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2020/03/01

『アンタッチャブル』

Untouchables1987年、米。ブライアン・デ・パルマ監督。ケヴィン・コスナー、ショーン・コネリー、ロバート・デ・ニーロほか。映画ドットコムの紹介文。

1930年、禁酒法下のシカゴ。財務省から派遣された特別捜査官エリオット・ネスは街を牛耳るギャングのボス、アル・カポネに敢然と戦いを挑む。ベテラン警官のマローンを始め、射撃の名手ストーン、税理士のウォレスといったメンバーに支えられ、ネスの捜査が始まる。しかし巨悪カポネの差し向けた殺し屋によって、ひとり、またひとりと犠牲者が……。かつてテレビドラマでも人気を博したアクション・ロマンを映画化。(引用終わり)

歌劇「道化師」の名アリア「衣裳をつけろ」が使われたシーンがあるというので観てみたが、それは予想していたような終盤の重要シーンではなく、途中のエピソードのひとつに過ぎなかった。使われた音源はこの道化師カニオが当たり役と言われた名テノール、マリオ・デル・モナコの歌唱である。実際はどうだったか分からないが、デ・ニーロ演じるカポネはアリアを聴いて涙を流している。考えてみれば監督のデ・パルマ、音楽のモリコーネも含めてイタリア系ばかりで、彼らの心の琴線に触れる音楽なのは間違いない。

それはともかくとして、観て決して損はない作品だった。暗黒社会のボス、アル・カポネに戦いを挑んだ、財務省特別捜査官と地元警察からなる4人のチーム「アンタッチャブルズ」(「絶対買収できない者たち」の意で、原題は複数形)の命がけの格闘を描く。ギャング映画につきものの陰惨なシーンもあるが抑制が効いているし、4人の男たちの連帯を描いたバディものや家族ドラマの要素、馬に乗って敵を襲撃する西部劇のようなシーン、駅の階段や裁判所屋上での迫力あるアクションに加え、最終的にカポネを追い詰める場面では法廷サスペンスの色彩まで加わり、一級の娯楽作品として完成度の高い作品となっている。

ところで、Capone は日本語では「カポネ」だが、映画の登場人物は一人残らず「カポーン」(「ポ」にアクセント)と発音していた。「カポネ」はイタリア式に近い発音のようである。日本で「ゲオルク・ショルティ」と表記される指揮者 Georg Solti が、英米では「ジョージ・ソルティ」と呼ばれるのと同じようなものか。

2月29日 ジョグ8キロ
月間走行  32キロ(笑)

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コメント

デ・パルマの代表作。
イタリア系だけにギャング物がいいですね。
アル・パチーノと組んだ「カリートの道」も好きです。
でも、この人は「カジュアリティーズ」や「リダクテッド」のような問題作も撮るし・・・
「ミッション・インポッシブル」みたいな娯楽大作もあるし・・・
でも、しょうもないサスペンスやアクション物もあって・・・
よくわからない監督です。(笑)

マフィアとイタリアオペラの相性がいいのは、やはり同じ情念が通底しているからでしょうか。

投稿: ケイタロー | 2020/03/01 13:49

ケイタローさん
デ・パルマ監督の他の作品で観たことがあるのは
「キャリー」だけですが、強烈な印象が残っています。
映像の作り方、見せ方が全く独特ですね。

投稿: まこてぃん | 2020/03/02 08:31

そうでした。「キャリー」もありました。
デ・パルマというよりスティーヴン・キングの出世作ですね。
「シャイニング」や「ミザリー」などキングのホラーは怖くて面白いけれど、僕は「スタンド・バイ・ミー」と「ショーシャンクの空に」が好きです。
もちろん原作も。

追:あの可愛い少女だったシシー・スペイセクが、去年「さらば愛しきアウトロー」というロバート・レッドフォードの引退作品?に出ていて、えっ・・・(失礼!)
当然おばあさんになっていて・・・
僕はおじいさんになっていて・・・
諸行無常(^^!

投稿: ケイタロー | 2020/03/03 11:03

ケイタローさん
そうそうスペイセクの迫真の演技!
高校生役だった彼女、当時もう26歳だったのですが、
いくら若く見えても寄る年波には勝てませんね。(笑)

投稿: まこてぃん | 2020/03/03 18:41

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