プリンストン大学の英断
米国プリンストン大学は先月末、同大学の Woodrow Wilson School of Public and International Affairs の名称から Woodrow Wilson の名前を外し、The Princeton School of Public and International Affairs に変更すると発表した。
ウィルソンの人種差別主義的な思想や政策が、あらゆる形態の差別に毅然と立ち向かうべき学校の名称として相応しくないと判断したためとしている。言うまでもなく、最近全米のみならず世界各地で高まっている黒人差別に対する激しい抗議の動きを受けたものである。
学長として同大学を世界トップクラスの研究機関に押し上げ、その後ニュージャージー州知事を経て合衆国第28代大統領に就任、国際連盟の創設に尽力し、ノーベル平和賞まで受賞したウッドロー・ウィルソンの業績は否定すべくもないが、それが彼の人種差別主義と無関係に、あるいはそれを無視して賞賛されてきたことこそが問題であるという。
このスクールにかつて1年だけ在籍した人間として、ウィルソンが人種差別主義者であった事実を知らなかったのを恥じると同時に、“母校”の看板だった彼の名前が消えることには一抹の寂しさを感じざるを得ないが、彼ほどの功績者の名前ですら、校名に相応しくないと判断すれば抹消することを躊躇わない姿勢には敬意を覚える。
それだけ今回の抗議運動が過去にない高まりを見せているということであるし、伝統的にリベラル色の強いプリンストン大学が、現トランプ政権に突き付けた痛烈なメッセージであるかもしれない。
7月2日 ジョグ2キロ
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