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2018/03/31

『ゴールデンスランバー』

Goldenslumber2009年、製作委員会。伊坂幸太郎原作、中村義洋監督コンビの映画はこれで3本目。堺雅人主演、竹内結子、吉岡秀隆ほか。allcinema の紹介文。

仙台に暮らすごく平凡な30歳の独身男、青柳雅春。金田首相が凱旋パレードを行うその日、大学時代の同級生・森田に呼び出された彼は、“お前、オズワルドにされるぞ。とにかく逃げろ”と謎の警告を受ける。その直後、背後のパレード会場で爆発音がしたかと思うと、なぜか2人の前に警官が現われ、躊躇なく拳銃を向ける。訳もわからぬまま反射的に逃げ出した青柳は、やがて自分が身に覚えのない証拠によって首相暗殺の犯人に周到に仕立てられていくことを大量のマスコミ報道で知る。青柳の元恋人で大学時代のサークル仲間でもある樋口晴子は、事件の報道に驚き、かつての仲間たちに連絡を取ろうとするのだが…。(引用終わり)

無実の市民が首相暗殺犯に仕立てられるという設定は、日本の常識からすればいかにも荒唐無稽であるが、ケネディ暗殺事件の主犯とされるオズワルドも、実は当局に仕立てられたという説があるそうだ。青柳がラジコンヘリを操作していたとされるのは「教科書倉庫ビル」だが、これはケネディ事件の史実を踏まえたものだろう。

そのおおもとの設定に目をつむりさえすれば、ハラハラドキドキのサスペンスがノンストップで展開して飽きさせない。他の伊坂作品同様、多くの伏線が見事に回収され、一種の爽快感が味わえると同時に、ちょっとしたユーモアやしみじみとした人情を感じさせる場面もあり、完成度が高いと評価されているのも頷ける。

主演の堺雅人は、誰からも信頼される好青年という役どころがぴったりで、絶体絶命の危機に陥りながらも、飄々と、そして最後まで希望を捨てない芯の強さを感じさせる。また、中村監督映画の常連濱田岳をはじめ、香川照之、伊東四朗、柄本明といった脇役陣がいい味を出していて、映画に一層の深みを加えている。

なお、「謎の整形外科医」が声(岩松了)だけで登場するが、いわゆる美容整形を行うのは整形外科ではなく、正しくは形成外科である。「整形疑惑」などと言われるように、すっかり定着してしまっているので、今さら正しい表現にしても分かりにくいと判断したのかもしれないが。

3月30日 ジョグ10キロ
月間走行 200キロ

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2018/03/28

『重力ピエロ』

Pierrot2009年、製作委員会。引き続き、伊坂幸太郎の小説の映画版。ただし、監督は森淳一。加瀬亮、岡田将生他。アマゾンの紹介文。

遺伝子研究をする兄・泉水と、自分がピカソの生まれ変わりだと思っている弟・春。そして、優しい父と美しい母。平穏に、そして陽気に過ごすこの家族には、過去に辛い出来事があった。その記憶を抱えて兄弟が大人になった時、事件は始まる。謎の連続放火事件と、火事を予見するような謎の落書き(グラフィティアート)の出現。落書きと遺伝子暗号の奇妙なリンク。春を付け回す謎の美女と、突然街に帰ってきた男。すべての謎が解けたとき、24年前から今へと繋がる家族の"謎"が明らかになる―(引用終わり)

グラフィティアートに秘められた謎のメッセージとか、連続放火事件との関連性とか、思わせぶりな仕掛けがたっぷりだが、結局のところは単純な復讐物語であり、最後まであっと驚くような展開はない。

ただ、普通あり得ないような兄弟の間の愛情、それを温かく見守る父親の目線といったあたりが、この悲惨な物語をかなりな部分で救っている。「本当に深刻なことは陽気に伝えるべきなんだよ」。そして、「楽しそうに生きていれば地球の重力なんて消してしまえるんだ」と。

一方、元連続レイプ犯役の渡部篤郎は、常人には全く理解不能な思考過程を楽しそうに語りながら、ゾクゾクするような恐ろしさを感じさせる名演技を見せている。本当の悪人というのはこんな感じなのかもしれない。

3月26、28日 ジョグ10キロ

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2018/03/25

風評被害?

