« 2018年10月 | トップページ

2018/11/18

還暦

きょう60回目の誕生日を迎えた。生まれ年の昭和33年から十干十二支がひと回りして、再び元の戊戌(つちのえいぬ)に戻ったので、「暦が還った」というわけだ。「本卦がえり」とも言う。古くは数え年61の正月に祝っていたが、現在では満60歳の誕生日とするのが一般的だ。

赤ん坊に返って生まれ直すという意味から、魔除けのための赤い産着になぞらえ、赤いちゃんちゃんこや頭巾を着用する風習が生まれたという。折角だからFRUNの赤いランシャツでも着ようかな。(笑)

大衆理容やTOHOシネマズの料金が割引になるのは有難いけれど、平均寿命が延びた今日、60歳で長寿の祝いなどちゃんちゃらおかしい。しかし、もはや余生というには長すぎる残りの人生を、赤ちゃんのように一から築いていくスタートと捉えると、それなりに意味のあるイベントではないかと思う。

11月18日 ジョグ10キロ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018/11/17

『スマホを落としただけなのに』

Sumahootoshita2018年、製作委員会。東宝配給。北川景子、千葉雄大、成田凌、田中圭ほか。公式サイトの紹介文。

彼氏の富田(田中圭)に電話をかけた麻美(北川景子)は、スマホから聞こえてくる聞き覚えのない男の声に言葉を失った。たまたま落ちていたスマホを拾ったという男から、富田のスマホが無事に戻ってきて安堵した麻美だったが、その日を境に不可解な出来事が起こるようになる。
身に覚えのないクレジットカードの請求や、SNSで繋がっているだけの男からのネットストーキング。落としたスマホから個人情報が流出したのか? ネットセキュリティ会社に勤める浦野(成田凌)に、スマホの安全対策を設定してもらい安心していた麻美だったが、その晩、何者かにアカウントを乗っ取られ、誰にも見られたくなかった写真がSNSにアップされてしまう。
時を同じくして、人里離れた山の中で次々と若い女性の遺体が見つかり、事件を担当する刑事・加賀谷(千葉雄大)は、犯人が長い黒髪の女性ばかりを狙っていたことに気が付く。スマホを拾ったのは誰だったのか。連続殺人事件の真犯人はいったい誰なのか。そして明らかになる“奪われた麻美の秘密”とは?(引用終わり)

スマホも持たず、SNSともほぼ無縁な人間だけれど、「パソコンや携帯電話が乗っ取られたら」と置き換えてみると、とても他人事とは思えない。劇中では暗証番号やパスワードがいとも簡単に見破られ、個人情報が丸裸にされてしまう恐怖が、これでもかと繰り返し描かれている。

セキュリティ対策を取っていれば、たとえスマホを落としても被害を免れる場合も多いだろう。自分自身、暗証番号やパスワードはまず他人が思いつかないものにしているつもりだけれど、絶対に大丈夫という保証はない。長い間同じものを使っているので、定期的に変更しないといけないだろう。

連続猟奇殺人事件との関連とか、いわゆる「麻美の秘密」については、どちらもありがちな設定であるうえ、途中でおおよその想像がつく。一方で、別の人間を真犯人と誤認させるような場面があったりで、サスペンス映画としての出来はそれほど良くない。しかし、スマホに依存した今の日常生活に潜む危険性について警鐘を鳴らした、まことに現代的なホラー映画であると言える。

11月16日 ジョグ10キロ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018/11/14

ドホナーニのベートーヴェン交響曲全集

80756_4以前にNHK-FMで第8番の演奏を聴いて興味を抱いた、ドホナーニ指揮によるベートーヴェンの交響曲。遠路はるばるロンドンから全集盤を入手し、通して聴いてみた。テラークの再発売廉価盤で、2枚組×3セット、EVERYBODY'S BEETHOVEN というタイトルが付されている。

管弦楽はクリーヴランド管弦楽団。第9の合唱は同合唱団(指揮ロバート・ペイジ)、独唱者はキャロル・ヴァネス(S)、ジャニス・テイラー(Ms)、ジークフリート・ジェルサレム(T)およびロバート・ロイド(B)である。1983年から1988年にかけて、クリーヴランド管弦楽団の新旧の本拠、セヴェランスホールおよびマソニック・オーディトリアムで収録されている。

演奏は基本的に速めのテンポで、前へ前へと力強い推進力をもって進行し、剛毅にして快活な、とても男性的な演奏と言って良かろう。それは、一般的には優美とされる偶数番の交響曲でも同様で、とりわけ第4番のこれほど力感に溢れた演奏はあまり経験がない。「2人の巨人に挟まれたギリシャの乙女」というシューマンの形容が的外れにすら思えるほどだ。

