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2019/02/11

『彼女の人生は間違いじゃない』

Kanojin2017年、ギャガ、ギャンビット共同製作。瀧内公美、高良健吾ほか。アマゾンの紹介文。

ひとは人生から逃げ出したくなる、運命の変化に向き合えなくなることがある。そんな時、みゆきは、週末に高速バスに乗り、仮設住宅で父親と二人で暮らす福島を離れて東京へと向かう。渋谷でデリヘルのアルバイトをするために。福島と東京を行き来する日々に、みゆきが見たものとは―。戻る場所もなく、進む未来も見えない者たちが、もがきぶつかり合いながらも、光を探し求める。それは、今この時代を生きる私たちに、共通する想いかもしれない。(引用終わり)

ジャケットに「巨人の群れのような鉄塔」が写っている。それを高速バスの車窓から見て、「ここで作った電気は東京へ送られる。すべては東京中心だ」と思うみゆきもまた、何かに惹きつけられるように週末ごとに東京に通う生活を送っている。

渋谷の繁華街の風景とはあまりにも対照的な、震災・原発事故から5年後の福島の現状が、一切の誇張や美化を排してリアルに描かれている。マスコミ報道以外、被災地の実情について知るすべもない自分であるが、たぶんこれが真実の姿なのだろうと思わせる、映像表現の力である。監督の廣木隆一が福島出身と聞いてなるほどと思った。

やるせなく切ないエピソードが続くが、主人公親子にも僅かな光が差して終わるエンディングが救いであり、タイトルの意味するところでもあるだろう。フェリーニの名作『道』のように、石ころだって何かの役に立つ。前を向いて懸命に生きるかぎり、意味のない人生、間違った人生なんてない。そういうメッセージが伝わる。

2月9、11日 ジョグ10キロ

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