『約束のネバーランド』
2020年、製作委員会。浜辺美波、北川景子他。公式サイトの紹介文。
幸せに満ち溢れた楽園のような孤児院、「グレイス=フィールドハウス」。そこで暮らす孤児たちは、母親代わりでみんなから“ママ”と呼ばれている、イザベラ(北川景子)のもと、里親に引き取られる年齢になる日を待ちわびていた。エマ(浜辺美波)、レイ(城桧吏)、ノーマン(板垣李光人)の3人も、いつか外の世界で暮らすことで、より幸せな日々がやってくると信じていた。“その日”がくるまでは……。
里親が見つかり、孤児院を笑顔で後にするコニーを見送ったエマとノーマンは、彼女が肌身離さず抱きしめていた人形が、食堂に落ちているのを偶然見つける。忘れ物の人形を届けるため、決して近づいてはいけないと、ママから教わっていた「門」に向かった2人がそこで目にしたのは、無残にも命を奪われ、食料として出荷されるコニーの姿だった。
そう……、みんなが「楽園だと信じていた孤児院」は、実は「鬼に献上する食用児を育てる農園」で、さらには母親のように慕っていたママは、「最上級の食用児を育てる飼育監」だったのだ。全てが偽りだったと気がついた3人は、孤児たち全員を引き連れた、無謀ともいえる脱獄計画をスタートさせる……。(引用終わり)
原作は『週刊少年ジャンプ』連載の同名コミックで、既にTVアニメ化されているが、その「禁断の実写映画化」という触れ込みである。公式サイトを見る限り原作者が映画化に反対していたという記述はなく、何ゆえに「禁断」なのかは不明であるが(笑)。どちらかと言えば若い人向けの作品で、還暦を過ぎたオジサンが観るべきものではなかったかもしれない。
紹介文からも分かるように、一見するとカズオ・イシグロ原作の『わたしを離さないで』に似たストーリーであるけれど、イシグロ作品が医療の進歩と臓器移植といった重い問題提起を含んでいるのに対して、「外」の世界を支配する鬼に食べられるという本作の設定は、ファンタジックとも荒唐無稽とも言え、コミックの世界ならではなのかもしれない。
北川景子の悪役は『探偵はBARにいる3』以来か。美女であればあるほど悪役は冴えるという見本みたいな演技はさすがだった。これに対し、主役エマを演じた浜辺美波は、明るく健気という単純なキャラ設定にとどまり、内面の迷いや懊悩などがほとんど窺えないのは残念だ。その他、公式サイトでは伏せられているサプライズ・キャスト(?)が終盤に登場し、ちょっと驚いた。
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