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2018/01/30

『欲望という名の電車』

Desire1951年、米。ヴィヴィアン・リー、マーロン・ブランド他。アマゾンの紹介文。テネシー・ウィリアムズの同名戯曲を原作者自ら脚本を書いて映画化したもの。

父の死と共に南部の家を失ったブランシュ・デュボアはアルコールに身を持ち崩して、妹ステラが結婚しているニューオリンズのフランス街の家を訪れた。妹の夫スタンリー・コワルスキーは暴力的な男で、カードと酒に狂ってはステラを打つのであったが、彼女はこの男に全身を捧げて悔いなかった。そのような妹夫婦の日常を見るにつけ、ブランシュはスタンリーのカード仲間ミッチに次第に関心を持つようになった。母と2人暮らしの純情な独身者で、真面目にブランシュとの結婚を考えはじめ、彼女も彼に、年若の夫を失った暗い過去を打ち明けて、将来への希望を語った。しかしスタンリーは街の仲間から、ブランシュが実は大変な莫連で、17歳の少年を銜え込んだというので故郷を追われてきた女だということを聞き出して、ミッチにぶちまけた。ブランシュの誕生日に、むろんミッチは出て来ず、しかもスタンリーは彼女に贈り物として故郷へ帰る片道切符を渡した。そして、その夜…(引用終わり)

「莫連」などという言葉を初めて知った。(笑)

南部の豪農の家に生まれたものの家屋敷全てを失ってしまい、身を持ち崩した未亡人ブランシュが、妹ステラを頼ってニューオリンズにやって来て、タイトルどおり「欲望」という名の路面電車(ニューオーリンズに実在する Desire Street 行き電車とのこと)に乗るところから始まるが、その後はほぼ全篇に亘りステラが夫スタンリーと住む貧しいアパートでのシーンが続く。主要登場人物も4人だけで、いかにも戯曲という感じだ。

かつての華やかな生活が忘れられず「お高くとまっている」ブランシュと、無教養の上に短気で粗暴なスタンリーはまさに水と油。間に立つステラが懸命にとりなすものの、両者の衝突は不可避と思われ、ラスト近くの決定的な対決シーンに向けて、ぞわぞわするような緊張感が高まっていく。

なかでも、次第に精神の異常を来たしていくブランシュを演じたヴィヴィアン・リーは、まさに鬼気迫る迫真の演技で、1939年の『風と共に去りぬ』以来自身2度目のアカデミー主演女優賞を獲得したが、私生活でも精神的に不安定だったそうで、それを知って観ると何だかいたたまれない。

1月29日 ジョグ10キロ

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2018/01/27

『ジャッカルの日』

Jackal1973年、米。エドワード・フォックス他。アマゾンの紹介文。

1960年代のフランス。ド・ゴール政権に不満を持つ秘密軍事組織OASは、大統領暗殺を目論むが、ことごとく失敗に終わってしまう。そこで、OASは最後の手段として、凄腕の殺し屋ジャッカルにド・ゴール暗殺を依頼する。この計画をいち早く察知したフランス警察のルベル警視はジャッカルの暗殺計画に立ち向かうが、ジャッカルの照準は着実にド・ゴールを追いつめていく・・・。(引用終わり)

フレデリック・フォーサイスの同名小説の映画化。暗殺計画そのものはもちろん、武器や変装の小道具といったディテールに至るまで大変リアルであり、実際に起きた事件のドキュメンタリーと錯覚しそうになるほどである。

ジャッカルの正体は結局最後まで分からないままであるが、その得体の知れない雰囲気や冷徹非情な仕事ぶりは、正にプロの殺し屋である。一方、ルベル警視の捜査は愚直なまでに正攻法ながら、水も漏らさぬほど徹底したもので、この両者の対決が同時並行で進行し、手に汗握るような緊張感を高めていく。

クライマックスの対決シーンそのものは僅か数秒でしかないが、そこに至るまでのジャッカルの綿密な準備ぶりと、それを嗅ぎ出す地道な捜査との対決、駆け引きそのものが、本作の見どころと言えるだろう。

