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2021/02/20

映画『ファーストラヴ』

Firstlove_202102192101012021年、製作委員会。北川景子、中村倫也、芳根京子他。公式サイトの紹介文。

川沿いを血まみれで歩く女子大生が逮捕された。殺されたのは彼女の父親。「動機はそちらで見つけてください」。容疑者・聖山環菜(芳根京子)の挑発的な言葉が世間を騒がせていた。事件を取材する公認心理師・真壁由紀(北川景子)は、夫・我聞(窪塚洋介)の弟で弁護士の庵野迦葉(中村倫也)とともに彼女の本当の動機を探るため、面会を重ねる。
二転三転する供述に翻弄され、真実が歪められる中で、由紀は環菜にどこか過去の自分と似た「何か」を感じ始めていた。そして自分の過去を知る迦葉の存在と、環菜の過去に触れたことをきっかけに、由紀は心の奥底に隠したはずの「ある記憶」と向き合うことになるのだが…。(引用終わり)

島本理生の同名小説を映画化。原作にほぼ忠実にというより、むしろ小説より要領よく纏まっているように感じた。原作を読まずに観た人にもストーリーを追うのがさほど難しくないだろう。本筋から少し外れたエピソードは割愛し、環菜と由紀の関係性とその変容を軸に構成したことが功を奏している。

監督の堤幸彦、脚本の浅野妙子の手腕によるところが大きいのはもちろんだが、芳根京子、北川景子の迫真の演技がなければなし得なかった作品だろう。特に終盤、東京拘置所面会室での両者の全人格をかけた対峙シーンは大変な迫力があり、仕切りのアクリル板にお互いの顔が映り込んで重なる映像も示唆に富んでいる。

カット割りによる構成を得意とする堤監督にしては珍しく、このシーンではあえて長回しを決断して二人の演技に任せたという経緯が、公式サイトの「プロダクション・ノート」で紹介されている。

北川景子の演技が目に見えて向上しているのを感じた。若い頃はどうかすると真剣な取り組みが裏目に出てしまい、息苦しさすら感じることがあったが、本作では良い意味で肩の力が抜けた、余裕を残した演技ぶりだった。願わくば大器晩成タイプで、このまま着実に大女優への道を歩んでほしいものだ。

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コメント

まだ観ていませんが堤幸彦ファンが絶賛していました。上映中なので機会があれば観てきます。北川景子さんはCM,ドラマ等でも大活躍ですね。少し古いですが小生は藤沢作品の「花のあと」がお気に入りです。今年公開予定の「キネマの神様」にも出演予定とか大物俳優に囲まれてどんな演技になるのか楽しみです。

投稿: ブッちゃん | 2021/02/25 10:41

ブッちゃん
記事に書いたように、原作を読まなくても
十分楽しめますので是非ご覧ください。
北川景子は4月期の連ドラ主演も決まり、
仕事が途切れませんね。大したものです。
私も『花のあと』がきっかけでファンになりました。

投稿: まこてぃん | 2021/02/26 09:15

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