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2018/10/18

伊勢別街道を走る

Isekaidomap2_415日から17日にかけて、伊勢街道および伊勢別街道を走って来た。いずれも東海道の途中から分岐して伊勢神宮に向かう街道である。位置関係はご覧のとおりで、江戸方面から四日市の先、日永の追分で分岐するのが伊勢街道、京方面から関宿の東追分で分岐するのが伊勢別街道である。両者は津宿手前の江戸橋追分で合流する(地図はいつも参考にしている五街道ウォークのサイトから)。

まずは距離の短い別街道から走ることにして、15日の昼過ぎにJR関駅に到着した。いきなりだが、駅前の「道の駅関宿」に立ち寄って休憩する。走る前から休憩を取るのにはワケがあって、今年4月に東海道を走って関宿を通過した際、銘菓「志ら玉」を食べそびれていて、いつかその仇を取ろうと思っていた。この道の駅で販売していると聞いて立ち寄ったのだ。

めでたく志ら玉にありついて本懐をとげた。アンコの素朴な味がなんとも昔懐かしい。ついでに、同じく関銘菓「関の戸」も購入して自宅に配送してもらうことにした。こちらは1個2個では売ってくれないし、箱を持って走るわけにもいかないからだ。

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さて、これでこの日最大の懸案が解決した(笑)。というか、別街道にはそれほど名所が多いわけでもなく、東海道と伊勢を結ぶミッシングリンクを残さないため、というのが最大の目的だったりする。

関宿の東追分まで移動してスタート。勧進橋で鈴鹿川を渡った先に鈴鹿駅跡があり、そこにあった巨大な松の根株が保存されている。駅とはもちろん鉄道駅ではなく、旅人のために馬や人夫を備えていた駅(うまや)のことである。

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名阪国道の高架を潜り、石山観音への道と分岐、庚申坂を登っていくと最初の楠原宿に入る。何とも鄙びた佇まいで、宿場だったことを窺わせるものは残っていない。楠原宿を出て、人気のない急な坂道を登った先の集落の中ほど、蛭谷街道と分岐する場所に旧明村役場庁舎がある。大正5年築、国の登録有形文化財とのことである。

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集落を抜けるところに安永5年建立の道標を兼ねた常夜燈があり、「右さんぐう道」「左り京道」と刻む。以降、伊勢街道ともあわせ、無数の常夜燈を目にすることになる。「おかげ参り」などで、昼夜兼行で伊勢を目指した旅人が多かったということだ。

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やがて前方の視界を遮る堤防が現れる。横山池という人造池で、地元の篤志家駒越五良八なる人物が慶応2年に私財を擲って築造したそうだ。旧街道はこの池を突っ切るような形で通っていたと思われる。

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次の椋本宿に到着。集落にある巨大な椋の木がその名の由来だ。宿場中心付近にある道路里程標(右、復元)と、江戸後期建立と推定される道標(左)。「左さんくう道」「右榊原道」と刻む。

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その先の曲がり角に、その名も角屋という旅館がある。江戸時代から続いた旅館で(現在は廃業)、これも国の登録有形文化財。軒下には参宮講札が多数掲示されている。今で言えば、「○○旅行社ご指定旅館」といったところか。ちなみに「笑門」と記された注連縄は当地の風習なのか、普通の民家でもよく見かけた。

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この先は県道と合流、分岐を繰り返す単調な行程となる。伊勢自動車道インターチェンジ近くのコンビニでコーヒー休憩。現代のお茶屋、コンビニには今回もずいぶんお世話になった。

次の窪田宿寄りの場所に、文政2年(たぶん)建立の「ぜに可け松」の碑がある。昔、病気で参宮を断念した旅人がこの松に銭を結んで引き返した。別の人がその銭を盗もうとしたら、銭が蛇に化けて襲ってきたことから、この松に銭を掛けると参宮と同じくらいご利益があるという伝承が生まれたそうだ。(諸説あり)

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窪田宿の辺りまで来ると人家も建て込んできて、往時の雰囲気は全くないものの、JR紀勢本線一身田駅近くに巨大な常夜燈がある。文化14年建立、高さは8.6メートルもある。蝋燭を灯すために背後に階段が設けられているが、現在は電線を引き込んでLEDライトが点灯している。

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紀勢本線、伊勢鉄道線、近鉄名古屋線と順に越えていくと、伊勢別街道の終点、伊勢街道との分岐点である江戸橋追分に至る。残念ながら江戸橋は現在架け替え工事中で、追分にある常夜燈や道標の周囲も大変殺風景だ。(泣)

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すぐ近くの近鉄江戸橋駅から電車で四日市へ移動、駅前のホテルに投宿した。

10月15日 LSD19キロ
10月16日 LSD37キロ
10月17日 LSD32キロ

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