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2018/06/21

『ドクトル・ジバゴ』

Zhivago1965年、米伊。デヴィッド・リーン監督。allcinema の紹介文。

ロシアの文豪ボリス・パステルナークの同名小説を映画化した長編大作。時はロシア革命前後の動乱期。純真な心を持つ詩人でもある医者ジバゴを主人公に、ラーラとトーニャという2人の女性への愛を通して波瀾に満ちた生涯を描いてゆく。人生の軌跡を、多彩な登場人物を交えながら時代のうねりと共に描く壮大な一大叙事詩。M・ジャールによる美しい“ラーラのテーマ”も忘れがたい。(引用終わり)

この監督の作品は、『戦場にかける橋』『アラビアのロレンス』『旅情』に続いて4作目。テーマはそれぞれ異なるが、「映画はこうやって作るものだ」という一貫した主張が感じられる。文芸や演劇とは異なり、映画はセリフ以外にも、場合によってはセリフなしでも、映像による表現が十分出来るメディアなのである。

本作でもその映像表現の素晴らしいことと言ったら、まさにモーション・ピクチャー、動く絵画そのものである。革命前夜の街頭デモと治安部隊の衝突、ロシアの大雪原を疾走する機関車といった迫力あるシーンのみならず、野戦病院の中で向日葵の花弁が落ちるところや、窓越しに見る雪景色が水仙の花畑に変わり、その花からラーラの顔に移るところなど、鮮やかな色彩を使った象徴的なシーンも印象に残る。

音楽はバラライカが奏でる有名な「ラーラのテーマ」が、要所要所でライトモチーフのように使われている。BDの映像特典によれば、封切当初あまり客入りが良くなかったため、この音楽を町の至るところで流して宣伝したのだという。

ストーリーそのものは、ロシア革命前後の揺れ動くロシア社会を舞台にした、主人公の不倫物語である。ドロドロしたものではないけれど、何だか大作少女漫画か宝塚歌劇みたいな感じで、個人的にはあまり感情移入できなかった。後で調べて分かったのだが、何と本当に今春の宝塚雪組公演で取り上げられていた。

アカデミー賞は脚色、撮影、作曲、美術監督・装置、衣裳デザインの5部門を受賞している。上記のような感想からすると頷けるところだ。

6月19、21日 ジョグ10キロ

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