ただし、第6番「田園」だけは、そういった表現がそぐわず、特に第1楽章は最後までどこか落ち着きがない。田舎に着いた安らぎどころか、もう都会に帰りたいと言っているかのようだ(笑)。第2楽章以下はサラリとした味わいでそれなりに聴かせるだけに惜しい。

それ以外はどれも素晴らしい。とりわけ第1番や第2番といった初期の交響曲にも、後期のそれに劣らぬ深みとスケールが感じられ、なかなかの名盤であると思う。ブラームスの交響曲全集もそうだが、アメリカの楽団というだけであまり顧みられることがないのは残念だ。

テラークによる優秀な録音も魅力だ。比較的各楽器に近い位置で録っていると思われるが、その明瞭な音が全体として見事に調和しているところが素晴らしい。第8番第2楽章の例のバスの音型も、テラークでなければ十分聴き取れなかったのではないか。

ところで、その第8番のような「意外な発見」も期待しながら聴いたが、わずかに1つだけ、これまで知らなかった(気付かなかった)箇所を発見した。第5番第1楽章の473~475小節にかけてのホルンである。倍の四分音符ではあるが、見事に「運命の動機」になっていて、ドホナーニ盤ではこれが強調されて浮かび上がっている。

470_5

421~423小節にも同じような音型があるが、こちらはやや控えめで、最初は気がつかなかった。

420_3

例によって手持ちの他のLP、CDをチェックしてみたが、何とセル指揮クリーヴランド管の1963年の録音が、比較的明瞭にこれらの音型が分かる。これまでは漫然と聴き流していたのだ。またチコちゃんに叱られる(笑)。そう言えば、セルの全集でも「田園」だけは何度聴いてもピンと来ないが、クリーヴランドの伝統なのか、それともドホナーニがセルの影響を受けたのだろうか。

11月12、14日 ジョグ10キロ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018/11/11

北陸本線旧線(杉津線)ラン その2

この後、第一観音寺、第二観音寺、曲谷、芦谷、伊良谷、山中と6つのトンネルが連続する区間になる。標高が上がるにつれて霧が濃くなってきて、敦賀湾の眺望も何もあったものではない。直前に分かったのだが、第二観音寺トンネルは平日は工事のため通行止めになっていて、知らずに平日に来ていたらここで引き返す破目になっていた。

Ts3r0030_2

最後の山中トンネルは全長1170メートル。まさにラスボスにふさわしい長さだが、直線かつ平坦なためか信号が設置されていない。しかし、1キロ以上先の対向車が分かるのだろうか。走っている間中、中の暗さもさることながら、自動車が来ないか気が気でなかった。

国境の長いトンネルを抜けると雪国…ではなく、雨が上がっていた。山中峠は嶺南と嶺北の境なのである。康成の小説では続いて、「信号所に汽車が止まった」とあるが、ここにもかつて信号所があった。山中信号所といい、スイッチバックによる列車交換のための施設である。全体の構成は現地看板に解説されている。

Ts3r00441_2

今庄方(A)から登ってきた上り列車は、一旦山中トンネル(D)左側の折り返し線(B)と、有効長延伸のためのトンネルに入る。

Ts3r0036_2

延伸トンネルの中まで入ってみたが、長さはせいぜい数十メートルで、すぐ行きどまりになった。引き返して外を見ると、始まりかけた紅葉がきれいだった。雑誌『ノジュール』の表紙とかに使えそうだ。(笑)

Ts3r00341_2

上り列車は次にバックで今庄方に戻り、高低差の少ない待避線(C)に入って、敦賀方からの下り列車の通過を待つ。右側の下り勾配の県道が本線(A)である。

Ts3r0040_2

待避線の末端部には頑丈そうな雪除けが今も残る。今回では最も廃線らしい光景だ。

Ts3r0048_2

下り列車が山中トンネルを抜けて左の本線(A)へと通過した後、右の待避線にいた上り列車は勢いをつけて山中トンネル(奥)へと向かっていく。

Ts3r0051_2

同じ地点の当時の光景がこちら。ただし、これは下り列車が退避する場合のようである。手前に写る木の切り株らしきものは、現在と同じものだろうか。まさかね。

Ts3r00451_2

単調な一本道を進み、再び北陸自動車道の高架を潜る前に、3番目の大桐駅跡がある。元々スイッチバックのための信号所だったが、地元民の要望を受けて停車場に昇格したものだ。プラットホームが今も残され、D51の動輪などが展示されているのは、それだけ地元に愛されていた証拠である。

