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2020/11/08

喜歌劇「こうもり」

Fledermaus「ワルツ王」ヨハン・シュトラウスⅡ世が作曲したウィンナ・オペレッタの代表作。1983年大晦日のコヴェント・ガーデンの公演録画を鑑賞。指揮はプラシド・ドミンゴ。舞台上の成り行きから、ピットの指揮者が「清きアイーダ」の一節を朗々と歌う場面もある。

資産家アイゼンシュタインは役人に暴行した廉で禁固刑に服する予定だが、尋ねてきた友人ファルケにオルロフスキー公爵邸の舞踏会に妻ロザリンデともども、ただしお互いに内緒で誘われる。ファルケは「こうもり」の仮装のまま放置された仕返しに、愉快な復讐劇を仕組んでいたのだ。夫を送り出したロザリンデの前に、かつての恋人の声楽教師アルフレードが現われ、愛をささやいている間にアイゼンシュタイン当人と間違われ連行されてしまう。
華やかな舞踏会会場。フランス貴族に成りすましたアイゼンシュタインは、仮面をつけたハンガリー公爵夫人を妻と気づかず、懐中時計を使って口説こうとするが時計を巻き上げられる。歌・踊り・シャンパンに溢れた舞踏会が最高潮に達し、新年を迎える。翌朝、刑務所に出頭したアイゼンシュタインは、自分の名で投獄されているアルフレードと、駆けつけてきたロザリンデの関係を疑い、妻の浮気を責め立てる。しかし、ロザリンデはアイゼンシュタインから奪った時計を取り出し、逆にやり込めてしまう。そこへ、この茶番劇の仕掛人ファルケとオルロフスキーが現われ、「悪いのはみんなシャンパンの泡のせい」と大団円を迎える。

あらすじが少し長くなってしまったが、要するに倦怠期の夫婦の浮気合戦、変装大会がひとしきり盛り上がったところで種明かしとなり、「目出度し目出度し」で幕を閉じるという、例によって何とも他愛のない筋書きである。アイゼンシュタインが刑務所に入る件はどうなったのかと思ってしまうが、それを言うのはヤボというものか。

初演された1874年当時のウィーンは、前年のウィーン万国博で頂点を極めたバブルが崩壊、株式市場が大暴落して自殺者が続出するなど、重苦しい空気に包まれていたという。そんな状況から一時的にでも逃避するためか、人々はこのお気楽なオペレッタに熱中した。第1幕でアルフレードが歌う。「ままならないことは忘れよう! 忘れることは幸せだ」と。

本作は劇中の設定と同じ大晦日に上演される機会が多いそうで、ジルベスターコンサートのオペラ版というのか、華やかな趣向が凝らされるのが通例となっている。この公演でもヘルマン・プライ、キリ・テ・カナワの豪華コンビに加えて、第2幕の舞踏会の余興(?)では、英国の人気芸人やシャンソンの大御所アズナヴール、ロイヤルバレエのスターが登場して喝采を浴びている。

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コメント

コロナの感染が一向に収まらない中では、お気楽なオペレッタがいいですね。
先日、ヨナス・カウフマンのウイーンでのコンサート映画を観たんですが、ワルツって思わず身体がリズムを刻んでウキウキしてきますよね。前のおじさんが右手で指揮していて、ちょっと迷惑でしたが。(^^)

そして
この序曲を聴くとNHK・FMの「オペラアワー」を思い出します。
「日曜日の午後のひととき、オペラのステレオ全曲録音レコードでお楽しみいただくオペラアワー・・・」。
しっとりとした女性アナウンサーの声。
いつからなくなったんだろう?
僕がオペラ好きになった懐かしい番組でした。

投稿: ケイタロー | 2020/11/09 10:01

ケイタローさん
「オペラアワー」懐かしいですね。
時報に続いて「こうもり」序曲で華やかにスタート、
音楽が少し落ち着いたところで始まるナレーションは
確か後藤美代子アナウンサーだったと思います。
現在では金曜午後の「オペラ・ファンタスティカ」に
受け継がれ、こちらのオープニング曲はウェーバーの
「オイリアンテ」序曲です。これまた華やかな曲想で
オペラ番組の幕開けにピッタリです。

投稿: まこてぃん | 2020/11/09 18:29

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