感染は拡大しているのか?
「国内での新型コロナウィルスの感染が拡大している」と、連日のように報道されている。果たしてそれは本当か。
「感染が拡大している」とは、①「国内のウィルス感染者の総数(またはその推計値)が増加している」という意味のはずである。しかし、報道されているのは、②「国内で新たに感染が確認された人の数が急増している」ということである。①と②は同じではない。無関係と言ってもよい。
①を実証するためには、統計的に有意な(意味のある)結果を得るのに十分な数のサンプルを無作為に抽出し、毎回同じ方法で検査を行って推計した感染者総数を、時系列で比較する必要がある。各種の世論調査はその方法に則って行われ、それではじめて「内閣支持率が低下している」などと言うことが出来るのだ。
しかし、ことコロナの感染者総数に関しては、統計的に信じるに足る推計値は見かけたことがない。検査陽性率から大雑把に推計することは出来なくないが、次で述べるように検査が無作為抽出でない以上、あまり意味をなさない。
②は、統計のための検査ではないので当たり前だが、感染者の総数を把握する上では意味がない。検査は無作為抽出ではなく、その対象者や人数自体が変化(増加)している上に、使用器材の関係で検査の内容や精度も変わっていると聞く。
その結果数値の日々の変動をいくら追跡したところで、それ以上の事実を推測することは出来ない。「感染が新たに確認された人の数」をもって、「感染者総数(またはその推計値)の増減」を論じることは出来ないのだ。
では、感染者総数は増加しているのか? ①のような推計値がない以上、「それは分からない」としか言いようがない。増加しているかもしれないし、もしかすると総数は減少しているのに、新規確認者だけ増加していることだってあり得る。しかし、いくらそれが真実だと言ったところで、なかなか理解してもらえないだろう。
それよりも、こうして実際に感染確認者が増えているのだから、感染は拡大しているに違いないというイメージが広まるのは無理もないところだ。問題は、それに乗じて「感染は拡大している」「感染の第2波が起きている」と言い切ってしまうことで、自己の利益になる人々が少なからず存在することだ。
人々の不安心理を掻き立てれば掻き立てるほどテレビの視聴率は上がるので、スポンサーや広告代理店は喜び、その方向で発言する「評論家」や「感染症の専門家」は出番が増え、一部の自治体トップはここぞとばかり自己アピールに精を出し、抜け目ない連中は買い占めや転売でひと儲けするという具合である。
実際には感染が拡大していなかったとしても、「感染拡大の危険はあった」といくらでも言い逃れが出来るし、そもそも彼らは責任を取る必要がないのだから気楽なものだ。
8月6日 ジョグ2キロ
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