なお、アメリカ映画にもかかわらず、仏伊英3か国でロケを行い、ヨーロッパの俳優陣も起用するなど、渋いヨーロッパ映画のようなテイストを漂わせているのも特筆される。

1月25、27日 ジョグ10キロ

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2018/01/24

『真昼の決闘』

Highnoon1952年、米。ゲイリー・クーパー、グレイス・ケリー他。アマゾンの紹介文。

1870年、舞台はのどかな町・ハドリービル。その町の保安官ウィルがエミーという美しい女性と結婚式を挙げる。ところが、喜ばしい雰囲気もつかの間、なんとウィルがかつて逮捕した無法者達がこの町にやってくるとの知らせが入る。ウィルは様々な思いを交錯させた末、彼らとの対決を決意する! だが、戦いに否定的な新妻エミーは一人町を去ろうと駅へ向かう。ウィルは猛暑の町を歩き回り協力者を求めるが、臆病で利己的な住民たちはその門を閉ざす。決闘の時間の正午は刻一刻と近づき、ついに駅に列車が到着、町を去るエミーが列車に乗り込むと同時に、ウィルへの復讐に燃える無法者達が降り立った!!誰の助けも得られなかったウィルは、一人で無法者達との決闘の場に立つ…(引用終わり)

西部劇としては異色の作品である。主人公の保安官ウィルは決して無敵のヒーローではなく、悪漢達との対決を決意しながらも、一旦は馬を借りて逃走しようかと迷う、弱さを持った普通の人間である。協力者を探し求めて、額に汗を滲ませ町を彷徨う表情はどこか虚ろですらある。

さらに、彼に対する町の人々の態度が冷淡というか、大変現実的である。保安官が厳しくて商売の邪魔だったと言い放つ人間もいて、いろいろと口実を並べては協力することを拒み、その挙句に出した結論が、彼に一刻も早く町から逃げろというものだった。

新婚の妻にまで町を去られ、結局一人で4人を相手にすることになり、クライマックスの対決の場面に向けて緊張感が一気に高まる。結末は大体予想どおりのものだが、しかしそれは決して高揚感やカタルシスを味わえるものではなく、むしろどこか後味の悪い、重い課題を突き付けるかのような静かな幕切れである。

1月23日 ジョグ10キロ

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2018/01/21

正直者が…

Omote_4先日の駐車違反に対する放置違反金の納付書が送られてきたので、早速近所の銀行で納付手続きを済ませた。遅れると延滞金が発生したり、財産差押え等を食らうことになるという。

それはまあ当然だろうが、問題は同封されていた説明文書である。これを見ると、「違反者が明らかな場合」は、「運転者自身」が必ず「警察署へ出頭」しなければならない、ように読める。また裏面には、使用者(所有者)自身が駐車違反した場合は、(使用者が)「警察へ出頭をお願いします」とハッキリ書かれている。

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その上で、もし運転者が出頭しない場合は、車の使用者の責任を追及する(=放置違反金を課す)という流れになっているのだが、それはいわばタテマエで、実際には「必ず出頭しなければならない」わけではなく、出頭せずに放置違反金の納付で済ませるという選択が、全く合法的に可能なのだ。その場合には違反点数が加算されないという肝心のことは、一番下に見過ごしてしまうほど小さな字で書いてある。(赤枠はいずれも筆者)

警察当局としては、あくまでタテマエ論しか書けないのかもしれないが、これでは警察署に出頭するのが当たり前で、出頭しないのは善良な市民ではないというふうに読めてしまう。「正直者が馬鹿を見る」結果となっている場合が全くないとは言い切れないだろう。

1月20日 LSD20キロ
1月21日 ジョグ10キロ

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2018/01/18

ラン再開

約1か月半ぶりにランニングを再開した。左足指のケガが予想以上に長引き、年明けからの予定がずれ込んでしまった。まだ僅かに痛みが残るものの、ランニングにはさほど影響はなく、年明けから走っても問題なかったようだ。あくまで結果論だが。

