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2020/09/09

『パリ、テキサス』

Paris1984年、仏・西独。ヴィム・ヴェンダース監督。ハリー・ディーン・スタントン、ナスターシャ・キンスキー他。

テキサスの砂漠をさまよい歩く男トラヴィス。倒れて口もきかない彼を、連絡を受けて駆けつけた弟ウォルトがロサンゼルスの自宅に引き取る。そこには、トラヴィスと別れた妻ジェーンの間に生まれた息子ハンターがいた。4年前に置き去りにされたハンターは、ウォルトとその妻アンに育てられていたのだ。やがて、ようやく自分に心を開いたハンターを連れて、トラヴィスはジェーンを探すため再びテキサスへと旅立つ…。

1985年の劇場公開時に一度観たことがある。しかし、冒頭トラヴィスが砂漠の中を黙々と歩くシーンと、ラスト近くでジェーンが長い告白をする中の “Every man has your voice.”(どの男の声もあなたなの)というセリフだけは覚えていたものの、主人公が最後に取った行動がいまひとつ理解できないでいた。

今回改めて観て、ようやく何となく分かった気がした。俗っぽい言い方で気恥ずかしいが、多分これは「男のけじめ」なのだろうと。

トラヴィスは家族の修復を願ってジェーンに会いに行ったけれど、ようやく見つけた彼女と実際に話してみてやはりそれは無理だと、どこかの時点で悟ったに違いない。ジェーンは4年前のままのジェーンだった。仮に縒りを戻して一緒に暮らしても、また同じことの繰り返しになるだけだと。

そうである以上、自分はもう身を引く以外にない。そして、ハンターには何の罪もない。弟夫婦には悪いけれど、実の母ともども自由に暮らして幸せになってほしい。万感の思いを呑み込んで、トラヴィスは黙ってヒューストンを後にするのである。そこに流れるライ・クーダーの Dark Was the Night …。

大変切ないエンディングだが、彼に出来ることはそれしかなかった。そして、それが一番良かったのだ。

9月9日 ジョグ2キロ

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コメント

ヴェンダース大好きです。
ドイツ映画って、独特の雰囲気がありますね。ナチス物以外の公開が少ないのが残念ですが。

ヴィム・ヴェンダース勝手にBest3
① 「ベルリン・天使の詩」
天使が主人公部門1位。西ドイツのベルリン、行きたいなぁと思っているうちに、あっという間に壁がなくなって・・・
ブルーノ・ガンツがいいです。
② 「パリ、テキサス」
ロードムビー部門1位。てっきりパリからテキサスへの旅だと思っていたら・・・(^^!
ナスターシャ・キンスキーがいいです。
③ 「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」
ドキュメンタリー部門1位。キューバの音楽なんてほとんど知らなかったので・・・
ライ・クーダーのアルバムもいいです。

番外編
「東京画」
ヴェンダースといえば敬愛する小津安二郎。「東京物語」に関するドキュメンタリーです。映画が描く50年代の東京じゃないけれど。
「ローマ法王フランシスコ」
謎めいたバチカンの内部と法王の人柄が勉強になりました。法王庁のプロバガンダ映画だけれど。
やっぱりドキメンタリーの監督ですかね。(^^)

投稿: ケイタロー | 2020/09/10 10:30

ケイタローさん
恒例のBest3、ありがとうございます。
また機会をみて観てみようと思います。
私は「ドイツ映画+砂漠」からの連想で
『バグダッド・カフェ』を思い出しました。
『パリ、テキサス』で兄弟が泊まるモーテルに
同じような給水タンクがありましたし…。

投稿: まこてぃん | 2020/09/11 08:43

『バグダッド・カフェ』
いいですねぇ。
給水塔部門第1位(^^)
「コーリング・ユー」はもちろん、バッハの「平均律グラヴィ―ア」も。

投稿: ケイタロー | 2020/09/11 10:50

ケイタローさん
コメントを書いた後で調べてみたら、
『バグダッド・カフェ』は1987年で、
ほぼ同時期に製作された作品だったのですね。
単なる偶然ではないような気もします。

投稿: まこてぃん | 2020/09/11 19:17

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