『赤い靴』
1948年、英。マイケル・パウエル、エメリック・プレスバーガーの共同監督・脚本。アマゾンの紹介文。
レルモントフ・バレエ団は青年作曲家ジュリアン・クラスターと バレエ・ダンサーで社交界の令嬢ヴィキイ・ペイジの二人の新人を発見して一座に契約した。レルモントフは企画していたアンデルセン童話にもとづく新バレエ『赤い靴』の曲をクラスターに作曲させ、女主人公にヴィキイを抜擢することにきめる。
クラスターの新曲はレルモントフも気に入ったので、パリからモンテカルロに移り公演したバレエ劇『赤い靴』は華々しく脚光を浴びることになる。バレリーナ、ヴィキイ・ペイジの名と新人作曲家ジュリアン・クラスターの名は、たちまち世界的となった。二人は稽古中から互に心をひかれ愛し合う仲となったが…。(引用終わり)
この映画のことは全然知らず、アンデルセンの童話に基づいた少女趣味のバレエ映画という先入観を持っていたが、それはとんでもない誤解だった。芸術を作り上げる難しさと厳しさ。その中で、芸術と愛の二者選択を迫られたヒロインの悲劇を、1948年製作とは信じられない美しい映像と、フルオーケストラの音楽で詩情たっぷりに描いた、映画史上に残る傑作なのである。
赤い靴を履けば名バレリーナになれるが、その代わりいつまでも踊り続けなければならない。その靴を脱ぐときは彼女が死ぬ時だ。アンデルセンの童話と、映画全体のストーリーとが二重構造になっているが、とりわけ劇中劇の形で演じられるバレエ「赤い靴」の17分にも及ぶシーンが圧巻だ。
主人公ヴィキイ役のバレリーナ、モイラ・シアラーのほぼノンストップの踊りは息もつかせぬ迫力があるし、現実の舞台から幻想的な特撮へと、物語の展開にあわせて変幻自在に移り変わる映像表現が素晴らしい。音楽は何と、サー・トーマス・ビーチャム指揮ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団による演奏である。
スティーヴン・スピルバーグやフランシス・F・コッポラらがリスペクトしているという話も頷けるところで、近年マーティン・スコセッシがデジタルリマスター版を製作、カンヌ映画祭で上映されたとのこと。ただ、レンタルしたDVDはリマスター版ではなく、字幕もフランス語のセリフの大部分や、ヴィキイとジュリアンの結婚を知らせる電報など、肝心のところが訳されていないのは残念だった。
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