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2019/04/09

『ヴィジット』

Visit 2015年、米。M.ナイト・シャマラン監督。アマゾンの紹介文。

休暇を利用して祖父母の待つペンシルバニア州メイソンビルへと出発した姉弟。都会の喧騒から離れて、田舎での楽しい一週間を過ごす予定だった――その時までは。優しい祖父と、料理上手な祖母。しかし出会えた喜びも束の間、就寝時、完璧な時間を過ごすためと、奇妙な「3つの約束」“楽しい時間を過ごすこと” “好きなものは遠慮なく食べること” “夜9時半以降は部屋から絶対に出ないこと” が伝えられる。
この家は、何かがおかしい。夜9時半を過ぎ、異様な気配で目が覚める二人。部屋の外から聞こえるただ事ではない物音に恐怖を覚えた彼らは、絶対に開けてはいけないと言われた部屋のドアを開けてしまう。そこで二人が目にしたものとは――?(引用終わり)

予告篇の最後でシャマラン監督が「あなたは既にダマされている」と挑発しているが、上記紹介文からして既に観客を騙していると言わざるを得ない。まず、「3つの約束」の前2つは映画には登場しない。そちらは大して意味がないが、もうひとつ、もっと重要なことを敢えて伏せて書かれているのだ。

途中、そのことに気づかされるヒントは与えられているが、自分の場合は見逃してしまい、結果見事に騙されてしまった。種明かしをすればまあ納得のゆくストーリーだけれど、「ね、驚いたでしょ」と得意げに話を締めくくるいたずらっ子が、そのまま成人したようなシャマラン節は相変わらずだ。

全体は映画好きの姉が手持ちカメラで記録映画を製作する過程を追う「劇中劇」の構造になっている。両親の離婚のせいでそれぞれ心に傷を負った姉弟が、今回の事件の記録を通じてそれを克服し、前向きに生きていけるようになる今後が暗示されている。

また、結婚に反対されて実家を飛び出して以来、一切連絡を絶っていた彼らの母も、ついに「許し」を得ることが出来た。本物の「万能薬」を得ることになる「もうひとつのエンディング」の方が、ベタながら説得力があったような気がする。

4月7、9日 ジョグ10キロ

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