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2020/12/10

歌劇「西部の娘」

Delwestプッチーニが作曲したオペラ版西部劇ともいうべき作品。本作を委嘱し1910年に世界初演したメトロポリタンオペラの2018年公演の録画を鑑賞。ライブビューイングの紹介文。

19世紀半ば、ゴールドラッシュに沸くカリフォルニア。酒場ポルカの女主人で、鉱夫たちのマドンナでもあるミニーは、初めて酒場に現れたディック・ジョンソンと惹かれ合う。実はジョンソンは盗賊団のボス、ラメレスだった。ミニーに気がある保安官ランスは彼の正体をミニーに明かすが、彼女は撃たれたジョンソンをかくまい、彼の命を賭けてランスとカードの勝負をする。危うく勝ち抜けたミニーはジョンソンを逃すが、彼は盗賊団を恨む鉱夫たちに捕まり、ランスの前に引き出された。死を覚悟し、ミニーへの伝言を口にするジョンソン。そこへミニーが現れ…。(引用終わり)

それぞれ日本、中国を舞台にした「蝶々夫人」「トゥーランドット」とあわせて「ご当地三部作」と呼ばれるが、作曲者が実際に訪れたことがあるのは、本作の舞台となったアメリカのみである。

METの舞台は、カリフォルニアの酒場内部のセットや、荒くれ男たちの迫力ある擬闘など、さすがに「本家」だけのことはあってリアリティに富み、西部劇の映画を観ているような錯覚に陥る。

ジョンソン役のヨナス・カウフマン、ミニー役のエヴァ=マリア・ヴェストブルックは言うまでもなく、敵役の保安官ランスを演じたジェリコ・ルチッチが味のある歌唱と演技で主役を盛り立てる。

プッチーニの音楽は4管編成に拡大するとともに、無調音楽へと限りなく接近していて、既に20世紀に入って10年という時代を感じさせる。初演でジョンソンを歌ったカルーソーの注文で追加されたという第3幕のアリアが秀逸である。

12月9日 ジョグ4キロ

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コメント

♪やがて来る自由の日♫
アメリカ人好みのオペラですね。
僕はもう一つ好きになれなくて・・・
素敵なアリアがほとんどないし、不協和音も多いし・・・(すみません)

<プッチーニ異国趣味Best3>
①『蝶々夫人』
②『トゥーランドット』
③『西部の娘』
とはいっても、1・2位と3位では人気の差が大きいように思います。それは想像力とリアリティの差ではないでしょうか。プッチーニは日本や中国へは行ったことがないけれど、アメリカへは実際に行って、否、それが災いしているような。
リアルで面白い西部劇なら、子供のころ山ほど観たしねぇ~。(^^)

カウフマン、しっとりと落ち着いた声がいいですね。
たしか3年連続でMETをキャンセルした後の公演だったと思います。
キング・オブ・キャンセル魔(笑)

投稿: ケイタロー | 2020/12/11 15:29

ケイタローさん
仰るとおりで、①②に比べると見劣りがします。
そのあたりについて、カウフマンはインタビューで、
「決して難しい音楽ではないけれど、良さが分かるまで
時間がかかる」と、少し苦しい説明をしていました。
カルーソーも「このオペラにはアリアがないじゃないか」
と文句を言ったのだとか。(笑)

投稿: まこてぃん | 2020/12/12 08:51

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