有者か分からない「所有者不明土地」となりかねない。

不動産の所有権移転登記を申請するには、上記遺産分割協議書に加え、登記申請書などの書面を作成するほか、戸籍謄抄本や印鑑証明書など多くの書類を揃えなければならず、大変煩雑な準備作業が必要となる。そのため、司法書士と呼ばれる専門家に手続きを代行してもらうのが一般的だが、最低でも5~8万円程度の報酬を支払わなければならない。この煩雑さと費用負担が、相続しても登記がなされない主な原因となっている。

しかし、登記申請は素人でもやってやれないことはない。カネはなくても時間だけはたっぷりある身としては、一から勉強して自分で申請してみるに如くはないと思い立った。法務省のサイトから登記申請書の書式と記載例をダウンロードできるし、ネットで検索すると「相続登記を一人でやる完全ガイド」といった親切な記事があったりして、大いに参考にさせてもらった。

着手から約1か月。ようやく全ての書類を整ったので、先日近くの法務局の窓口に出向いて提出してきた。ただ、登記手数料に当たる登録免許税については金額計算に不安があり未納付のままだったので、一旦突き返されるかとも思っていたが、何のことはない。「過不足があれば精算するので、その金額の収入印紙を所内窓口で購入して貼付して下さい」とのことだった。

担当者は書類をざっと点検して適宜並び替えたあと、「書類を預かった上で疑問があれば電話で尋ねます。約1週間後には登記完了となる見込みです」と言ってくれた。所要時間はものの5、6分といったところか。申請自体は拍子抜けするほどあっさり済んだ。その後、本稿執筆時点まで法務局から電話はなく、このまま行けば首尾よく一発合格ということになりそうだ。(笑)

Kimg1259

|

« 死後の手続き(前半) | トップページ | 『お葬式』 »

コメント

僕は、去年公証人役場へ行って、公正証書遺言を作成して貰いました。
費用はそれなりに掛かったけど、銀行口座の解約や他の手続の煩雑さを考えると、これが一番簡単確実ですもんね。
証書を入れた大きな封筒を、すぐに分かる引き出しの一番上に置いてあり、しょっちゅう目にしています(^^;)

前に父親が死んだ時は、田舎の銀行で皆知り合いみたいな町だったので割と簡単だったけど、大阪ではそうは行かない筈(笑)。

投稿: AKA | 2021/03/24 17:51

AKAさん
さすがに用意周到ですね。
ただ、不動産の相続があれば所有権移転登記は必要だし、
死亡の事実が銀行に知られてしまうと預金口座は凍結され、
それを解除するためには、故人の出生から死亡までの
戸籍謄本等の提出が必要なのは変わらないはずです。

投稿: まこてぃん | 2021/03/25 08:45

この記事へのコメントは終了しました。

« 死後の手続き(前半) | トップページ | 『お葬式』 »