昨日はおよそ4か月ぶりに吉野LSDに行って来た。左足指のケガで昨年12月から1か月半走れず、再開してからも調子をみながら徐々に距離を伸ばしていったためだ。おかげで降雪時期に峠道を走らずに済んだとも言えるが。

折り返し点の吉野駅前では、1年で最も賑わう花見シーズンを前に、準備に余念がない様子だった。いつも利用する近藤商店さんでも、沢山の土産物を仕入れて店先に並べている最中だった。

ところで、この吉野駅前から下千本へ登る吉野ロープウェイが、設備故障のためこの花見シーズンも営業再開できないことになった。そのため、観光客は代行バスを利用するか、「七曲がり」と呼ばれる坂道(舗装路)を徒歩で上がることになる。

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しかし、世上このロープウェイに乗らないと花見に行けないかのような誤解があり、ニュース等で営業休止が報じられることにより、花見客が敬遠してしまう恐れがある。近藤商店の女将さんもそのことを心配していた。実際にはロープウェイは僅か3分ほど、徒歩でも15分程度の距離なので、これは一種の風評被害と言えるかもしれない。

もうひとつよくある誤解は、このロープウェイは近鉄の子会社か何かと思われていることだ。近鉄特急とよく似た車体塗装がなされているのも一因だが、実際には吉野大峰ケーブル自動車という地元資本の小さな会社が運営している。近鉄との資本関係はない。

3月24日 LSD40キロ

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2018/03/22

『フィッシュストーリー』

Fishstory2009年、製作委員会。伊坂幸太郎原作&中村義洋監督コンビの第2弾。伊藤淳史、高良健吾、多部未華子ほか。アマゾンの紹介文。

1975年 早すぎたパンクバンド「逆鱗」は世間に理解されないまま解散へ向かおうとしていた。彼らは最後のレコーディングで「FISH STORY」という曲を演奏する。
1982年 気の弱い大学生は「FISH STORY」の間奏部分に「女性の悲鳴が聞こえる」という噂を聞く。さらには出会った女性に「いつか世界を救う」と予言され…。
2009年 修学旅行中に眠り込んでフェリーに取り残された女子高生は「正義の味方になりたかった」コックと出会う。その直後、二人はシージャックに巻き込まれる。
2012年 街が静まり返るなか、営業中のレコード屋の店長は「地球が滅亡する日でも好きなレコードを聴いていたい」と、「FISH STORY」に耳を傾けている。
「FISH STORY」という曲の間奏には、なぜ1分間の無音部分があるのか? 果たして、2012年地球は滅亡してしまうのか? 時空を超えてすべてがつながった時、想像を超える爽快なラストがおとずれる!!(引用終わり)

これ以外に1999年7月、ノストラダムスの大予言に関連した短いシーンがあり、それを含む5つの時代に亘る、一見バラバラな物語がオムニバス風に登場する。何となく「FISH STORY」が共通のモチーフになっているのではと思わせる程度だが、ラスト5分に全てが繋がる見事な連続映像があり、ほとんどカタルシス的に腑に落ちる快感が味わえる。

「風が吹けば桶屋が儲かる」というのか、最近では「ブラジルで蝶が羽ばたけば、テキサスで竜巻が起きる」というのか、世の中意外なことが巡り巡って、予想もつかない結末を生んでいるという、一種のお伽噺として楽しめる映画と思えば良いだろう。

ところで、「FISH STORY」を「魚の物語」と誤訳した「ハーフじゃなかった男」を演じている岡田眞善は、さすが岡田眞澄の息子というだけあって、父譲りのバタ臭い容貌が役にぴったりで笑えた。

