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2020/11/22

あるコンサートでのハプニング

新たにまたブラームスの交響曲を聴いて、ずいぶん昔に行ったコンサートでの思わぬハプニングを思い出した。

1974年10月2日、まだ高校生だった自分は、大阪・中之島のフェスティバルホールで開催された、バイエルン国立歌劇場管弦楽団の特別演奏会を聴いていた。指揮はヴォルフガング・サヴァリッシュで、メイン曲はブラームスの交響曲第1番。演奏そのものの記憶はもうほとんどないが、第2楽章の最後でコンサートマスターがソロを奏でる箇所でそれは起こった。

弦のピチカートで奏される3連符の上昇する分散和音を受けて、ソロ・ヴァイオリンがアルコ(弓で弾く)でその続きを情緒たっぷりに締め括るという聴かせどころである。音名で言うと、gis-h-e-gis-h-e-gis 、階名で言えばミソドミソドミというホ長調の主和音を、単純に上昇するだけの音型である。

ところが、当夜のコンサートマスター氏は何をどう勘違いしたのか、最初を三度低い e(ド)から始めてしまったのだ。そのままドミソドと続けていけば最後がドで終わり、ミが1音足りないことになる。さすがにすぐに気が付いたのだろう、それはもう見ていて気の毒なほど顔が真っ赤になり、内心では必死に対処方法を考えているに違いないのに、表面的には美しいソロを続けている振りをしている。

途中の1音を飛ばしたりしてもさほど不自然には感じられなかっただろう。しかし、そこはいかにもドイツ人の真面目さというか、融通の利かなさというか。そのまま弾き続けて、最後はやはりドで一旦落ち着いてしまったが、少し後からさりげなくミを追加して何とか辻褄を合わせる形で終わった。

もちろん気が付いた聴衆も多かったに違いないが、遠路来日したバイエルン歌劇場のオケに敬意を表してか、場内がざわついたりすることはなかった。天下の名門楽団でもこんなハプニングはあるのだとその時は思ったものだが、その後の数多の演奏会でもこれに匹敵する出来事に遭遇したことはない。

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