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2020/01/06

電源雑音軽減器

読んで字の如し。壁コンセントとオーディオ機器の間に接続し、AC電源を通じて混入してくる雑音を軽減する機器である。自分自身へのお年玉(何歳?笑)にと購入した。もうちょっと気の利いた商品名がありそうなものだが、おそらく製造販売元は根っからの技術屋が集まった会社なのだろう。

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取扱説明書によれば100時間程度のエージングが必要とあるので、まだ真価を発揮するには至っていないはずだが、それでも音質改善効果は予想を遥かに上回る。最も顕著なのは高音域、とりわけ倍音領域の歪の軽減であると思われる。電源を通じて混入する高周波ノイズには可聴帯域(20kHz以下)も含まれるので、それが各楽器の倍音を歪ませ、楽音全体を濁らせているのだろう。

その歪を除去することで、自然な再生音に戻してやることが可能となる。生々しい音は眼の前で演奏しているかのような臨場感に溢れ、ヴァイオリンやトランペットの高音のキンキンした感じがなくなり、抜けの良い音がどこまでも伸びていく感覚が心地よい。

また、音場の広がりはこれまでとは異次元のものである。映像に譬えて言えば、これまでが映画館で本篇が始まる直前にスクリーンがワイド化する程度だとすれば、今回の経験ではもはやスクリーンが存在せず、建物全体に投影するプロジェクションマッピングである。それも左右の広がりどころか、上下にも奥にも広がる精密な3D映像での投影なのだ。

改めて、CDにはこれだけの情報量が刻み込まれていたのかと驚くと同時に、これまでの再生音は何だったのかという思いを禁じ得ない。大袈裟に言えば、家にある全てのディスクを聴き直してみたい衝動に駆られている…とは、実は以前にも書いた感想だが、その時を遥かに上回る驚きに襲われている。

また、今回の購入に際して全く意外な事実を知ることが出来た。オーディオ機器にとって大地アースへの接続は有害だというのだ。というのも、この機器の出力コンセントが接地極付きの3P型であることから、カタログには写っていない入力側も当然同じで、壁コンセントにはアース端子が必要と思い(自室は未設置)、その点を確認すべく製造元にメールで質問したところ、何と同機のコンセントの接地極はどこにも接続していないという意外な回答が返って来たのだ。少し長くなるが回答を引用する。

「最近の大地アースは、大型の電気機器のノイズを含むアースが感電防止等の安全のために接続されていて、ノイズのごみ捨て場状態になっています。従いましてノイズに敏感な機器は接続しない方が正しいのです。ノイズはアースからも侵入してくるので、壁付けコンセントのアース(大地アース)は、オーディオ機器におきましては音質のためには接続しないのが一般的で正しいのです。また誤解されやすい話として『アースを取るとノイズが減る、アースを取らないと機器が不安定になる』という電子機器内のシールドやシャーシアースの場合と、電源のアースとは全く別の話です。電源アースを取れない宇宙船、飛行機、ノートパソコン等、いずれも問題なく動いています。繰り返しになりますが、一般的に壁付けコンセントの電源アースはノイズ防止には関係なく、感電防止が主な目的です 」(一部文言修正)

確かにCDプレーヤーの電源プラグにはアース用のコードが付けられているが、取扱説明書によればそれは「感電防止のため」とある。しかし、感電防止にはなっても雑音を拾うようでは何をしているのか分からない。もう少しでアースを接続するところだっただけに、この意外な回答は大変有益だった。同社サイトのQ&Aにも掲載するようお願いしたところである。

いずれにせよ、中級アンプぐらいの値段がする同機の購入を当初は躊躇っていたが、その価値は十分あったと感じている。なあに、これからも音楽を聴き倒して、元を取ってやればいいだけのことだ。(笑)

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コメント

明けましておめでとうございます。

釣られて出て参りました(笑)。
色々有るんですね。
検索すると、件の製作所でもこれが一番安い軽減器とは。
まぁ、単独で電柱を立てて専用回路を引き込むる人も居る位ですから、ノイズ対策と言うのは究極の無間地獄なんでしょうか(^^;)。

商品を見ると、アナログ回路用のコンセントも有るみたいですから、よく考えられていますね。

面白いのは、ホームページで購入者の声を見ると、大方が褒めているのはともかく、年代が殆ど50~60歳代と言うのにちょっと笑えました。
色んな意味で当然と言えばその通りなんですが。

貸し出しもやっているみたいなので、仕事が落ち着く春位になったら、注文してみます。

あっ、完全に無間地獄だ・・・(^^;)。

投稿: AKA | 2020/01/07 10:28

構造が気になるのと聞き分けられる耳性能がすごい~~

投稿: たけした | 2020/01/07 11:20

予想通りのお二方からコメントが来ました。

AKAさん
ようこそ、無間地獄へ!(笑)
アキュフェーズやマッキントッシュのクリーン電源は
この10倍ほどの値段なので、これでも簡易型とでも
言うべき存在なのでしょう。

たけしたさん
分解不可能な構造なので詳細は不明(企業秘密)ですが、
取説によれば「アモルファスチョークコイル、アモルファス
コモンモードチョーク、コンデンサなど」を使用とあります。
聴感上の比較はあくまで個人の感想です。
数万円の出費というバイアスも当然あります。(笑)

投稿: まこてぃん | 2020/01/08 09:03

これは効果があるとおもいます。
コモンモードコイルは アマチュア無線のとき テレビやラジオや電話機に無線音声が入るのを防ぐ基本回路ですから。その逆と考えれば納得できますわ~~.混信のあるなしははっきりとわかりますからね~~(苦笑)

投稿: たけした | 2020/01/09 19:52

たけしたさん
「コモンモード」って、商品名か何かと思って
いましたが、一般的な用語だったのですね!
というぐらい、中身はチンプンカンプンです。(苦笑)

投稿: まこてぃん | 2020/01/11 10:26

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