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2020/04/18

『リトル・ミス・サンシャイン』

Sunshine2006年、米。監督はジョナサン・デイトン、ヴァレリー・ファリス夫妻。制作には何と5名が名を連ねる。アマゾンの紹介文。

田舎町アリゾナに住む少女オリーヴ。なんともブサイクでおデブちゃんな彼女が、全米美少女コンテストでひょんなことから地区代表に選ばれた。オリーヴ一家は黄色のオンボロ車に乗り、決戦の地カリフォルニアを目指すことに。人生の勝ち組になることだけに没頭する父親、ニーチェに倣って信念で沈黙を貫く兄、ゲイで自殺未遂をした叔父、ヘロイン吸引が原因で老人ホームを追い出された不良ジジイ、そしてバラバラ家族をまとめようと奮闘する母親。そんな落ちこぼれ家族の、奇妙でハートフルな旅が始まった…!(引用終わり)

一応はロードムービー仕立ての家族コメディドラマと言えるけれども、この家族というのが皆一風変わった個性派揃いで、普段の行動や嗜好もてんでバラバラといった有様。ひょんなことから始まった彼らの長旅は最初から不穏な空気が漂い、次から次へと不運な出来事に見舞われる破目になる。

よくまあこれだけ続くものだと感心しながら観ているうち、彼らが気の毒だとか可哀そうという感情よりも、もうここまで来たら笑い飛ばすしかないという心理状態になってくる。しかし、どうやらその辺りからがこの作品の本領発揮なのではないか。

人間、どんな不幸に陥っても落ち着くところに落ち着くものだし、もしかしてそこに何らかの救いがあるかもしれない。そういう開き直ったような明るさ、大らかささえあれば、人生何とかなるものだというポジティブな気持ちにさせてくれる。一連の出来事を通じて家族がお互いを思いやり、団結を取り戻すといったありきたりのストーリーだけではアカデミー賞(脚本賞、助演男優賞)は貰えなかっただろう。

ところで、一家が乗ったフォルクスワーゲンのバンが途中で故障し、「押しがけ」でないとエンジンがかからなくなるというシーンがある。ほぼ全車がオートマチックの今の若い人は知らないだろうが、昔バッテリーが上がって困ったとき一か八かでやったら成功した経験を持つオジサンには懐かしい言葉なのだ。(笑)

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コメント

おっしゃる通り「ポジティブな気持ちにさせてくれる」、
数あるロードムービーの中でも、忘れられない一本です。
ヘロイン中毒のおじいちゃんと孫娘のオリーヴが仲良しで微笑ましい。
「家族の再生」は普遍的なテーマですね。

「押しがけ」のシーンは印象的。たしかに今の人はわからないでしょうね。
昔はチョークとか、半クラッチとか・・・そもそもクラッチを知らないか。(笑)
いくらキーを回してもエンジンがかからない恐怖も。
車検や修理の時に借りる最近の車はアイドリング・ストップが普通?なのか、信号待ちなどで止まると、次にエンジンがかかるか心配になります。(汗)

投稿: ケイタロー | 2020/04/18 22:32

ケイタローさん
おじいちゃんがオリーヴに教えていたダンスの内容を
たぶん家族の誰もが知らなかったというオチは秀逸でした。
「坂道発進」「エンスト」「ギア鳴り」等々、
もう死語になっているのかもしれませんね。

投稿: まこてぃん | 2020/04/19 11:52

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