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2020/04/06

下街道を歩く その3(御所~五條)

3日目は御所から五條までの約14キロプラスαである。近鉄御所駅前をスタートしてまもなくJR和歌山線の踏切を越えると、線路に沿った桜並木がほぼ満開となっていた。

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このあとは基本的に国道24号に沿って進み、所々で残っている旧道に分岐、合流を繰り返すという行程になる。途中こんな難読地名も。知らなければ絶対に読めない。

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小殿(おどの)から五條市との境界辺りまではずっと旧道を進む。少し高い所を通る国道は何度も通ったことがあるが、そのすぐ横に鄙びた旧道があることは今回初めて知った。小殿集落の真ん中辺りにある洋館。おそらく元旅籠だった隣の建物と並んだ取り合わせが何とも言えない。

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ここからは風の森峠に向かう緩やかな登りとなる。

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風の森峠。右は国道24号、左が旧道である。まるでジブリのアニメ映画に出てきそうな名前だけど、古くからある由緒ある地名だそうで、付近には風の神である志那都比古神を祀った風の森神社がある。写真がピンボケなのは強風のせいではなく、降り続く小雨で携帯カメラのレンズが曇っていたためである。

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この先から再び国道と合流、分岐を繰り返す。京奈和自動車道の高架を潜るところに道標が2基、時代に取り残されたように佇んでいる。左側は天保9年の建立で「右御所八幡/左五条かうや道」、右側の愛らしい指差道標には「志こく道」とあるようだ。

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峠を迂回してきたJR和歌山線を再び越えてさらに下っていくと、JR北宇智駅近くに中街道(下ツ道)との追分がある。左奥の御所方面から来た下街道は手前五條方面へ伸び、中街道はここから右奥に進んで八木を経由して奈良に至る。近いうちにこの中街道も歩いてみるつもりである。

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さらに進んで、三在(さんざい)交差点の近くで今度は伊勢街道と分岐する。先と同じ構図で右が伊勢街道である。

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この先で一旦国道と合流するが、かつて吉野川ハーフマラソンの会場となっていた五條東中学前の今井交差点から再び旧道に入り、JR五条駅前を通過して本陣交差点に至る。下街道はここまでで、この先は紀州街道(大和街道)となる。

交差点には安政2年の道標が建ち、「右いせ/はせなら/大峯山上/よしの道 左かうや/わか山/四國/くまの道」と刻むが、後になって灯火用に穴を貫通させたようで、欠落した元の「左」に代えてその下にごく小さな「左」の文字を付け加えている。

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ブロック塀側は読みにくいが、携帯カメラを差し入れてみると「□□□平 国土安穏/□□□明 五穀成就」と読める。□の部分は穴のため欠落しているが、前者は「天下泰平」だろうか。

下街道歩きとしてはここで終了だが、折角の機会なのでもう少し足を延ばし、新町の古い街並みと五新線跡を見て来た。新町口交差点から一歩足を踏み入れると、突然江戸時代の紀州街道にタイムスリップする。

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旧家を改造した「まちなみ伝承館」という施設があって、入場無料というので入ってみた(笑)。いろいろと説明してもらったが、先ほどの道標はここで聞かなければ危うく見逃すところだった。

JR二見駅に向かってさらに進むと、五新線の高架線路跡が街道上を通っている。五新鉄道は正確には廃線ではなく、一度も鉄道として使われなかった未成線である。吉野川を渡った先の路盤跡は7年前に散策したことがあるが、五条駅側の遺構をじっくり見たのは初めてだ。

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なお、申し遅れたが今回の下街道は全行程を家内と一緒に歩いた。病気をしていなければ当然走り旅となり、こういうこともなかったわけで、一種のケガの功名と言えるかもしれない。偶然ながら家内が勤めていた職場の近くを通る、土地勘のある行程だったとはいえ、マニアックな街道歩きに3日間も付き合わせてちょっと申し訳なかった。

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コメント

この回はだいぶ見覚えのある所が。(^^♪
風の森峠の辺りはちょっと寂しい雰囲気?
名前が印象的ですよね。
新町に入る手前の通りに立派な家がありつい足を止めてしまいます。
餅やさんでは置いてあるのが本物っぽくてほんとに買おうと思った程でした。
戸口に鍵がかかっていて、あれ?っと。(^^;

投稿: くー | 2020/04/07 20:48

くーさん
あの餅、やはりサンプルだったのでしょうか?
値札もなく、表はカギがかかっていたので
おかしいなと思いましたが。
それにしてもよく出来ていましたね!

投稿: まこてぃん | 2020/04/08 17:57

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