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2019/09/14

マンガ名作オペラ「ニーベルングの指環」上下

Niebelungen_20190913092701里中満智子著。ワーグナー畢生の超大作「ニーベルングの指環」をマンガ本2冊に纏めたもの。版元の紹介文。

(上)神話世界を描いた壮大な作品、ニーベルング。世界を滅ぼすとの呪いをかけられた黄金の指環。欲望渦巻く神々の世界を描く前編。(下)ジークムントの忘れ形見ジークフリートとブリュンヒルデの全てを焼き尽くす愛の行方は? 世界に破滅をもたらすニーベルングの指環は誰の手に渡るのか?(引用終わり)

ワーグナーのオペラをこともあろうにマンガにするなんてと、最初はとても違和感があったけれど、結果的には読んでみて正解だった。これまで「指環」の概略を把握しようと、(文字で書かれた)あらすじを読んだことは何度かあるが、人間関係が複雑なうえに飛躍の多いストーリーがほとんど頭に入って来なかった。かと言って、予備知識なしに観て分かるような代物でないことは明らかで、作品のあまりの長大さと並んで、なかなか実際の鑑賞に至らない原因になっていた。

それが、このマンガ本上下2冊を読んで、ストーリー全体の骨格というか、大まかな流れがすんなりと把握できたのだ。主要登場人物のキャラクターや相互の人間関係を、ビジュアルを通じて具体的に理解することが出来る。「アルベリヒ」と文字で見るより、あのイボだらけでヒキガエルみたいな顔の小男かと直感的に掴める。

もちろん、これがワーグナーの意図を寸分の狂いなく表現したものとは言えないだろう。今後、オペラそのものを鑑賞してみた後で感想が変わる可能性はある。それでもなお、長年の「食わず嫌い」というか、「とっかかりのなさ」に風穴をあけてくれたことは間違いない。マンガを読んだあとでは、文字で読むあらすじも以前より格段に頭に入ってくる。この調子で予習を続けて、いずれは本編オペラに挑戦してみたいと思っている。

 

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コメント

いやはや、ワーグナーが漫画になっているとは・・・
でも、ワーグナーだからこそ漫画にできるとも言えます。
リゴレットや椿姫じゃ、とても2冊の漫画本にはできませんよね。
ストーリーはあってないようなものだし・・・(^^)

投稿: ケイタロー | 2019/09/17 11:39

ケイタローさん
椿姫、アイーダ、リゴレット、マクベス。
以上ヴェルディ4作品を1冊にしたものもあります。
さすがにストーリーはかなり省略されているようですが。

投稿: まこてぃん | 2019/09/17 18:09

えっ!そうですか。
うっかりしたことは言えませんね。(^^!
おのが不明を恥じ、マンガ文化の隆盛に瞠目するばかり。

投稿: ケイタロー | 2019/09/18 14:37

ケイタローさん
私も右に同じで、実際に読んでみるまで、
オペラのストーリーがマンガで分かるなんて、
まったく思いもしませんでした。
アニメについても、まだ「子供が見るもの」という
偏見が抜けていませんが、やがて本当の価値を理解
するときが来るかもしれません。

投稿: まこてぃん | 2019/09/18 18:33

若い頃あれほど読んでいたマンガが、ある時期から急に読めなくなって、読むスピードが急に落ちて・・・
今ではほとんど読まなくなっています。
アニメも同じで
話題の作品は観るようにしていますが、非の打ち所のない演技をする、精巧に作られた人間や動物に感情移入ができず、どこか醒めたところが残ってしまいます。
最近は「もういいや」という感じで、ほかにも読みたい本や観たい映画はいっぱいあるし、なんて居直っています。
年齢なんでしょうね。(^^)

投稿: ケイタロー | 2019/09/19 12:47

ケイタローさん
全く同感です。
加えて、私の場合は「流行りものには手を出さない」
というワケの分からない主義のせいもあります。
いずれにせよ限られた時間を悔いなく過ごしたいですね。

投稿: まこてぃん | 2019/09/19 18:10

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