『わたしを離さないで』
2010年、英米。カズオ・イシグロの同名小説の映画版。allcinema の紹介文。
緑豊かな自然に囲まれた寄宿学校“ヘールシャム”。そこは、牧歌的な田園地帯にありながら外界からは完全に隔絶され、徹底した管理が行われている謎めいた施設だった。そんな静かで整然とした環境の中で、幼い頃からずっと一緒に育ってきたキャシー、ルース、トミーの仲良し3人組。やがて18歳となった3人はヘールシャムを卒業し、農場のコテージで共同生活を送ることに。初めて接する外の世界に不安や喜びを感じていく3人。そして、いつしかルースとトミーが恋人になったことで3人の関係も終わりを迎えようとしていたが…。(引用終わり)
同じカズオ・イシグロ原作で、以前『日の名残り』を観たが、とても同じ作家と思えないほど全く違うジャンルの作品なのに、それぞれ独特の作品世界にどっぷりと浸らせてくれる。さすがはノーベル賞作家だけのことはある。
ネタバレになるので肝心のところはほとんど何も書けないが、平均寿命が100歳を超えた架空世界(パラレルワールド)というSF的な設定を使いながらも、内容的にはとても切ないヒューマンドラマというところが秀逸である。映像、音楽ともに大変美しく、そして哀しい。
平均寿命がいくら延びても、人間はいつか死ぬ。それは誰にとっても避けられないことなのだ。ラスト近くの、「よく分からないのは、私たちの命が、私たちが救う人々の命とそんなに違うのかということだ。皆、“終了”する。たぶん誰もが人生を本当には理解せず、また十分長く生きたと感じないままに」(筆者試訳)というキャシーの独白が心に迫った。
ところで、同じ原作で日本でも2016年にテレビドラマ化されている。主役3人は綾瀬はるか、三浦春馬、水川あさみというのだが、この映画を観た後となっては、観てみたいような観たくないような。(苦笑)
4月10日 ジョグ10キロ
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