『恋のゆくえ ファビュラス・ベイカー・ボーイズ』
1989年、米。シドニー・ポラック製作総指揮。ミシェル・ファイファー、ジェフ・ブリッジズ、ボー・ブリッジズ他。アマゾンの紹介文。
なかなか人気が出ず、お呼びのかかるラウンジも格の低いところが増えてきたジャズ・ピアニスト兄弟「ザ・ファビュラス・ベイカー・ボーイズ」(ジェフ&ボー・ブリッジズ)。この状況を打破するべく美人ヴォーカリスト、スージー(ミシェル・ファイファー)を雇い、トリオとして再出発した。彼女の人気でトリオは次第に人気を博していくが…。(引用終わり、一部加筆。)
あるサイトで「邦題以外はすべていい。音楽もカメラも役者も。」と紹介されていたが、本当にそのとおりで、小難しい文芸映画を観た後、理屈抜きに楽しめる1本だった。
とりわけ、全篇に亘って流れるジャズナンバーの数々が、洗練された都会の気怠さ…みたいな雰囲気を醸し出している。ミシェル・ファイファーの歌はほとんど玄人はだしで、サウンドトラックがグラミー賞を受賞したそうだ。
その歌もさることながら、彼女の何とも言えない妖艶さ、それと同居する可愛らしさやふてぶてしさなど、大人の女の色香を全て体現したような演技が、本作最大の魅力だろう。グランドピアノの上で身をくねらせて歌うシーンは、上質なエロティシズムを強烈に感じさせる。
ベイカー兄弟を演じたジェフとボーは本物の兄弟なのだが、そう言われないと気付かないほど容貌は似ていない。しかし、実はこの映画の役柄的にはそれが功を奏していて、兄は律義で実務に通じた常識人、弟は才能はあるが人間的には未熟という、対照的な兄弟像を作り上げるのに寄与している。
メインは一応ラブストーリーだが、そこに兄弟の対立や和解、エンタメ業界の現実などが絡んで、独特の作品世界を作り出している。弟が飼っている黒のレトリーバーとか、アパートの上階に住む少女も、意外なほどストーリー展開に絡む名脇役となっている。一見唐突で、余韻を残したエンディングも味わいがある。
10月3日 ジョグ10キロ
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