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2020/08/13

『ガープの世界』

Tsgarp1982年、米。ジョージ・ロイ・ヒル監督。ロビン・ウィリアムス主演。Yahoo! 映画の紹介文。

看護婦のジェニーは、男には束縛されず子供だけが欲しいという思いから、病院に運び込まれた傷病兵と一方的にセックスする。やがて生まれた子供はガープと名づけられた。思春期を迎えた学生ガープは、所属するレスリング部のコーチの娘ヘレンに恋をする。だがある日、ジェニーとガープは突然ニューヨークへ発ってしまう。親子は揃って小説家を志すようになり、ジェニーはウーマン・リブのベストセラー作家となる。ガープも作家の才能が開花し、へレンと結婚。子供も授かり、順風満帆な人生を送るかにみえたのだが…。(引用終わり)

ジョン・アーヴィング(レスリングのレフェリー役でカメオ出演)原作の同名小説を映画化。出生の経緯からして普通でない主人公の、あらゆる想像を超えた摩訶不思議な一生を辿る。

その一例がジャケット写真である。ガープとヘレンが新婚の住まいに契約しようとした家に、何と小型機が激突するのである(無傷で現れたパイロットはヒル監督のカメオ出演)。

これほど不吉なことはないと他を当たると思いきや、茫然とするヘレンや不動産屋に向かって、ガープは「この家に再び飛行機が衝突する確率は天文学的に小さい」と喜び、そのまま契約するのである。

一事が万事、思いも寄らぬ展開の連続に唖然とするうちに、ハチャメチャとも破天荒とも、何とも形容しがたい主人公の人生は唐突に終わりを迎える。その前の彼の述懐が意外に深い。

「過去の人生が一つの弧を描いてて、出来事が次の出来事につながってる。1本の線だ」

どれだけ奇想天外な出来事、悲惨な出来事であろうと、振り返ってみればその全てに意味がある。なぜなら、その繋がりの全体こそが人生に他ならないのだから。

人生かくあるべし。そこから外れたら軌道修正が必要だ。そういう普通の生き方、言うなれば道徳的な価値観、世界観に対するアンチテーゼのようである。原題の The World according to Garp とは、そうした「ガープ流の世界観」といった意味なのだろう。

それを開き直りと非難することは可能だけど、究極のプラス思考と言うこともできる。どちらが素晴らしい人生か。ロビン・ウィリアムスの底抜けの笑顔を見れば、答えは自ずと明らかである。曰く「人生は冒険だ」と。

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コメント

ジョン・アーヴィング原作映画Best3
①「ガープの世界」
ロビン・ウィリアムスいいですね~
おまけに監督は「スティング」「明日に向って撃て!」のジョージ・ロイ・ヒル

②「サイダーハウス・ルール」
若き日のシャーリーズ・セロンがいいですね~
おまけに監督は「マイライフ・アズ・ア・ドッグ」「ギルバート・グレイプ」のラッセ・ハルストレム

③「ホテル・ニューハンプシャー」
初々しいジョディ・フォスターがいいですね~

といって、実は長いこと原作を読んだことなかったんです。(^^!
村上春樹訳の「熊を放つ」を読むまでは。
原作と脚本がいいと映画の骨格がしっかりします。

投稿: ケイタロー | 2020/08/13 20:30

ケイタローさん
実は映画「ガープの世界」はかなり以前に観たことがあり、
「ホテル・ニューハンプシャー」は原作を読んだかも
しれないのですが、微かな記憶しか残っていません。
人生経験を積まないと分からない世界というのでしょうかね。

投稿: まこてぃん | 2020/08/14 08:54

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