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2020/10/27

歌劇「ボリス・ゴドゥノフ」

Borisgodunov_20201027084401プーシキンの同名劇詩をもとに、ムソルグスキーが作曲したロシア国民楽派オペラの代表作。1874年、ペテルブルクにて初演。2019年12月、モスクワ・ボリショイ劇場における公演の録画を鑑賞。

子供がいない皇帝フョードル1世が歿し、後継者と目されていた異母弟ドミトリーも変死。ドミトリーを暗殺した疑いのある摂政ボリス・ゴドゥノフが皇帝の座に就く。一方、僧院では若い修道僧グリゴリーが老僧ピーメンからボリスについての真相を聞き、秘かな野望を抱いていた。グリゴリーは死んだドミトリーになりすまし、ポーランドの支援を得て反乱軍を組織する。ボリスは将来自分の子に帝位を継がせようとしているが、反面、良心の呵責に苛まされ、あげくは政治も行き詰まって国は荒廃し、次第にボリスの精神が破綻していく。そしてグリゴリーの反乱軍がモスクワに迫り・・・。

16世紀末から17世紀初頭にかけて、ロシア史上「動乱時代」と呼ばれる混乱期に実在した皇帝ボリス・ゴドゥノフを巡る権力闘争とその非業の死を描く。

一方で、そうした政治の混乱は、その最大の犠牲者となった民衆の怨嗟や闘争心を掻き立てる。そうした不穏な社会情勢が、作品全体に通奏低音のように投影され、オペラのもうひとつの軸として展開していく。

初稿版ではボリスが死んだあと、民衆がモスクワに進軍するところで幕となっていたという。陰の主役は民衆であるというわけだ。しかし、やはりオペラとしては主人公の死で終わるという定石どおりの現行版の方がすんなり来る。

陰惨でどこにも救いがないストーリーには辟易しそうになるが、ムソルグスキーの深みのある音楽に加え、豪華絢爛な舞台装置や衣裳は一見の価値があり、総合芸術であるオペラとして十分完成度の高い作品であるのは間違いない。

10月25日 ジョグ4キロ

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コメント

だいぶ昔、と思って調べたら2010~11年のゲルギエフ指揮のMET。
あのイヴァン雷帝の側近から皇帝にのし上がった人物。主人公としては申し分ないんですが・・・
合唱が多くて、あまり面白くないなぁという感じで・・・(すみません)
ロシア語のオペラは初体験でしたが、オペラ向きの言語ではないような印象が残っています。

投稿: ケイタロー | 2020/10/30 15:52

ケイタローさん
ボリショイはオケも合唱も相当迫力ありましたよ。
音のヴォリューム感が半端ない感じです。
よく分かりませんが、ロシア語って耳で聞くと
子音が複雑で、母音も曖昧な音が多いような
イメージがあります。イタリア語の真逆ですね。

投稿: まこてぃん | 2020/10/31 21:19

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