3月20、22日 ジョグ10キロ

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2018/03/19

『アヒルと鴨のコインロッカー』

Coinlocker2006年、製作委員会。中村義洋監督。濱田岳、瑛太他。アマゾンの紹介文。

大学入学のために仙台へ引っ越してきた椎名。新居の片づけをしていると、同じアパートの河崎と名乗る男が声をかけてきた。口ずさんでいたボブ・ディランの曲に興味を持ったらしい。しかし、彼は初対面の椎名に、同じアパートに住むブータン人のドルジという青年に広辞苑を盗んでプレゼントしたいから「本屋を襲わないか?」と誘う。ドルジは河崎の元彼女の琴美と付き合っていたらしい。また買うのではなく盗むのが大切だと奇妙なことを言う河崎。 椎名は逃げ腰だったが河崎の巧みな話術にのり、気づいたら本屋襲撃に加担していた!(引用終わり)

伊坂幸太郎の同名小説を映画化。原作には映像化不可能なトリックがあるけれども、そこは映像上の演出で何とか辻褄を合わせている。同じロケ、セットで倍の尺が撮れるので効率的でもある。(笑)

本屋襲撃の裏に隠された、河崎、琴美、ドルジの不思議な友情、かつて彼らの住む街を荒らしていたペット殺し事件のエピソードが絡まり合って展開し、ついに本屋襲撃事件へと突き進んでいく。途中、上記のトリックを含めていくつか伏線が張られているが、それらは最後には見事に回収される。

瑛太、濱田岳の凸凹コンビの遣り取りはテンポが良く、後半に出てくる松田龍平も含めて、今や若手実力派俳優に成長した彼らの演技が冴えている。全篇でボブ・ディランの「風に吹かれて」がモチーフとして印象的に用いられているが、ラストシーンでは「コインロッカーに不審物あり」とか通報されないだろうか。(笑)

3月18日 ジョグ10キロ

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2018/03/16

『メッセージ』

Arrival2016年、米。テッド・チャンの小説『あなたの人生の物語』に基づくSF映画。アマゾンの紹介文。

突如地上に降り立った巨大な宇宙船。謎の知的生命体と意思の疎通をはかるために軍に雇われた言語学者のルイーズ(エイミー・アダムス)は、物理学者イアン(ジェレミー・レナー)とともに、“彼ら”が人類に何を伝えようとしているのかを探っていく。そして、その言語の謎が解けたとき、彼らが地球にやってきた驚くべき真相と、人類に向けた美しくもせつないラストメッセージが明らかになる――(引用終わり)

巨大な柿の種(米菓「ばかうけ」という見方も・笑)のような宇宙船のビジュアルは斬新だが、タコかイカのような異星人とか、時間軸を自由に移動するストーリーは、SFの古典的手法であり、従ってツッコミどころも多いわけだが、そこにこだわっては面白くないだろう。

「彼ら」がイカスミのようなもので綴る文字の解読と、そこに埋め込まれたメッセージの解釈が必死で進められるが、一方では国際社会が大混乱し、宇宙船に対する攻撃が開始される。そこに、ルイーズとイアンの出会いから、女の子の誕生、そして切ない最後までの未来の物語が、時折フラッシュバックするように絡まっていく。

ただ、そうした全体の構図が最後まで観ないと分からないのが辛いところだ。もう一度最初から観直せばいろんな伏線が見えてきそうだが、前半はなかなかついて行けず、つい眠気を催してしまったことを白状しておく。

3月14、16日 ジョグ10キロ

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2018/03/13

正直者が…(続々)

しつこく放置違反金の話である。前の記事の最後に、他府県の説明文書は奈良とは違う表現になっているのではないかと書いた。それで、出頭する人の割合が低い「ワースト」5県についてネットで検索してみたところ、静岡県警の説明文書が公開されていた。

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ご覧のとおり、ステッカーを貼られて、運転者が警察に出頭する場合と出頭しない場合に分けて、それぞれどういう処分になるかを図解で示してある。注目すべきは、出頭しない場合の方をむしろ大きく、目立つようにレイアウトしてあることで、これを見ればわざわざ出頭して違反点数を課される選択をする人は少ないだろう。

静岡以外ではどうなっているのかは今のところ分からない。現地まで出かけて駐車違反すれば分かるのだろうが、さすがにそこまでヒマではない。(苦笑)

3月12日 ジョグ10キロ

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2018/03/10

正直者が…(続)

