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2019/06/14

『ゲティ家の身代金』

Allthemoney 2017年、米・伊・英。リドリー・スコット監督。KINENOTE の紹介文。

“世界中のすべての金を手にした”と言われた世界一の大富豪、石油王のジャン・ポール・ゲティ(クリストファー・プラマー)の17歳の孫ポールが誘拐され、1700万ドルという破格の身代金を要求される。しかし、大富豪であり稀代の守銭奴でもあるゲティは、その支払いを拒否する。ポールの母ゲイル(ミシェル・ウィリアムズ)は離婚によりゲティ家を離れ、一般家庭の人間になっていた。彼女は息子のために誘拐犯だけでなく、ゲティとも戦うことになる。警察から狂言誘拐を疑われ、マスコミに追い回され、ゲイルは疲弊していく。一方、身代金が払われる様子がないことに犯人は痺れを切らし、ポールの身が危なくなっていた。ゲティはそれでも頑なに身代金を支払おうとしない。ゲイルは愛する息子のため、一か八かの賭けに出る。(引用終わり)

『ゴッホ…』から耳切りつながり、というわけではないが。(笑)

実際にあった誘拐事件を題材にした作品。身代金誘拐事件と言えば、犯人と家族・警察との息詰まる攻防が見所になるが、本作はそこに祖父と母の家族間の対立が絡み、単なるサスペンスものにとどまらない、人間ドラマとしての厚みを持っている。

大富豪の石油王ゲティの徹底した吝嗇ぶりが最後まで徹底していて、身代金もただ支払うのではなく、どうやれば節税になるかを考える。なるほど、お金というのはこういう人間のところに集まるようになっているのかと、妙に得心がいった。

それとは対照的に、母親のゲイルは金銭には全く頓着せず、愛する息子を取り戻すことだけを考え、向こう見ずとも思える行動をとる。しかし、一方で祖父には祖父なりの孫への愛情があったことも事実で、彼がある意味「カネの魔力」に囚われていたことが分かる、ほろ苦いエンディングが印象的だった。

6月12日 ジョグ10キロ

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