歌劇「セヴィリャの理髪師」
ロッシーニの代表作にして、オペラ・ブッファの最高傑作とされる作品。メトロポリタンオペラ2014年公演の録画を鑑賞。METライブビューイングの紹介文。
18世紀のスペイン、セヴィリャ。プラドで見初めた町娘ロジーナを追ってやってきたアルマヴィーヴァ伯爵は、彼女が後見人のバルトロの家で籠の鳥状態になっていることを知る。町の名物男で理髪師をやっている旧知のフィガロと再会した伯爵は、フィガロを相棒にロジーナを助け出そうと決心。フィガロのアドヴァイスに従い、伯爵は酔っぱらいの兵隊や音楽教師に変装してバルトロ家に潜り込むが…。(引用終わり)
同じボーマルシェ原作のモーツァルト「フィガロの結婚」は本作の続篇に当たるが、作曲年代からすると順序が逆になっている。WOWOWで司会役を務める八嶋智人が、「スターウォーズ」のエピソード1が後から製作、上映されたみたいなものと解説していたが、なかなかうまいことを言うものだ。
「フィガロ…」は何度か観たことがあるので、その「エピソード1」は大変興味深かった。これだけの騒動の末に結ばれた伯爵夫妻が、「フィガロ…」ではとっくに倦怠期を迎え、伯爵は下女のスザンナに手を出そうとする始末で、男というのは本当に仕様のない生き物だ。(笑)
ストーリーは最初から最後までハチャメチャ、登場人物はいずれも一癖も二癖もあるキャラが揃い、真面目に演じれば演じるほど笑えてしまうドタバタぶりは、まるで吉本新喜劇のようである。バルトロの召使アンブロージョは始終居眠りしていて、井上竜夫が演じていても全く違和感がなさそうだ。
ロッシーニの音楽は、わずか2週間で書き上げたというのが信じられないほどの内容を持ち、場面ごとに、否、セリフの一行一行ごとに、曲想から音色まで絶妙な変化を見せながら舞台を盛り上げる。超絶技巧のアリアもさることながら、最大6重唱で各人がそれぞれの思いを物凄い早口でまくしたてる場面は圧巻だった。
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コメント
貴族階級に対する風刺というけれど、200年後の僕たちからすれば、あまりに不道徳な男女の痴情話にすぎません。(失礼!)
でも、それを楽しめるのは、言うまでもなくロッシーニやモーツァルトという天才作曲家の音楽が伴っているから。
オペラの面白いところですね。
「セビリアの理髪師」「フィガロの結婚」を続けて観ると、人物の進化がよく分かるそうですが・・・
一度試してみたいと思っているだけで。疲れそう。(^^)
それより気になるのは、さらに続編の『罪ある母』。
もちろん観たことはありませんが、(そもそも公演されているのか?)ミヨーの作品ということで興味があるんですが。
投稿: ケイタロー | 2020/03/19 12:25
ケイタローさん
「罪ある母」は題名が暗示するように、
前二作とは違ってかなり重い内容のようですね。
また、ミヨーのオペラは1966年初演だそうで、
ほとんど前衛劇みたいな感じなのでしょうか?
投稿: まこてぃん | 2020/03/19 17:55