駐車違反に対する放置違反金について、「正直者が馬鹿を見る」結果になっている場合がないとは言えないと以前書いたが、やはりそのとおりだった。むしろ、想像していたより多くのケースでそうなっているとの記事を見つけた。

記事の趣旨は私が以前書いたのと同様、放置違反金の納付で全て終了するのに、わざわざ警察署に出頭すると、同額の反則金を課された上に、違反点数が加算されてしまい、ゴールド免許も返上という結果になるというものだ。

問題はその後で、そうとは知らずに(知ってという人も皆無ではなかろうが)警察署に出頭する人が、2015年の全国平均で何と18.5%にも上るというのだ。それだけでも驚きだが、さらにこの割合が都道府県によってかなりバラツキがあることが分かった。

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(同記事による)

その割合が最も高い(それを「ベスト」と言うのが適当かどうかは別として)のが、他でもない奈良県で49.6%、実にほぼ半数の人が正直に警察署に出頭したということになる。逆に、低いところでは6、7%台だから、その差はあまりに大きい。奈良県民は概して温和で大人しいと言われるが、そうした県民性だけでは説明がつかないだろう。

前の記事で書いたとおり、送られてきた説明文書では、「警察署に出頭するのが当たり前」というように読めるが、「奈良県下の警察署」とあることから、この文書は奈良県警が独自に作成したものと思われる。仮に、他府県警で使っている文書では少し違う表現になっていて、その結果として上記のような差が生じているのであれば、ある意味で法の下の平等にもとる制度運用となっている可能性がある。

3月 8日 ジョグ10キロ
3月10日 LSD20キロ

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2018/03/07

『深夜の告白』

Doubleindemnity1936年、米。ビリー・ワイルダー脚本・監督。レイモンド・チャンドラー共同脚本。アマゾンの紹介文。

深夜のロサンゼルス。フルスピードで走ってきた車がパシフィック保険会社の前で止まり、肩をピストルで射ぬかれた勧誘員ウォルター・ネフがよろめきながら下りてきた。彼は会社の自室に入り、テープレコーダーに向かって上役バートン・キーズに宛てた口述を始めた。数カ月前、ウォルターは会社に自動車保険をかけているディートリチスンを訪ねたが不在で、夫人のフィリスに会った。翌日フィリスはウォルターのアパートを訪れ、夫を殺してそれを事故死と見せ、倍額保険を取ろうともちかけた。足を怪我したディートリチスンは、近く開かれるスタンフォード大学の同窓会へ汽車で行く予定だった。最初は当惑するウォルターも、フィリスの肉体の魅力に負けて、ついに計画を手伝う破目になった。保険に入ろうとしないディートリチスンからサインを詐取して保険証書を作った2人は、犯行当夜のアリバイを作って実行に入るのだが… (引用終わり)

邦題とジャケットから、恋愛ものかと思っていたが、原題 Double Indemnity は列車事故などの際に保険金が倍額になるという保険条項のことで、それを利用した殺人事件を巡るサスペンス映画であり、魔性の女により犯罪に巻き込まれた保険セールスマンの悲劇というフィルム・ノワールでもある。

クライマックスで銃撃されたウォルターが会社に戻って来て、事件の顛末を録音機(上記紹介では「テープレコーダー」とあるがそうではなく、「ディクタフォン」と呼ばれる蝋管式録音機である)に吹き込むところから始まる。『刑事コロンボ』と同じく倒叙法という手法だが、そう言えばキーズのねちこい追及ぶりは、コロンボのモデルとなったのかもしれない。

列車事故を偽装した殺人事件の顛末は手に汗握るし、何とかやりおおせたものの真相がバレないか心配する犯人たちの心理もヒリヒリとさせられる。「共犯者は墓場行きの路面電車に一緒に乗っているようなもの。どちらも終点まで途中下車は出来ない」というキーズの言葉が印象的だ。最初から結末がある程度分かっているのは若干興ざめだが、この時代としては良く出来たサスペンスだと思う。

ただ、肝心の偽装殺人のトリックが若干お粗末である。きちんとした鑑識と検死が行われれば、本当の死因は簡単に判明するだろうし、線路脇にも何らかの痕跡が残っているはずである。