天候の関係で月曜火曜と続けて10キロのジョグをしたのだが、どうしたことか結構ひどい筋肉痛になってしまった。以前、足底腱膜炎で2か月休んだ後はそんなことはなかったのに。家人は「翌日に筋肉痛ならまだ若い」と言ってくれたが、やはり全般的に体力が低下しているのは間違いないだろう。(泣)

1月16、18日 ジョグ10キロ

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2018/01/15

やっちまった

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駐車違反のステッカーを貼られてしまったのだ。市内某駅前の停車エリア(駐車は禁止)に止めて、10分ほど駅構内の店舗に買い物に行っていた間のことだ。もちろんいけないことではあるが、これまで何度か同じことをして大丈夫だったのに、最近取り締まりが厳しくなったのだろう。道理で他に無人で止めている車がなかったわけだ。きっとどこかからカモを見張っていたに違いない。

国内での交通違反は1983年頃に神戸市内で一時停止違反したのが最後。その後は95年にアメリカで駐車違反したのを別にすれば、約35年間ずっと無違反(無発覚というべきか)を続けてきた。すわゴールド免許も剥奪かと覚悟したが、実はさにあらず。長年違反をしていなかったせいで、制度改定の中身に疎かったのだ。

駐車違反については運転者を特定するのが難しい場合が多いことから、2004年の道路交通法改正により、車の使用者(所有者)に対して「放置違反金」を課すこととされた。実際の運転者が出頭すれば使用者の責任は免れるが、その際には運転者に対して同額の反則金が課される上に違反点数が加算される。そのため、運転者が使用者と同一、または親族等である場合は、放置違反金を納付して点数加算を免れるのが普通である。

運転者の責任が追及されず、点数加算制度の実効を低下せしめるとの批判はあるものの、これにより駐車違反による反則金(違反金)の納付率が飛躍的に向上したとのことである。何を今さらだけれど、制度改定の中身も含めて、今回良い勉強になったと思うことにしたいが、それにしても授業料が15,000円とはちと高すぎる。(泣)

1月15日 ジョグ10キロ

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2018/01/12

『新約聖書を知っていますか』

125521いえ、知りません(笑)。で、読んでみた。阿刀田高著。版元の紹介文。

新約聖書の冒頭で、マリアの夫ヨセフの系図を長々と述べているのはなぜでしょう。処女懐胎が本当ならば、そんなことはイエスの血筋と無関係のはずです。ところで、聖書の中に何人のマリアが登場するか知っていますか? ではヨハネは? そして、イエスの“復活”の真相は? 永遠のベストセラー『新約聖書』の数々の謎に、ミステリーの名手が迫ります。初級者のための新約聖書入門。(引用終わり)

還暦を前にして突如として信仰に目覚めた、というわけではない。西洋文化の根底にある聖書について、これまでほとんど何も知らないまま過ごしてきて、死ぬまでにひと通りのことは勉強しておきたいと思っていた。作者自身、「エピローグ」の中で、「私は信仰を持たない」と断りつつ、本書を著した動機についてこう書いている。

欧米の文化に触れるとき、聖書の知識は欠かせない。(中略)演劇も映画も、ときには音楽でさえ聖書の知識がなければ理解できないものがある。そんな不自由さを少しでも軽減してくれる読み物はないものだろうか。(中略)自分が知りたいことを書く、これは概説書をあらわす基本的な姿勢といってよいだろう。

その上で、「数えきれないほど多くの文献」を渉猟し、イスラエルやイタリアなど現地にも赴き、10年の年月を費やして執筆されたものである。そうした努力の結晶である本書は、決して堅苦しい学術書ではなく、平易な文体で書かれたエッセイであり、時にはくだけた表現も交えてとても読みやすい。

おかげで新約聖書の大まかな構成と概要について把握することが出来た。今後もいろんな角度から聖書やキリスト教について勉強を続けていきたい。ただ、阿刀田氏とは違い、「いつか私も信仰を持つ日があるかもしれない」とは到底思えないが。(苦笑)

