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2020/03/31

下街道を歩く その1(大和郡山~箸尾)

ようやく暖かくなってきたので街道歩きを再開。新型コロナが猛威を振るっているけれど、ほとんど人気のない旧街道を黙々と歩く分には特に問題はないだろう。今回は大和郡山から大和高田を経て五條に至る下街道、約38キロを3日間に分けて歩いた。

1日目は大和郡山から箸尾(はしお)までの約11キロである。午前10時前に近鉄郡山駅前をスタート。JR郡山駅に至る東西の道は何度も通ったことがあるが、その途中で右折して柳町商店街をしばらく南下すると、竜田越え奈良街道との分岐点に至る。写真右側から来た奈良街道はここで手前側に左折、下街道はここを起点に左奥に南進する。地図では正面に旅館花内屋があるはずだったが、最近取り壊された模様で空き地になっていた。

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街道沿いには郡山名産の金魚を飼育する池を多数見かけたが、今はオフシーズンのようで水を張っていなかったり、何か保守作業のような工事をしている所もあった。ひたすら直進すると筒井の集落に入り、筒井順慶の居城だった筒井城跡近くを通過する。筒井順慶顕彰会による案内板があり、それによれば下街道は別名「吉野街道」とも呼ばれていたようだ。

国道25号を横断する交差点に道路元標があり、ここが旧筒井村の中心だったことが分かる。国道は何度も車で通っているけれど、それを横断する旧道を歩いていると、江戸時代にタイムスリップしたような感覚に包まれる。電車からも見える駅近くの大きな池を回り込んで高架線路を潜り、パナソニックの工場の横を通ってまたひたすら南進する。

西名阪の高架を潜ると街道は南西に向きを変えて蛇行を始め、いかにも旧道という雰囲気が濃くなる。やがて大和川の堤防に出て大和中央道を横断する。

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安堵町に入って間もなく、17世紀に創建された国指定重要文化財の中家住宅がある。二重の濠に囲まれた広大な屋敷で、もとは筒井一族の武家屋敷だったそうだ。今も中氏の末裔が住まわれ、事前に予約すれば内部を見せてもらうことも出来るが、有料なので外から眺めるだけで済ませる。

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大和川、寺川を渡って川西町に入ったところに、2基の常夜燈と安政2年建立の道標が並んで建ち、その側を通る細い道が旧街道のようである。道標の正面には「右郡山奈ら京 左法里うじ立田大坂道」、側面には「左たか多吉野道」と刻む。「立田」は竜田、「たか多」は高田である。位置関係から考えて、元は法隆寺から奈良に通じる東西方向の道に、正面を南に向けて建っていたと思われる。

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この先のコンビニで昼食休憩を取る。付近には飲食店も少なく、多くの来店客でごった返していた。現代の茶屋は街道を行く旅人以外にも重宝されているのだ。ここから一旦県道36号を通るが、すぐに外れて唐院の旧集落の中を進む。

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飛鳥川を渡ってしばらく南進すると三宅町に入る。曽我川の堤防下に「すぐ郡山奈良道」と刻む道標があるが、建立年代は不明である。何の目的なのか、上部に細い穴が貫通している。

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曽我川を渡ると今度は広陵町と、めまぐるしく行政区域が入れ替わる。平成の大合併をものともせず独立を貫いたのはそれだけ財政力がある、つまりは高額納税者が多いということなのだろう。

葛城川に沿って南進、近鉄田原本線の踏切を越え、枯木橋で葛城川を西に渡ると箸尾の旧集落に入る。この日の行程はここで終了である。集落外れの近鉄箸尾駅から帰途に就いたが、単線のワンマンカーが昼間は1時間に2本しか来ない無人駅である。奈良盆地のど真ん中にありながら、地方ローカル線のような風情が味わえた。

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その2に続く。

月間走行 27キロ(笑)

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コメント

ご無沙汰してます。(^^)
街道話でやっと話に混ぜてもらえるかも?と。(^^;
奈良のマップルを見ながら読ませてもらいましたが、
地図古過ぎ?(2006年版)
旧街道だから関係ないかな。
ネットでもう一度地図を探してみます。
今年は3月のチープな街道歩きも止めて、次はいつになるやら?
なんですが、もう少し落ち着いたらまたどっか行きたいもんです。

投稿: くー | 2020/04/07 19:54

くーさん
コメントお待ちしておりました!
世の中の情勢は厳しくなる一方ですが、
歩行者などほぼゼロの旧道をただ歩くのは
「運動、散歩のための外出」として
今も特に問題はないと判断しています。

投稿: まこてぃん | 2020/04/08 17:50

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