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2020/04/27

中街道(高野街道)を歩く

前回下街道を歩いたとき、JR北宇智駅付近で中街道との分岐点を通過した。今回はそこから橿原市見瀬町までの約16キロを歩いた。この街道は別名「高野街道」とも呼ばれていたようで、さらに遡れば古代官道の「紀路」(きじ)または「巨勢路」(こせじ)に相当するらしい。

街道歩きに先立ち、北宇智駅に2007年まであった関西唯一のスイッチバックの痕跡を確認した。詳細はこちら。現ホーム南端から五条方の西側に、旧1番2番ホームと線路の痕跡が窺える。

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踏切から吉野口方を見ると、9.0パーミルの勾配標の先に引上線の線路が今も残っている。

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駅近くにある今回の行程で唯一のコンビニに立ち寄ってからスタート。間もなく県道120号に合流し、五條工業団地テクノパークと木材団地の間を登っていくと、坂の頂上からお隣の御所市に入る。

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まもなく左手からJR和歌山線の線路が接近してきて、この先は何度も踏切を渡りながら線路と並行して進む。難読地名「重阪」(へいさか)集落内の風景。

 

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やがて大淀町のエリアに入り、薬水(くすりみず)の集落内を通過する。薬水という地名は、付近にある弘法大師ゆかりの「薬水の井戸」に由来する。行く先々で井戸掘りをした御仁だったようだ。

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右手から今度は近鉄吉野線が近づいてきて、小高い場所にある薬水駅の下を通過する。城の石垣のように見えるのは、旧吉野鉄道の変電所があった場所だそうである。

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御所市に入り、JRと近鉄の間を進んでいくと、またまた難読地名に出くわす。古くは「ぶぜん」だったといい、九州の豊前に由来すると推定されている。この先にも「薩摩」「吉備」「土佐」といった旧国名地名が残り、藤原京造営に徴用された彼の地の人々が定着したものと考えられている。

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奉膳は古くから交通の要衝であり、集落内の交差点には「右かうや」「左大峯」「右大坂」などと刻む道標が立っている。左が吉野、大峯山方面、右奥が五條、高野山方面である。

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国道309号の高架を潜った先、JRと近鉄が共用している吉野口駅の付近は「古瀬」という地名であるが、「古瀬」「巨勢」「御所」はいずれも元々「川瀬」という同じ地名の別表記と考えられるそうである。

近鉄の次の葛(くず)駅近くには息子が通っていた幼稚園があり、行ってみると今も当時と変わらぬ様子であった。その隣の中華料理店で昼食を予定していたが、新型コロナの影響で臨時休業中だったため、街道沿いの食料品店で巻き寿司などを買って昼食休憩する。

その先で高取町に入り、近鉄吉野線と並行して進んでいくと、龍神伝説のある楠の巨木が天満神社参道脇に聳え、正面の小高い丘の上には宮塚古墳があるらしいが、神社仏閣と同様、古墳にもさして興味はないのでパス。

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高取町役場の西、吉備集落外れの曲がり角にある可愛らしい道標は田んぼの畔の中に埋没している。「右 はせいセミち」とあるようだが、「は」の字は削れて消えかけている。

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小高い丘を越えていくと、やがてうちの前を流れる高取川に突き当たる。もう地元みたいなものでひと安心だ。その手前には壷阪寺に通じる土佐街道との分岐点がある。左が壷阪寺方面、右が五條方面である。

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明日香村に入る。何度も通っている蕎麦屋の前の川沿いの道は実は旧街道だったのだ。飛鳥駅近くにある2基の道標は以前にチェック済である。

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橿原市に入って岡寺駅前を通過、見瀬町の三叉路で今回の行程は無事終了である。そこから北の八木、奈良方面の中街道は、既に2014年に踏査済みである。今回も一緒に歩いた家内が、裏道を含めた近辺の地理に関して自分よりずっと明るいことを再認識した。

4月26日 ジョグ6キロ

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コメント

こんにちは~。
この話題にしか反応できないという・・・。(^^;
また地図と照らし合わせながら拝見。
あちこち古道だらけですね。

以前吉野口でJRに乗り換えた時、地図が頭に入ってなくて
その後方向音痴?になったことがあります。(笑)
暫く頭が混乱してましたが、乗換駅の配置?とか
乗った電車の座席位置とかも関係してたかなと思ってます。

投稿: くー | 2020/04/28 09:39

くーさん
コメントお待ちしておりました。
今回は旧街道のルートの情報が少なく、
実は高取町役場付近から明日香までの行程が
間違っていたことが後で分かり、やり直しました。
JRと近鉄は吉野口で接するX字のような形を
描いて走っているのですが、地図が頭に入ってないと
どちらを向いて走っているのか分からなくなりますね。

投稿: まこてぃん | 2020/04/28 21:53

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