『ゴールデンスランバー』
2009年、製作委員会。伊坂幸太郎原作、中村義洋監督コンビの映画はこれで3本目。堺雅人主演、竹内結子、吉岡秀隆ほか。allcinema の紹介文。
仙台に暮らすごく平凡な30歳の独身男、青柳雅春。金田首相が凱旋パレードを行うその日、大学時代の同級生・森田に呼び出された彼は、“お前、オズワルドにされるぞ。とにかく逃げろ”と謎の警告を受ける。その直後、背後のパレード会場で爆発音がしたかと思うと、なぜか2人の前に警官が現われ、躊躇なく拳銃を向ける。訳もわからぬまま反射的に逃げ出した青柳は、やがて自分が身に覚えのない証拠によって首相暗殺の犯人に周到に仕立てられていくことを大量のマスコミ報道で知る。青柳の元恋人で大学時代のサークル仲間でもある樋口晴子は、事件の報道に驚き、かつての仲間たちに連絡を取ろうとするのだが…。(引用終わり)
無実の市民が首相暗殺犯に仕立てられるという設定は、日本の常識からすればいかにも荒唐無稽であるが、ケネディ暗殺事件の主犯とされるオズワルドも、実は当局に仕立てられたという説があるそうだ。青柳がラジコンヘリを操作していたとされるのは「教科書倉庫ビル」だが、これはケネディ事件の史実を踏まえたものだろう。
そのおおもとの設定に目をつむりさえすれば、ハラハラドキドキのサスペンスがノンストップで展開して飽きさせない。他の伊坂作品同様、多くの伏線が見事に回収され、一種の爽快感が味わえると同時に、ちょっとしたユーモアやしみじみとした人情を感じさせる場面もあり、完成度が高いと評価されているのも頷ける。
主演の堺雅人は、誰からも信頼される好青年という役どころがぴったりで、絶体絶命の危機に陥りながらも、飄々と、そして最後まで希望を捨てない芯の強さを感じさせる。また、中村監督映画の常連濱田岳をはじめ、香川照之、伊東四朗、柄本明といった脇役陣がいい味を出していて、映画に一層の深みを加えている。
なお、「謎の整形外科医」が声(岩松了)だけで登場するが、いわゆる美容整形を行うのは整形外科ではなく、正しくは形成外科である。「整形疑惑」などと言われるように、すっかり定着してしまっているので、今さら正しい表現にしても分かりにくいと判断したのかもしれないが。
3月30日 ジョグ10キロ
月間走行 200キロ
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