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2020/05/03

歌劇「フィガロの結婚」

Ucbg9105ダ・ポンテ台本、モーツァルト音楽の傑作オペラ。カール・ベーム指揮ウィーン・フィル、ジャン=ピエール・ポネル演出、ヘルマン・プライ(フィガロ)、ミレッラ・フレーニ(スザンナ)、ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(伯爵)、キリ・テ・カナワ(伯爵夫人)、マリア・ユーイング(ケルビーノ)ほか豪華メンバーによる映画版を鑑賞。

スペインはセヴィリャ近くのアルマヴィーヴァ伯爵邸。伯爵の従僕フィガロと伯爵夫人の侍女スザンナは結婚を間近に控えているが、伯爵が一度廃止した領主特権を復活してスザンナをものにしようとしているのを知り、フィガロは仕返しをしようと決意する。二人は冷淡な夫に悩まされている伯爵夫人と組んで伯爵にひと泡吹かせる計画を練るが、かつてフィガロが借金のかたに結婚を誓約した女中頭マルチェリーナや、伯爵夫人に気がある小姓ケルビーノらがからんで邸内は大混乱に陥る。

これまでにも何度か録音や舞台上演に接してきたが、改めて全曲を通して観ると、やはりオペラ史上の大傑作であることを確信した。ダ・ポンテ台本、モーツァルト音楽による三部作の中でも、多彩な登場人物、意表を突く展開、内容の革新性、それらと表裏一体となった音楽の素晴らしさ、いずれをとっても群を抜いている。

特に音楽面では、重唱もさることながら、主要登場人物に割り当てられたアリアやカヴァティーナがいずれも大変美しく、脇役ケルビーノに与えられた2曲だけでもまさに千金の価値がある。

この映画は音声はウィーンで、映像はロンドンでと、別々に収録されたそうで、出演者がそれぞれに集中できたのは間違いないと思う。賛否はあろうが、独り言では口を開けないという芸当も可能だ。ただ、映像面では頻繁な画面転換に加えて、やや説明過剰に感じられる場面もあり、音楽への集中力を殺ぐ憾みがある。オペラ映画にはメリット、デメリット両面があるようだ。

5月2日 ジョグ4キロ

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コメント

このオペラの主人公はスザンナ?少なくともフィガロではないと思います。
でも一番輝いているのはケルビーノ君かもしれません。アリアがいいです。
男装したメゾ・ソプラノが艶めかしく、さらに女装する場面もあって・・・
思春期の少年と伯爵夫人はすでに関係があって・・・ふふふ。
というような、不道徳で他愛もないドタバタ喜劇(失礼!)が、モーツァルトの音楽によって傑作オペラになる。
やっぱりオペラは音楽ですね。(^^)

その意味で、音楽に集中しにくい映画はやはり別物でしょうか。「さぁ、アリアが始まるぞ!」と身構えることがないし。
同じ原作でも舞台と映画が違うのは、オペラに限らないけれど。

昔、ベーム/ウィーン・フィルの来日公演をTVで観た記憶があります。
先日フレーニも亡くなりました。合掌

投稿: ケイタロー | 2020/05/03 20:48

ケイタローさん
タイトルにもかかわらず主役は確かにスザンナですよね。
ほぼ全ての人物にからむし、出番も一番多いし。
フレーニの可憐さと軽い声質が本当に絶品です。
ベームのフィガロと言えば、ウィーン響を振った
モノラル全曲盤がなぜかうちに残っています。
フィガロ役のワルター・ベリーと、ケルビーノ役の
クリスタ・ルートヴィヒはこれがきっかけとなって
翌年に結婚しましたとさ(その後離婚しましたが)。

投稿: まこてぃん | 2020/05/04 10:08

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