『響 HIBIKI』
2018年、製作委員会。東宝配給。平手友梨奈、北川景子ほか。公式サイトの紹介文。
スマートフォン・SNSの普及により、活字離れは急速に進み、出版不況の文学界。そこに現れた一人の天才少女、彼女の名は『響』(平手友梨奈)。15歳の彼女の小説は、圧倒的かつ絶対的な才能を感じさせるもので、文学の世界に革命を起こす力を持っていた。文芸誌「木蓮」編集者の花井ふみ(北川景子)との出会いを経て、響は一躍世の脚光を浴びることとなる。
しかし、響は、普通じゃない。彼女は自分の信じる生き方を絶対曲げない。世間の常識に囚われ、建前をかざして生きる人々の誤魔化しを許すことができない。響がとる行動は、過去の栄光にすがる有名作家、スクープの欲だけで動く記者、生きることに挫折した売れない小説家など、様々な人に計り知れない影響を与え、彼らの価値観をも変え始める。
一方、響の執筆した処女作は、日本を代表する文学賞、直木賞・芥川賞のダブルノミネートという歴史的快挙にまで発展していく。(引用終わり)
主役の平手友梨奈は原作コミックから抜け出たようだというが、仮にそうだとしても映画としての完成度が高いということにはならない。許せない相手に対して彼女が暴力を振るうシーンが何度も登場するが、それでスカッとするだけでは暴力を容認したことになる。
そうではなく、相手が誰であれ、体を張ってでも自らの意思を貫き通す、彼女の一途な生き方が、周囲の大人たちにも影響を及ぼしていくところが作品のキモだとすれば、その部分の描写がいかにも中途半端なのだ。あんなに憎々しげだった相手が、響の一言で掌を返したように良き理解者に豹変する。いくら原作がコミックだといっても、あまりにもマンガ的に過ぎないか。
平手はいきなり主役でのデビューとなったが、今後響以外の役をどう演じていくのだろうか。響の良き理解者であり、常に彼女を守る編集者役の北川景子は、さすがの安定した演技。一方、小栗旬、柳楽優弥、吉田栄作ら脇役陣も豪華だが、残念ながら持ち味を生かし切るほどの登場場面がない。その中で、打算だけで動く編集長を演じた高嶋政伸の演技が光っていた。今、ああいう悪役を演じさせて彼の右に出る人はいないのではないか。
9月21日 ジョグ10キロ
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