もうひとつ、ロサンゼルスの有名な野外音楽堂ハリウッド・ボウルのことを「ボウリング場」と訳した字幕もお粗末である。確かにウォルターがボウリングをして気分転換するシーンはあるが、当該場面ではちゃんと背景に音楽堂が映っていて、シューベルトの未完成交響曲が流れているのだから分かりそうなものだ。

3月6日 ジョグ10キロ

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2018/03/04

有馬温泉

有給休暇の駆け込み消化を兼ねて息子が帰省した。折角なので久々に一家揃って出かけることにして、先日の三田行きの際に断念していた有馬温泉に行って来た。

近いのになかなか行かない観光名所の典型で、平成に入った頃に一度だけ、両親を含めて一家で泊まったことがあるが、旅館の部屋以外ほとんど記憶がない。当時の職場は異常な多忙さで、残業、休日出勤が常態化しており、一家の食事の途中に何とか駆けつけ、朝一番にまた職場に舞い戻るという有様だったのだ。

太閤像のある湯けむり広場からスタート。

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ねね橋袂のねね像は、下流の太閤さんと向かい合っている。

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湯本坂を散策して、

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坂の上にある「銀の湯」で入浴した。有馬温泉というと、鉄分を含んだ赤茶色の金泉が有名だが、こちらの銀泉は無色透明の炭酸泉である。

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湯上りにはてっぽう水サイダー。炭酸が強くて、とても一気に飲み切れない。

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銀泉の入浴剤など土産物を買ってから帰宅。滞在時間は僅か3時間ほどだったが、近場にも良いところがあることを再認識した。

3月2、4日 ジョグ10キロ

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2018/03/01

『シンドラーのリスト』

Schindler1993年、米。スティーブン・スピルバーグ監督。アマゾンの紹介文。

1939年。ドイツ人実業家、オスカー・シンドラー(リーアム・ニーソン)が、ポーランドの古都クラクフにやってくる。野心家でナチス党員の彼は、巧みな話術と賄賂を使ってドイツ軍の上層部に取り入り、たちまち軍需工場で成功を収める。彼が雇っていたのは、有能なユダヤ人会計士、イザック・シュターン(ベン・キングスレー)のほか、賃金の安いユダヤ人労働者だった。やがて、ユダヤ人への迫害がエスカレートし、彼らが強制収容所で恐ろしい残虐行為の犠牲となっていくのを目の当たりにしたシンドラーは、ユダヤ人を助けようと、収容所所長、アーモン・ゲート(レイフ・ファインズ)に渡すためのあるリストを作り始める…。(引用終わり)

ユダヤ人虐殺を扱った重い内容に加え、3時間を超える長尺ゆえ、いつかは観なければと思いながら敬遠していたが、やはり死ぬまでに一度は観るべき映画だった。

シンドラーは決して初めから聖人君子であったわけではない。ユダヤ人の安い労働力でひと儲けしようと企み、ナチス幹部に賄賂を使うことも厭わない、ほとんど山師のような男である。そうした普通の人間が、収容所でのユダヤ人虐殺を目撃してからは、ユダヤ人救済に力を尽くすことになるわけだが、残念ながらそうした彼の心理変化はやや唐突な印象を受けた。他にも、長尺の割に説明が足りないと思われる箇所がいくつかあった。

しかし、それを差し引いても第一級のドキュメンタリー映画であることは疑いない。とりわけ、人物の細かな表情まで浮かび上がらせるモノクロ映像の美しさは特筆すべきだ。それによって惨殺シーンの衝撃がやや緩和される(前に観た『戦場のピアニスト』の方がもっとリアルだった)と同時に、そこだけワンポイントで彩色された蝋燭の炎や少女の赤い服が、観る者に強い印象を残す。

イツァーク・パールマンのヴァイオリンとボストン交響楽団のメンバーによる、ジョン・ウィリアムズの音楽も大変美しく、映像とよくマッチして切々とした哀しみを訴えかける。

2月27日 ジョグ10キロ
月間走行 150キロ
3月 1日 ジョグ10キロ

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