『あやしい彼女』
2016年、「あやカノ」製作委員会。松竹配給。多部未華子主演。allcinema の紹介文。
73歳の瀬山カツ(倍賞美津子)はワガママで無神経な毒舌おばあちゃん。地元商店街ではいつもトラブルの元凶となる鼻つまみ者。女手一つで育て上げた娘の幸恵(小林聡美)とバンド活動をしている孫・翼(北村匠海)の自慢話に周囲は辟易。そんなカツの唯一の理解者が、昔なじみの中田次郎(志賀廣太郎)。彼女を一途に慕い、どんな時でも味方になってくれていた。
ある日、幸恵と喧嘩して家を飛び出したカツは、見知らぬ写真館にふらりと足を踏み入れる。やがてふと気づくと、いつの間にか20歳の時の自分(多部未華子)に若返っていたのだった。そしてひょんな成り行きから、大鳥節子と名乗り、次郎の家に居候することに。やがて、のど自慢大会がきっかけで翼のバンドにスカウトされたカツ。かわいい孫のためとひた肌脱ぐことに。一方、音楽プロデューサーの小林拓人(要潤)も同じようにカツの歌声に魅了され、その行方を捜していたのだが…。(引用終わり)
2014年の韓国映画『怪しい彼女』のリメイク。中国版、ベトナム版もあるそうだが、そうと知らずに見れば、純然たる邦画として全く違和感はない。突然若返るというベタな設定ながら、単なるファンタジーコメディにとどまらない。苦労続きだった主人公の人生を振り返りつつ、もう一度青春時代をやり直せたらという、ヒューマンドラマとしての厚みをもっている。
何と言っても、多部未華子の可憐さが本作最大の魅力だが、そのキュートな外観と、言葉遣いなどに現れる73歳の老女の中身とのギャップがとてもコミカルである。「大鳥節子」の人物造形は、その名前からして『ローマの休日』のオードリー・ヘップバーンへのオマージュで、他にも「真実の口」を模した福引の抽選箱に手を突っ込むシーンなどが登場する。ラストも「やはりそう来たか」という納得のオチだ。(笑)
冒頭の輸血シーンの意味が最後に明らかとなり、清々しい結末へと繋がっていく。ほろ苦いラブロマンスや、母娘間のわだかまりとその解消なども織り交ぜ、多部未華子が吹き替えなしで歌うナツメロとも相俟って、老若男女が楽しめる一級の娯楽作品に仕上がっている。
ところで、ふと多部未華子の顔はどこかで見た気がすると思ったら…
6月13、15日 ジョグ10キロ
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