『闇の叫び』
堂場瞬一著。「アナザーフェイス」シリーズ最終の第9作。カバーの紹介文。
息子のかつての同級生の母親から連絡を受けた大友鉄。娘が通う中学の保護者が何者かに襲われたと言う。やがて別の父兄も被害に遭い、捜査に加わるも容疑者は二転三転。はたして犯人の動機は――。最愛の妻を亡くし、捜査一課から刑事総務課に異動して息子の優斗を育てるイクメン刑事シリーズ、ついに完結!(引用終わり)
通勤というものがなくなって読書量はガタンと落ちたが、このシリーズは継続して読んできた。「バリバリの事件に立ち向かうより、もう少し生活者としての刑事を描きたかった」という著者のコメントどおり、刑事ものとしては特異な「イクメン」キャラクターである大友鉄も、ついに最後の事件を迎えた。
前半で容疑者が二転三転するところはやや冗長な感じを受けたが、ある偶然から捜査線上に浮かびあがった真犯人との対決が始まってからは、俄然緊迫感を増していく。犯人が育ってきた環境と、自らの家族の状況を重ね合わせる大友には、今回の事件はとても他人事と思えず、「らしくない」ほど捜査にのめり込んでいく。
そのことを通じて、再び「刑事の血」が蘇えった大友の心境の変化、近い将来の捜査一課への復帰を予感させたところで、本シリーズは一応の終結をみている。続篇はもうないだろうが、他のシリーズに別シリーズのキャラクターをちょこっと登場させる、著者お得意の手法でもよいので、彼のその後の活躍を垣間見てみたいものだ。
それにしても、帯の部分はどうせ隠れるからと、そこだけ白紙にしたカバーデザインはいかがなものか。(苦笑)
5月8、10日 ジョグ10キロ
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