Ts3r0053_2

この先の上新道集落に山中峠越えと木ノ芽峠越え、2つの街道の追分(分岐点)があり、解説板が設置されている。ただ、実際の街道はこの廃線跡ではなく、右側の集落の中を通っている。

Ts3r0059_2

やがて南今庄駅付近で北陸本線現在線と合流、一旦離れて県道を進むと、今度は北陸道と北国街道との追分に文政13年の道標が立っている。「右京 つるが王可佐道」「左京  いせ江戸道」などと刻む。「王可佐」は「わかさ」である。おっと、廃線ランだか街道ランだか分からなくなってきた。(笑)

Ts3r0062

今庄駅近くで旧線の痕跡と思われる柵を発見。この辺りで現在線(奥に架線が見える)と重なっていたと思われる。

Ts3r0065

予定より早く今庄駅前に到着。昼をかなり過ぎていたが、今庄名物の蕎麦で遅い昼食をとる。コリっとした麺が大変美味だった。

Ts3r0067

敦賀に戻る電車の時間まで少しあったので、駅裏に展示されているD51機関車を見物。静態保存されている同型機関車の中では、保存状態が極めて良い部類に入るだろう。解説板によれば、かつての今庄は一軒にひとりは国鉄職員がいたという「国鉄ムラ」だったようで、その伝統が残っているのかもしれない。

Ts3r0069

2両編成ワンマンカーの普通列車で敦賀まで戻る。北陸トンネル経由でたったの15分だった。隧道碑に記されていたとおり、北陸本線の輸送力を画期的に高めた北陸トンネルの威力を身をもって実感した。

11月10日 ジョグ10キロ

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2018/11/08

北陸本線旧線(杉津線)ラン その1

4日の日曜日、北陸本線敦賀・今庄間の旧線、通称杉津(すいづ)線を走った。この区間の旧線は当時の鉄道の限界と言われた25パーミル(1000分の25)という急勾配が連続し、また最小曲線半径360メートルという難所であった。そのため、米原・富山間の複線電化工事の一環として北陸トンネルが建設され、昭和37年6月の同トンネル開通をもって旧線は廃止となったものである。

旧線跡は国道、県道などに転用され、地元住民の生活道路として活用されている。10箇所のトンネルは当時のままの姿で残り、国の登録有形文化財に指定されている。また、山中信号所付近ではスイッチバックの痕跡を見ることができる。

午前10時前、敦賀駅前をスタート。北陸特有のどんよりした空が広がり、細かい霧雨が降っている。駅舎は以前はもっと寂れた感じだったと記憶するが、最近リニューアルされたようである。

Ts3r0001

駅前の市街地を抜けたところで、道路を横切る線路の跡を発見。全くノーマークだったが、後で調べると旧敦賀港線の踏切跡であることが判明した。

Ts3r0002

国道476号に入って北陸本線の現在線と並んで走ると、北陸トンネル入り口の近くに北陸隧道碑がある。碑に記された建設経緯の説明文は、淡々とした文体ながらも、鉄道史に残る大事業をやり遂げた誇りを感じさせる。

Ts3r0008_2

Ts3r0003

旧線跡の国道はここで現在線と分岐し、高架の北陸自動車道を縫うようにして緩やかな登り坂を進んでいく。

Ts3r0009

やがて最初のトンネル、樫曲(かしまがり)トンネルが見えてきた。国道が南側に迂回したあとも、古いトンネルが破壊されずに残っているのは喜ばしい。ただ、いかにも後から付けましたというランプ風の照明がやや興醒めではあるが。

Ts3r0012

次の獺河内(うそごうち)トンネルは拡幅されて当時の姿をとどめない。国道にはほとんどの所で歩道がなく、この辺りから雨が次第に本降りになってきて、ちょっと辛いものがあった。やがて最初の駅、新保駅跡に到着。道路の向こう側で小高くなったところはスイッチバックの痕跡かもしれない。

Ts3r0021

この先で国道から分岐、なおも北陸自動車道と並行する田舎道を行くと、葉原トンネルの入り口が見えてきた。ここにもスイッチバックがあったそうで、左側の小高くなったところがその痕跡かもしれない。

Ts3r0023

トンネルは全長979メートル。片道交互通行のため信号が設置されている。当然、自動車の速度を前提に時間設定されているので、人間が走ったのでは間に合わないけれど、幸いこの後のトンネルも含めて、トンネル内で自動車と遭遇することは一度もなかった。

