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2019/03/13

『幼な子われらに生まれ』

Osanago2017年、製作委員会。三島有紀子監督。公式サイトの紹介文。

バツイチ、再婚。一見良きパパを装いながらも、実際は妻の連れ子とうまくいかず、悶々とした日々を過ごすサラリーマン、田中信(浅野忠信)。妻・奈苗(田中麗奈)は、男性に寄り添いながら生きる専業主婦。キャリアウーマンの元妻・友佳(寺島しのぶ)との間にもうけた実の娘と3カ月に1度会うことを楽しみにしているとは言えない。
実は、信と奈苗の間には、新しい生命が生まれようとしていた。血のつながらない長女はそのことでより辛辣になり、放った一言―「やっぱりこのウチ、嫌だ。本当のパパに会わせてよ」。今の家族に息苦しさを覚え始める信は、怒りと哀しみを抱えたまま半ば自暴自棄で長女を奈苗の元夫・沢田(宮藤官九郎)と会わせる決心をするが・・・。(引用終わり)

重松清の同名小説を映画化。主人公と目される信をはじめ、妻・奈苗も、その元夫・沢田も、信の元妻・友佳も、いわゆる「理想的な」夫や妻ではない。そんな彼らのせいで「つぎはぎだらけ」の家庭で育つことになった子供たちこそ、この映画の本当の主人公なのかもしれない。

「本当のパパ」に会いたがっていた長女との確執は、一見落ち着いたようでありながら、実は最後まで解消されていない。そんな中で信と奈苗の間に出来た赤ちゃんが生まれる。その瞬間の信の表情をアップで映したまま映像は静止し、いかにも消化不良のままで本作は終わっている。

この家族はこれから先どうなるのか。家族とはいったい何のためにあるのか。血が繋がっていなくても家族は家族なのか。「友達」との違いは何なのか。そうした諸々の宿題を観るものに突き付けているようなエンディングだ。

作中、友佳が信のことを評して言ったセリフが心に刺さった。

   「理由は聞くくせに 気持ちは聞かないの あなたって」

ところで、信たち家族が住むマンションは「斜行エレベーター」で昇っていく高台にある。どこかで見たことがあると思っていたら、ロケが行われたのは西宮名塩ニュータウンで、そこの斜行エレベーターは中国自動車道からも見えるのだ。

3月12日 ジョグ10キロ

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