『玉木宏 音楽サスペンス紀行▽ショスタコーヴィチ 死の街を照らした交響曲第7番』
2日、NHKBSプレミアムで放映された標記番組を録画視聴した。NHK公式サイトの紹介文。
第二次世界大戦のさなか、ドイツ軍に包囲され過酷な状況にあったレニングラードで、ある演奏会が行われた。ショスタコーヴィチが故郷・レニングラードにささげた「交響曲第7番」。飢えや寒さと闘いながら、人々はどのようにして“奇跡のコンサート”を実現したのか? 一方、作品の楽譜は密かにマイクロフィルムにおさめられ、遠路アメリカまで運ばれた。ソビエトとアメリカの大国同士が音楽で手を結んだ、驚くべき政治的背景とは?(引用終わり)
作品の成立過程から各地での初演、内容の解釈や評価に至るまで、異例づくめで謎だらけのこの大作について、当時の世界情勢や政治的背景にまで踏み込んで取材したドキュメンタリーである。1941年9月の作曲者自身による有名なラジオ放送の実際の音源を聴くことも出来た。
ただ、全体的にはこの第7番がファシズムに対する抵抗の象徴として、ソ連のみならずアメリカでも政治利用されたという文脈だけで纏められている点がやや物足りなかった。もちろん、「第7番は、ファシズムはもちろん、私たち自身の社会システム、すなわち全体主義体制、全てを描いている」という、作曲者自身の注目すべき発言も紹介されているけれども、それ以上の掘り下げはない。例の戦争の主題がレハールの引用と思われることなど、音楽的な内容についての解説も欲しかったところだ。
それはともかく、駅伝とウィーンフィル以外およそ観たい番組がない正月のテレビにあって、今年は唯一この番組だけは大変見応えがあった。進行の玉木宏も終始沈痛な表情で冷静に語っていて好感がもてた。どこかで突如千秋真一に扮して指揮を始めないか心配していたが、さすがにそれはなかった。(笑)
1月5日 ジョグ10キロ
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