続いて鮒ケ谷トンネル、曽路地谷トンネルを通過。同じような外観なので写真は省略するが、後者はトンネル内に照明がなく、手持ちの小さなLEDライトだけを頼りに走るのはかなり怖かった。

曽路地谷トンネルを抜けるとすぐ、北陸自動車道杉津PAがあり、地道側からも入場することが出来る。地元の従業員のためだろうか。ここが2番目の杉津駅の跡で、眼下には敦賀湾の眺望を楽しむことができる…はずだったが、生憎の雨でまったく何も見えない(泣)。

Ts3r0028

しかし、ここ以外にコンビニはおろか、自販機1台もないコースにあって、ほぼ中間点にあるこのSAは貴重なエイドステーションとなった。(続く)

11月6、8日 ジョグ10キロ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018/11/05

『コンビニ人間』

Conveni村田沙耶香著。第155回芥川賞受賞作。版元の紹介文。

36歳未婚、彼氏なし。コンビニのバイト歴18年目の古倉恵子。日々コンビニ食を食べ、夢の中でもレジを打ち、「店員」でいるときのみ世界の歯車になれる――。「いらっしゃいませー!!」 お客様がたてる音に負けじと、今日も声を張り上げる。ある日、婚活目的の新入り男性・白羽がやってきて、そんなコンビニ的生き方は恥ずかしい、と突きつけられるが……。
現代の実存を問い、正常と異常の境目がゆらぐ衝撃のリアリズム小説。(引用終わり)

あるインタビューで著者は「この本はうっかり読んでみてほしい」という趣旨の発言をしている。タイトルに惹かれて読んでみたら意外な内容に驚くに違いないという自負だろう。自分の場合がまさにそうで、主人公の働きぶりが描かれた冒頭をざっと立ち読みして、これはいわゆる「お仕事小説」のひとつなのだろうと思って読み始めた。

ところが、数ページ進んだところで、主人公の子供時代の2つの異様なエピソードが紹介される辺りから物語の様相は一変する。結婚も就職もせずといった外見だけでなく、ものの見方や考え方も世間一般の「普通」ではない主人公は、唯一コンビニの店員でいる間だけ「世界の正常な部品」になることができるというのだ。

そこに、また別の意味で「普通でない」男性白羽が登場して、さらに「普通でない」突飛なストーリーが展開していくけれども、結末だけはある意味で予定調和的というのか、やっぱりそうなるしかないと思わせる結び方となっている。

個性重視と言いながらも、「普通でない」ものに対しては無遠慮な非難が浴びせられる現代社会。画一性の象徴、マニュアルの塊りのようなコンビニの中でしか生きる意味が見いだせない主人公の物語は、そうした社会の同調圧力に対する、アイロニーを含んだ静かな異議申し立てのように感じられた。「へんてこな」物語のようで内容はかなり深い。

実際にコンビニで働く著者の実体験に基づいて、コンビニの舞台裏でのオペレーションがつぶさに描かれており、その点でも大変に興味深かった。

11月4日 LSD26キロ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018/11/02

『ぬけまいる~女三人伊勢参り~』

Nukemairu_3偶然にも伊勢つながりとなったが、NHKの土曜時代ドラマ『ぬけまいる』が先月27日から始まった(8回連続)。朝井まかての同名小説をドラマ化、出演は田中麗奈、ともさかりえ、佐藤江梨子ほか。

若い頃は「馬喰町の猪鹿蝶(いのしかちょう)」と呼ばれた三人娘も三十路過ぎとなり、それぞれに人に言えない事情と鬱屈を抱えていた。ある日突然、伊勢への抜け参りを思いついて3人で旅立つ。

第1回は出立までの事情と、江戸日本橋から川崎宿まで初日の珍道中を描く。「東海道中膝栗毛」の女性版といった感じで、骨董品と思って買った古道具が安物だったり、お人よしを見透かされて騙されたりと、これから先の道中が思い遣られる。また、初回からいきなり3人の入浴シーンがあってドキッとした。

ところで、番組タイトルの「ぬけまいる」の文字は、上下逆に見ると「いのしかちょう」と読めるようになっている。これは、アンビグラムというもので、千葉ロッテマリーンズが今年のセパ交流戦ポスターに採用して話題になったものだ。

街道ファンとしては見逃せないドラマだ。

10月31日 ジョグ10キロ
月間走行  233キロ
11月 2日 ジョグ10キロ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2018年10月 | トップページ