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2020/12/13

『サイレント・トーキョー』

War_is_over2020年、製作委員会。秦建日子の小説を映画化。佐藤浩市、石田ゆり子他。公式サイトの紹介文。

12月24日、東京。恵比寿に爆弾を仕掛けたとTV局に電話が入る。半信半疑で中継に向かった来栖公太は、そこにいた主婦・山口アイコとともに犯人の罠にはまり、実行犯へと仕立てられてゆく。その様子を朝比奈仁が静かに見つめるなか、爆発は起きた。そして次の犯行予告が動画サイトに上げられる。「標的は渋谷・ハチ公前。要求は首相との生対談。期限は午後6時」。独自の捜査を行う刑事・世田志乃夫と泉大輝、不可解な行動をとるIT企業家・須永基樹、イヴの夜を楽しみたい会社員・高梨真奈美、そして一帯を封鎖する警察、事件を一層煽るマスコミ、騒ぎを聞きつけた野次馬たち。様々な思惑が交差する渋谷に“その時”が訪れる。それは、日本中を巻き込む運命のXmasの始まりだった。(引用終わり)

犯人が要求した「首相との生対談」で取り上げるはずだったテーマは、前安倍政権が推進した安全保障法制についてであり、本作はその安保法制に反対するメッセージが明確に籠められている。むしろ、パニック映画に仮託した反戦映画とさえ言えるかもしれない。

人畜無害(笑)の当ブログとして安保法制の問題に踏み込むことは避けるが、パニック映画としてはなかなかよく出来た作品であると思う。特筆すべきはヤマ場となる渋谷スクランブル交差点での爆破シーンで、栃木県足利市に実物大の交差点のセットを建造し(背景の建物等はCG)、多数のエキストラを動員して撮影されたそうで、実際に渋谷でロケしたようなリアリティに溢れている。

ただ、TV放映時のカットを避けるためか99分という尺に収めたことにより、登場人物の過去や相互関係に関する説明が不足しているのと、上に引用した紹介文の中に、犯人を誤認せしめる不正確な記述が含まれているのは残念である。

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コメント

初コメントです。
当ブログとしては異色の作品のようですが小生も観ております。(以下ネタバレあり)
自衛隊の平和維持活動を安易に提言する政府と海外の最前線で活動する自衛官の危険性と苦悩、大手マスコミ社員の傲慢さと下請けアルバイターの過酷な業務、爆破予告のあった渋谷の厳戒態勢のなかでそれをどこ吹く風とイブを謳歌する若者たち。昨今ありがちな風景を散りばめ展開していくが何とも尺が短すぎて全体が分かりづらい。渋谷の爆破シーンは目玉とあって日本映画もハリウッドに並んだかと思わせたが何度も繰り返されるのでチョットうんざり。だったら短い尺をもう少し背景の説明に使った方が良かったと思ってしまいます。キーキャストの石田ゆり子もどう見ても風体は優しいおばさんで重大な決意を持った女性の秘めた緊張感が欠けていました。作品にメッセージがあるとするなら弱すぎると言う印象で小生の評価はやや辛口です。 今年のクライムサスペンス邦画では「罪の声」をトップに挙げておきます。

投稿: ブッちゃん | 2020/12/22 08:42

ブッちゃん
初コメントは2008年2月の別大マラソン当時で、
今回は約13年ぶり、2回目となります。
それはともかく、長文のコメントありがとうございます。
仰るとおりで、特に石田ゆり子と佐藤浩市との関わりが
非常に分かりづらかったですね。
そのせいで、伏線のつもりのサンドイッチの話が、
最後までピンと来ないまま終わってしまいました。
『罪の声』はまた機会があれば観てみたいです。

投稿: まこてぃん | 2020/12/22 20:59

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