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2018/01/09

『やがて目覚めない朝が来る』

9784591100011大島真寿美著。版元の紹介文。

元舞台女優の祖母のもと、魅力的な人たちに囲まれて私は大人になった――同じ時を生きるかけがえのなさが描き出され、読後には温かな感動が胸に満ちる物語。(引用終わり)

気がつくとこの作家の本は4冊目である。何らかの関係性をもつ複数の女性が主人公(群)である場合が多く、主たる読者層は若い女性だろうと勝手に想像しているが、独特の世界観にオジサンもどこか惹かれるのだ。(笑)

本作も例外ではなく、私「有加」と父方の祖母「蕗さん」を軸に、母「のぶちゃん」、蕗さんの元マネージャー「富樫さん」、衣裳デザイナー「ミラさん」など、有加をとりまく人々のそれぞれの人生模様が淡々と、しかし温かい目で描かれる。

とりわけ、タイトルからも想像がつくように、それぞれの人物の「死にざま」こそが、本書の主たるテーマではないかと思う。ある者は不慮の事故で、ある者は有加に貴重な財産を遺し、ある者は最後まで昔の恋人を思いながら、ある者は「自分が死んでも悲しむな」とひっそり逝く。

中でも、元女優に相応しく、気高く美しい蕗さんの死には大変感銘を受けた。「やがて…」という言葉も作中、蕗さんが漏らした台詞であるが、人間すべからくいつかは死ぬ。そうであれば、どう死んでいくかこそ、その人の人生の総決算なのだと、改めて痛感させられる作品である。

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2018/01/06

ひこにゃんと初対面

帰省中の息子の希望で滋賀へ出かけた。主たる目的は彼の運転技能向上なので、目的地は別にどこでもいいのだが、最近各地の城を訪れているようで、今回は彦根城に行ってみたいという。

私自身は城とか神社仏閣などにほとんど関心がないので、城だけでは気が進まないところだが、彦根城のこのお方に会えるのならと同行することにした。予め登場時間を調べておいたので、無事に初対面を果たすことが出来た。

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ついでに、近江八幡も訪問、時代ものの映画やドラマのロケ地として有名な八幡堀辺りをブラブラと歩いて回った。連続テレビ小説「あさが来た」で、姉はつが舟で嫁いでいくシーンが撮られたのもここである。

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さて、肝心の息子の運転技能は前回よりかなり向上したが、初めて夜間運転したこともあり、本人もさることながら、監督役の私の方も終始神経を張り詰め、かなり疲労困憊してしまった。

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2018/01/03

虫ゴム不要のバルブセット

新年早々ちょっと外出しようとしたら、自転車の後輪の空気が抜けてしまっていた。走っている最中ではなく或る日突然ということは、パンクではなく虫ゴムが古くなって破損したためだろう。前にもそういうことがあって、すぐに近所の自転車屋に持ち込んだ覚えがあるが、生憎お正月で閉まっている。

この際だからと、DIYでやってみようと思い立った。ネットで調べてみると、案外簡単に出来そうだ。100円ショップの自転車コーナーに行ってみたら、確かに虫ゴムそのものも売られていたが、もっと簡単に出来そうな「バルブセット」というのがあった。写真左は取り外した古いバルブ。

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これだとバルブ一式を取り替えるだけで済み、虫ゴムを奥まで押し込むという若干力の要るらしい作業を省略することが出来る。うちの自転車がパッケージにある「英式バルブ」なのかどうか、一抹の不安はあったが、外見からすると多分大丈夫だろうと判断した。

やってみると、拍子抜けするぐらい簡単で、ものの1、2分で取り替えを完了、空気を入れて無事に復活した。2個セットだったので、前輪の方も予め交換しておいた。「虫ゴムの約10倍長持ち」というので、今後は毎年正月に交換しておけば万全だろう。それを忘れなければ、だけど。(笑)

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