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2020/12/04

『ドクター・スリープ』

Drsleep2019年、米。キューブリック監督により映画化されたS・キング初期の代表作『シャイニング』から36年後、キング自身が発表した同名の続篇小説を映画化したもの。マイク・フラナガン監督。WOWOWの紹介文。

山奥にあるオーバールックホテルで冬だけの管理人になった父親ジャックが狂気にとらわれ、妻や幼い息子ダニーらに襲い掛かる惨劇を起こしてから約40年後。大人になったダニーは今も惨劇のトラウマに苦しむがホスピスで働き、“シャイニング(輝き)”と呼ぶ超能力で患者たちを癒やし、周囲から“ドクター・スリープ”と呼ばれる。そんなダニーの“シャイニング”はかつて会ったことがない少女アブラからのSOSを感じ取り……。(引用終わり)

小説としては同じ作家の続篇であっても、さすがに映画化されたものはそう単純にはいかない。前作が魑魅魍魎の跋扈するホテルでの恐怖体験を味わわせる純粋サスペンスものであるのに対して、本作は超能力者同士の対決を軸としたアクション・ホラーといった趣が強く、善悪の区別が明確なだけに結末の予想を含めてある意味安心して観ていられる。

もちろん、ただ単純に前作を踏まえた続篇というだけでなく、前作では曖昧なままになっていた「魑魅魍魎」の正体に踏み込んだ上で、それとの命を懸けた対決により、40年前の惨劇に最終決着をつけるという伏線回収が試みられている。

主演のユアン・マクレガーは、トラウマを抱えたダニーという人間の弱さ、それを克服するための涙ぐましい努力、そして遂に自分自身で問題を解決するまでの過程を説得力豊かに表現している。

一方、アブラと彼をつけ狙う謎のオカルト集団(?)の首魁、ローズ・ザ・ハットを演じたレベッカ・ファーガソンの魔女ぶりは背筋が寒くなるほどで、やはりこの手の映画はいい悪役がいないと締まらないと思った。

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